「こんにちは」「お元気ですか」「おはようございます」「もう食事は済ませましたか」「どちらにお出かけですか」これらはお互いに会うときに人々がいろいろな言語で交わすあいさつである。ところであいさつとは何だろうか。
あいさつとは、ある人に友好的に振舞う方法である。礼儀正しく振舞う方法でもある。また会話を始める方法ともいえる。多くの言語では質問があいさつに使われる。例えば「どちらにお出かけですか」とか「調子はどうですか」というように。しかしこれらのような質問は本当の質問ではない。それらは完璧な答えを要求しないし、本当の答えさえも要求しない。例えば英語では最もよくあるあいさつは「お元気ですか」という、人の健康状態についての質問である。しかし私たちは相手が答えるときに健康状態のことを言うとは思っていない。相手が頭痛や腰痛だったとしてもそのことを言うとは思っていない。人々はこれらの質問に「元気です、ありがとう」や「だいじょうぶです、どうも」という決まった表現で答える。同様に「どちらへお出かけですか」とお互いにあいさつする国では「ただ散歩をしているだけです」というような簡単な返事だけで十分である。実際にどこへ行くかを述べる必要はない。
ほとんどの言語では、あいさつのあとたいてい「簡単なおしゃべり」が続く。簡単なおしゃべりとは会話を始めるときに交わす、あまり重要でない事柄のことである。英語を話す国では人々は「いい天気ですね」や「雨が降りそうですね」といった、天気についての簡単なおしゃべりをよくする。しかし簡単なおしゃべりにはどこか特別なものがある。それは両者が同じ意見をもつ事柄についてでなければならないということである。簡単なおしゃべりの目的は、人々にあることについて同じ意見をもつようにさせることである。こうすれば人に会うことがより簡単で、気楽になれるのである。人はたいてい天気のことでは意見が合うので、天気は簡単なおしゃべりには無難な話題である。しかし、宗教や政治については意見が合わないことがよくあるので、これらは英語で行う簡単なおしゃべりには適さない話題である。簡単なおしゃべりの話題は会話がどこで行われているかによっても決まる。サッカーの試合では「すごい試合ですね」というような、見ている試合のことについて簡単なおしゃべりをする。バス停では「最近バスがとても遅いですね」というような、バスの便について意見を述べるようにだ。
あいさつや簡単なおしゃべりはどの言語でも会話の重要な部分である。しかし人がお互いにあいさつする方法や話題にする内容は言語によって異なる場合がある。このことからわかるのは、私たちが言語を学ぶ際には単にその言語の語彙や文法を知るだけでは不十分だということである。私たちはその言語を話す人々の社会における振舞い方も学ばなければならない。 ( n )
内容:日本の会社が香港で、「日本語のできる人」を採用しようとしたところ、片言しか喋れない人も含めて多くの応募があった。これに比べて日本人には謙譲を美徳とする意識が残っている。日本人は他人を型にはめたがり、また自分も型からはみ出ないように謙譲の美徳を利用しているのではないか。
解説:日本人の「謙譲の美徳」「相手を枠にはめる見方」「長所を伸ばさない文化」などについて考えてみましょう。これは、身近にたくさんの例がありそうですね。日本では、組織のトップになる人でも自分から進んでという例は少なく、みんなから推薦されて仕方なくというケースが多いようです。みなさんのクラスで役員を決めるときもそうでしょう。クラス対抗のリレー選手を選ぶときでも、足の速い人が立候補するようなことはあまりなく、みんなから、「Aさんがいい」と言われて仕方なく引き受けるというかたちが多いと思います。身近な例を通して、日本人はもっと自己主張をという意見でまとめてみましょう。もちろん、その反対の意見でまとめてもかまいません。 ( n )
第一段落は要約。その要約に続けて「日本人はもっと自己アピールをしていくべきだと思う。」という意見。逆に「日本人の謙虚さは大事にしていくべきだと思う。」という意見でもいいです。