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題名:実は現在インターネットの(感)
感想文の課題です。課題の長文を読んで感想文を書いてください。
課題の長文
【1】実は現在インターネットの上では二つの力が争っていると思うんです。一方はそれを資本主義化してしまおうという力、もう一方はそれを贈与交換の世界へ引き戻そうという力です。
【2】インターネットは、その出発点においては、アメリカ国防省から軍事研究を委託されていた、研究者の間の科学研究の情報のネットワークであったわけですが、もともとの参加者である科学者にとっては、インターネットを経済的な目的に使うのは抵抗があるようです。【3】科学者の集団というのは、少なくとも建て前の上では、信用なるものによって結ばれている世界なのです。科学者がおたがいに論文を交換する、あるいは科学情報や技術情報を交換するとき、それは同じ科学コミュニティの一員としておたがいの名前を認めあっているからです。【4】たとえ個人的に名前を知らない場合でも、博士号を持っていたり、名のある研究機関に属している人間であれば同じです。そこでは、まさに名前というものが重要な役割を果たす信用のネットワークが築かれる。【5】そして、その名前が重要な役割を果たす世界とは、贈与交換の世界なのです。たとえば、古代ギリシアのホメロスの叙事詩のなかに出てくる英雄たちは、他人から贈与を受けたら、自らの名誉を守るために、つまり自分の名前の信用を守るために、必ず贈与をした人間に対して返礼をする。【6】ここでは、まさにおたがいの名前に対する信用が人間と人間との交換を可能にしている。贈られるモノそのものに価値があるから返礼するのではなく、贈った人間と贈られた人間との間の一種の信用関係を保つためにモノが交換されるのです。
【7】昨年、あるコンピュータ・サイエンスの会合に呼ばれて講演をしたときに出会った何人かの人たちは、コンピュータ・コミュニケーションの世界に資本主義的な要素が入り込んでくるのをなるべく排除しようとしていました。【8】それは、いうなれば、それを原初における贈与交換の世界のままに保ちたいという必死の抵抗でしょう。その極端な例が、ソフトウェアを全部タダにしようと、それをネットを通じてタダでばらまこうという動きです。【9】コピーレフトですね。あれはインターネットから資本主義の原理を排除して、∵なるべく古き良き贈与交換の世界に留めておこうという動きだと思います。
【0】これがインターネットのなかで働いている一方の力ですが、しかし不幸にして、もう一方の力が厳として存在しており、それはいうまでもなく資本主義化への動きなのです。そして、コピーレフトに全面的に対抗する手段となるのが暗号化の技術です。インターネット上の情報を暗号化すると、その情報の内容はまさに秘密キーを持っている人間だけしか知ることができなくなる。つまり、ここに所有権が確保され、その所有権をもとにした商品交換が可能になるというわけです。
いまインターネットを舞台にして、この二つの力が争っているんだと思います。幸か不幸か、私は経済学者ですから、資本主義化への動きというものがいかに強いものであるかを良く知っています。そして、さらに不幸なことに、じつは贈与交換を維持しようとしている動きには自己矛盾がはらまれている。なぜならば、インターネットとは、原則としてすべての人が自由に参加できることを前提にしているわけですが、おたがいの間の信用を基礎にして成立する贈与交換の世界とは、まさにそれが何らかの意味で閉じていることを必要とするのです。たとえば、科学的な情報や知識が、贈与的な原理によってインターネット上をタダで自由に行き来していくと、それが誰でも参加できるインターネット上であるが故に、それを欲しがる人間を増やしてしまい、そのなかにはもちろん信用のない人間も当然含まれますから、自らの基盤である信用に基づくコミュニティを破壊してしまうことになる。インターネットがこれだけ拡大してしまうと、今度は、贈与的な世界を維持しようとする人びとは、インターネットから離れた小さなネットワークを作ったり、あるいはもっと皮肉なことに、自分たちのかたきである暗号システムを使ってインターネット上に閉じたコミュニティを作ることになるかもしれない。
(岩井克人(インタヴュー 上野俊哉)『インターネット資本主義と貨幣』より抜粋、調整)
項目表
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項目の苗 小1から楽しく書ける。作文、読解、国語の通信教育。Online作文教室 言葉の森
項目表 ジンチョウゲ の苗 高3年 7~9月
目標:自然科学や時事問題のテーマを書く書き方を身につける
