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題名:すでにみたように(感)
感想文の課題です。課題の長文を読んで感想文を書いてください。
課題の長文
【1】すでにみたように、人間関係とは結局のところ二人の人間のあいだでの問題であるというよりは、むしろ、ひとりの人間の内部での「こちら側の自分」と「もうひとりの自分」との問題であった。【2】このふたつが、相互に刺激をあたえながら、つねにあたらしい自我をつくってゆく過程、それが人間関係のまさしく人間関係たるゆえんであった。【3】ピストン運動の錆びつきは、そう考えてくると、人間関係をむつかしくする最大の障害であるといってさしつかえない。極端な頑固、そしてその対極にある極端な浮遊型人間、それはともに厳密な意味での自我喪失というべきなのだろう。
【4】錆びつきが発生する、ということは、それぞれの人間にとって不幸なことだ。どちらの極に片よるにせよ、「ふたつの自分」のうちのひとつに心が膠着してしまったが最後、その人間の心は進歩することがないのである。【5】ひとりの人間の心の進歩というものは、結局のところ「ふたつの自分」のあいだの活発な会話からうまれる。その会話によって、自我がかわるからこそ、人間関係は人間にとって大事なのだ。
【6】自我のこの変化は、別の角度からみれば折衷のプロセスであるとも考えられる。そこにあるのは「こちら側の自分」と「もうひとりの自分」のうちのどちらをとり、どちらを捨てるかという二者択一なのではなく、「ふたつの自分」の歩みよりによる、折衷の立場の建設なのである。
【7】他人、あるいは自分のなかにとりこまれた他人としての「もうひとりの自分」と接触することで、「こちら側の自分」はすこしずつかわる。また同時に「もうひとりの自分」もかわる。かわったものが互いに接近しあって統合される。【8】それは折衷という以外のなにものでもない。折衷の積みかさねによって、人間はかわりつづける。人間関係というものは、その理想的なすがたからいえば、ひとりひとりの人間をかえるための方法、というべきなのである。
【9】人間関係を考えるにあたって、いちばん大事なのは、たぶんこの点だ。たしかに人間関係というのは、ふたり以上の人間がお互いに理解し、協力しあってゆくための方法であり、また技術でもある。【0】だが、人間の側からみるときには、人間関係はあくまでも個人の成長のための跳躍台だ。人間関係というネットによってより充実した存在になってゆくのである。∵
事実、反省してみればすぐわかることだが、われわれひとりひとりの今日の存在は、これまでの人生のなかでのさまざまな人間関係の結果物としてとらえることができる。生まれたときから物心つくまでの母親と子どもの人間関係、学校にはいってからの教師と生徒の人間関係、友人との人間関係、そして結婚後の夫婦の人間関係、職場の人間関係、近隣の人間関係……かぞえあげていったらきりがない。そのきりのない人間関係のなかで、ひとりひとりの人間の精神がつくられてきた。まわりの人間との記号を媒介とした交渉なしに、ひとりの人間が形成されるというのはありえないことなのだ。そしてさまざまな人間関係を通じて、われわれはかわってゆく。
人間の存在は、可塑的なものだ。今日の自分はもはや昨日の自分ではない。すこしずつ、人間はかわる。厳密にいえば昨日の自分はすでに他人である。もちろん、どうでもいい、とにかくかわるのが望ましい、というわけではない。しかし、最近の医学の教えるところによれば、人間は、その脳のなかの二十億個の脳細胞のほんの一部を使って生涯をおえているのだそうだ。大部分は未使用なのである。人間の精神の可能性は、まだ、ほとんど未開発なのだ。その未開発な部分をひらく手がかりは、たぶん、生産的な人間関係、つまり効率のよいピストン運動であろう。
世間には、ひとつの俗信があって、創造的な人間活動と他人との人間関係とは対立するというふうに考える人が多い。しかし、それは、たぶん、あやまった考え方だ。他人(いうまでもなくそれは、自分のなかにとりこまれた「もうひとりの自分」をふくむ)とのかかわりなしに、人間の創造はありえない。人間関係なくして創造活動なし、なのである。ピストンの錆びつきは、人物の可能性開発への障害物だ。人間関係が大事なのは、相手と仲よくするためではない。相手とうまくやってゆくという意味での人間関係なら、誰だってできる。ニコニコしていればよいのである。人間関係の本当の問題は、それが自分の可能性をどこまで跳躍させてくれるかという問題だ。よく組まれた人間関係というものは、当事者同士のピストン運動を活発にし、相互に可能性を開花させうるような関係のことなのだ。
(加藤秀俊『人間関係』より。関西学院大)
項目表
項目表を参考にして、作文・感想文を書いてください。
項目の苗 小1から楽しく書ける。作文、読解、国語の通信教育。Online作文教室 言葉の森
項目表 ギンナン の苗 高2年 7~9月
目標:社会科学のテーマを書く書き方を身につける
★重要・評価あり ◎重要・評価なし ○普通・評価なし 段落は大体の目安です。
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課題のヒント
かつてタサダイ族が発見されて世界中が驚き沸いた。それは27人の採集生活民族で、フィリピン群島ミンダナオ島で完全な孤立のうちに暮らしてきたが、この部族の先祖は少なくとも6世紀のあいだここで変わりのない生活を送ってきたのである。この小集団のもっとも著しくて重要な特性は攻撃性をまったく欠如していることである。武器、敵意、怒り、いくさを表す単語がない。部外者と接触して以来、ボロと呼ばれる長いフィリピンのナイフを熱心に取り入れたが、それは食物を集め木を刻み密林を切り抜けるのに石器より便利だからである。槍や弓矢に見向きもしなかったのは食物採集に役立たないからである。集める食物(いも・果物・実・花・魚・蟹・蛙など)はすべて部族全員で丁寧に平等に分けあう。