★重要・評価あり ◎重要・評価なし ○普通・評価なし 段落は大体の目安です。
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課題のヒント
単語にはみな正しい意味があり、そういう意味を人は主に教師や文法学者から学び、辞書や文法書が意味・用法の最高の権威であると広く信じられている。辞書や文法書の作者がどういう権威によってその所説を述べているのかを問う人はあまりいない。私はかつて単語の発音についてある英国女性と論争して、辞書で調べてみましょうと言った。彼女は「どうして? 私は英国人よ。英国で生まれ育ったのよ。私の話し方が英語なのよ」と断言した。自国語に関するそういう自信は英国人には珍しいことではない。だが合衆国では辞書と争おうとする人は変人か狂人だと思われてしまう。
辞書がどうして作られ、編纂者がどうして定義に行き着くかを見てみよう。辞書編纂の仕事は、辞書が扱おうとする時代や主題に関する文献を広範に読むことで始まる。読みながら、興味深い語、珍しい語、ありふれた語の普通でない特殊な用例、大量のありふれた語の普通の用法、このような各語を含む文、などを編纂者はすべてカードに写す。
次に、単語の定義を下すために編纂者はその語の例証となるカードの山を前に置く。文献上・歴史上重要な筆者がその語を実際どう使うかをカードのそれぞれが表す。編纂者はカードをよく読んで、あるものは捨て、他を読み直し、その語の持つ違った意味と思えるものによってカ−ドを分ける。最後に定義を書くが、各定義は、机上に積まれた用例が語義について表すものに基づいていなければならないという、厳重な規則を守る。ある単語が意味するはずだと編纂者の思うことがらに影響されてはいけない。編纂者はカードに従って仕事をするか、そぅでなければ何もしないか、どちらかでなければいけない。
だから辞書作りは単語の「本当の意味」について権威のある叙述を樹立するといぅ仕事ではなくて、いろいろな単語が、昔やごく近い過去の著述家にとって持っていた意味を、できるだけ記録するという仕事である。辞書編纂者は立法者ではなくて歴史家である。例えば1890年とか、近くは1919年でも、辞書を作った場合、broadcastという語は「撒き散らす」(例えば種を)という意味だと言えただろうが、1921年以後はそんな定義はだめで、最も普通の意味は「ラジオ送信によって可聴内容などをあらゆるところへ送り出すこと」となるはずである。だから辞書を「権威」とみなすことは、編纂者も誰も持っていない予言能力を編纂者が持っていると考えることになる。話や作文で語句を選ぶにあたっては、辞書が示す歴史的記録に従ってもよいが、それに縛られてはいけない。新たな状況、新たな経験、新たな発明、新たな感情によっていやおうなしに古い単語に新たな用法がたえず加えられているからである。hoodの下を覗くと、500年前だったら、ふつう修道僧の顔があっただろう。今は自動車のエンジンがある。 ( n )
インターネットでは、資本主義化の力と贈与交換化の力とが争っています。ウィンドウズに対抗するOS(オペレーティングシステム)であるLinux(リナックス、リヌクス、ライナックスなどいろいろな読み方があります)が今急速に普及しつつあるのは、その一つの象徴でしょう。Linuxは、企業の力によってではなく全世界のボランティアの力によって発達したOSです。開発の責任者もいなければ開発に伴う報酬もない世界で、ウィンドウズに匹敵するほどのソフトウェアに発達したということは、これまでの価値観の延長では説明できないことです。
しかし、このだれでも参加できる自由でオープンなボランティアの世界は、その当初の自由さを維持するために、次第に仲間うちの閉鎖されたものを志向せざるを得ないという逆説も秘めています。
インターネットにおける贈与交換の世界が将来どういう問題を生み出すか、そしてその対策は何か、ということを自分なりに考えて書いていきましょう。
長文実例は、7.2週の競争原理の是非が使えそう。 ( n )
「贈与交換」という基本理念にとらわれるあまり、結果的にインターネットが閉鎖的なものになっていく、というところに問題があると考えます。
背景として挙げられるのは、インターネットならではの匿名性が挙げられるでしょう。インターネット先進国である韓国で、ネットの誹謗中傷を苦にした芸能人の自殺が相次いだ、という話がありました。匿名性を悪用し、風説を流布させるインターネットの怖さは、日本でも話題に上っています。
対策としては考えられるのは、インターネットを仮想空間として扱うことを止めてしまう(笑)こと。……というと、ちょっと大げさにすぎるでしょうか。
( m )

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