タサダイ族が重要なのは農業革命以前の人間がみなそうであったように採集生活民族だからである。農業革命以前とは、言い換えれば人類史の8割を越える期間である。もし数万年にわたるこの期間にあらゆる地域の人々がタサダィ族のように平和であったのなら、ホモ−サピエンスが本質的に好戦的だという通説を信じることはできないわけである。
あいにく世にタサダイ族のことがわかってくると同時にまたフェソトウ族という30人からなる集団がニューギニアで発見された。この部族民は猛烈な戦士で絶えず弓矢で戦っている。アメリカ−インディアンにも同様のあい反する性質が歴史に現れた。コマンチ族やアパッチ族は子供を戦士になるように育て、一方ホピ族やスニ族は子供を平和に生きるように育てた――今もそれは変わりがない。
ではこのことから人間性の本質についてどういうことかいえるのだろう。歴史の記するところでは、人間は平和を好むのでも戦争を好むのでもない。――協調的でも攻撃的でもない。人間の行動様式を決めるものは遺伝子ではなくて社会の教える行動様式である。このテーマの専門家である心理学者アルバート=バンドゥラはこう結論した。人間性は「社会の影響によっていろいろな形態になり得る巨大な潜在力である…攻撃性は人間の不可避で不変の側面ではなく、社会のうちにある攻撃性促進条件の産物である」。
人間性にまつわるこの問題はいま万人にとって生死にかかわる重要性を持つ。科学技術の進歩で戦争はますますひどいものになった。頻繁にもなった。人類史の大半にわたる旧石器時代には戦争はさほど多くなかった。採集生活の小集団は小さい地域しか利用できなかったからである。近隣集団の地域を侵そうとしても得るものはなかった。実際失うものばかりだった。地上に散在する人間がそのようにわずかしかいない時代に血を流して戦えば当然人類は滅亡したたろうからである。
農業革命で事態は一変した。農業の生産性が高まるにつれ、人口が増し、村は町に、町は帝国になり、大宮殿や寺院が建ち富が蓄積された。これだけいくさの獲物ができると戦争はどんどん頻繁で破壊的になった。歴史の示す大切な教訓はそのような戦争が不可避ではないということである。戦争が起こったのは人間性のせいでなく人間社会のせいである。そして人間社会は人間が作ったもの、人間が作り直すことのできるものである。 ( n )
人間関係の問題を現代社会の問題として第一段落で問題提起していきましょう。そのあとは、なぜそういう問題が生まれているかという原因の分析です。第二・第三段落と複数の原因を考えてみましょう。
長文の内容:人間関係とはひとりの人間の内部にある「もうひとりの自分」との対話である(といっても、ひとりでブツブツつぶやいているようだとちょっと危ないけど)。人間関係は、個人の成長の跳躍台である。
今日の社会の問題:人間関係をうまく作れない子供たちが増えているようです。少子化や子供のときからの塾通いで、集団で遊ぶ機会が少なくなったことがひとつの原因だとも言われています。また、子供が自由に集団遊びをするような場所も少なくなったため、子供たちの遊びも野球やサッカーのようなルールのあるスポーツと家の中でのテレビゲームとに二極分化しているようです。大学生になって、子供時代の集団遊びを取り戻すかのような鬼ごっこやかくれんぼに夢中になるということもあるようです。人間関係をうまく作れないことに悩む大学生もかなりいます。友達との対話も、浅い上辺だけの関係で済ませることが多いので、その反動で一気飲みのような盛り上がりを求めるという面もありそうです。友達との対話の少なさは、自分の内部での自分自身との対話の少なさを反映しているのでしょうか。
長文を、今日の社会問題に結び付けるのが高校生の小論文では大事です。この社会問題がはっきり出てこないと、焦点の絞られた小論文にはなりません。しかし、あまり自分の問題意識に結びつけすぎると、長文の提示している主題とずれてくる場合もあります。自分の問題意識を中心に、長文のキーワードとも関連させながら書いていきましょう。
長文実例:7.2週の長文には、明治以後広まった西洋風の明るい文化とは別に、日本には縄文時代からの深い森の文化があったと書いてあります。現代的な淡泊な人間関係と、昔からある濃密な人間関係との対比に似ていそうでしょ。(苦しいけど) ( n )
「社会問題の主題」。「様々な人間関係の中で我々人間の精神は形作られていくのに、現代ではその人間関係をうまく構築できない人々が増えているのは問題だ。」
原因は、いろいろ考えられます。「少子化、核家族化(年長者から指導されることが少ない)」「ゲームの普及で一人遊びが増えた(自己完結)」「集団遊びが減り、異年齢間でのかかわりが減っている」「社会が豊かになり、実生活上で我慢することが減った」「過剰な競争否定(運動記録会の廃止、かけっこでの「手つなぎゴール」など)により、切磋琢磨することが敬遠されている」「読書量が減り、自分を客観的に見ることができなくなっている(内省ができず、すぐに相手を否定する)」etc。それぞれに、「体験実例」「社会実例」を入れてみましょう。
「反対意見への理解」。「確かに、周りと波風立てず、上辺だけのかかわりで過ごしていく方が楽かもしれない。しかし、……」「自作名言」を入れてまとめます。 ( h )

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