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題名:大人になって(感)
感想文の課題です。課題の長文を読んで感想文を書いてください。
課題の長文
【1】大人になって毎日同じようなことを繰り返し ( く かえ ) ていると、あまり「ふしぎ」なことはなくなってくる。何もかもわかったような気になると、今度は面白くなくなってきて、「ふしぎ」なことを提供してくれるテレビ番組や催し ( もよお ) ものなどを見る。【2】これらは必ず「ふしぎ」なことが最後には心に収まるようになっているので、少しの間心をときめかして、後は安心、ということになる。
【3】子どもは「ふしぎ」と思う事に対して、大人から教えてもらうことによって知識を吸収していくが、時に自分なりに「ふしぎ」な事に対して自分なりの説明を考えつくときもある。【4】子どもが「なぜ」ときいたとき、すぐに答えず、「なぜでしょうね」と問い返すと、面白い答えが子どもの側から出てくることもある。
「お母さん、せみは、なぜミンミン鳴いてばかりいるの」と子どもがたずねる。【5】「なぜ、鳴いているんでしょうね」と母親が応じると、「お母さん、お母さんと言って、せみが呼んでいるんだね」と子どもが答える。そして、自分の答えに満足して再度質問しない。これは、子どもが自分で「説明」を考えたのだろうか。
【6】それは単なる外的な「説明」だけではなく、何かあると「お母さん」と呼びたくなる自分の気持ちもそこに込め ( こ ) られているのではなかろうか。だからこそ、子どもは自分の答えに「納得」したのではなかろうか。【7】そのときに、母親が「なぜって、せみはミンミンと鳴くものですよ」とか、「せみは鳴くのが仕事なのよ」とか、答えたとしても「納得」はしなかったであろう。たとい、せみの鳴き声はどうして出てくるかについて「正しい」知識を供給しても、同じことだったろう。【8】そのときに、その子にとって納得のいく答えというものがある。
「そのときに、その人にとって納得がいく」答えは、「物語」になるのではなかろうか。せみの声を聞いて、「せみがお母さん、お母さんと呼んでいる」というのは、すでに物語になっている。【9】外的な現象と、子どもの心のなかに生じることがひとつになって、物語に結晶 ( けっしょう ) している。
人類は言語を用いはじめた最初から物語ることをはじめたのではないだろうか。短い言語でも、それは人間の体験した「ふしぎ」、「おどろき」などを心に収めるために用いられたであろう。
【0】古代ギリシャの時代に、人々は太陽が熱をもった球体であることを知っていた。しかしそれと同時に、彼ら ( かれ ) は太陽を四頭立ての金の馬車に乗った英雄 ( えいゆう ) として、それを語った。これはどうしてだろう。夜の闇 ( やみ ) を破って出現して来る太陽の姿を見たときの彼ら ( かれ ) の体∵験、その存在のなかに生じる感動、それらを表現するのには、太陽を黄金の馬車に乗った英雄 ( えいゆう ) として物語ることが、はるかにふさわしかったからである。
かくて、各部族や民族は、「いかにしてわれわれはここに存在するのか」という、人間にとって根本的な「ふしぎ」に答えるものとしての物語、すなわち神話をもつようになった。それは単に「ふしぎ」を説明するなどというものではなく、存在全体にかかわるものとして、その存在を深め、豊かにする役割をもつものであった。
ところが、そのような「神話」を現象の「説明」として見るとどうなるだろう。確かに英雄 ( えいゆう ) が夜毎に怪物 ( かいぶつ ) と戦い、それに勝利して朝になると立ち現われてくるという話は、ある程度、太陽についての「ふしぎ」を納得させてくれるが、そのすべての現象について説明するのには都合が悪いことも明らかになってきた。たとえば、せみの鳴くのを「お母さんと呼んでいる」として、しばらく納得できるにしても、しだいにそれでは都合の悪いことがでてくる。
そこで、現象を「説明」するための話は、なるべく人間の内的世界をかかわらせない方が、正確になることに人間がだんだん気がつきはじめた。そして、その傾向 ( けいこう ) の最たるものとして、「自然科学」が生まれてくる。「ふしぎ」な現象を説明するとき、その現象を人間から切り離し ( き はな ) たものとして観察し、そこに話をつくる。
このような「自然科学」の方法は、ニュートンが試みたように、「ふしぎ」の説明として普遍 ( ふへん ) 的な話(つまり、物理学の法則)を生み出してくる。これがどれほど強力であるかは、周知のとおり現代のテクノロジーの発展がそれを示している。これがあまりに素晴らしいので、近代人は「神話」を嫌い ( きら ) 、自然科学によって世界を見ることに心をつくしすぎた。これは外的現象の理解に大いに役立つ。しかし、神話をまったく放棄 ( ほうき ) すると、自分の心のなかのことや、自分と世界とのかかわりが無視されたことになる。
(河合隼雄 ( はやお ) 「物語とふしぎ」による)
項目表
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項目表 プラタナス の苗 高1年 10~12月
目標:人文科学のテーマを書く書き方を身につける
★重要・評価あり ◎重要・評価なし ○普通・評価なし 段落は大体の目安です。
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課題のヒント
( n )
人間の内的世界にかかわる神話=物語的説明と、人間の内的世界を排除した科学的説明との対比です。世界を理解する方法には、大きく分けて、この物語的説明と科学的説明とがあるようです。「夕焼けはどうして赤いの?」「お空が恥ずかしがっているのでしょ」「ふーん」というような会話を、子供のころお母さんやお父さんと交わしたことがだれにもあるでしょう。(ないか^^ ( n )
第一段落は要約。続けて、「現代は、科学的説明が幅 ( はば ) を利かせていて、物語的説明は幼稚 ( ようち ) なものだと見なされている。しかし、世界との一体感を回復するために、私たちは、物語的説明の重要性も見直していくべきではないか」。
第二段落は、その方法。「そのためには、子供時代の感性を失わないことだ」。体験実例。「私も、昔は、物がなくなるとよく床下 ( ゆかした ) の小人が持っていったのだと思っていた。云々」。
第三段落は、方法2。「また、もう一つの方法としては、幼児期から、科学的な理屈 ( りくつ ) の説明をしすぎないことだ。ここに歴史実例。「戦前、日本の歴史は皇国史観として教えられてきた。それは神話と融合 ( ゆうごう ) した非科学的な面もあったが、その中で子供は自分なりの歴史のイメージを持つことができた。現在の歴史は知識の羅列 ( られつ ) だけで、イメージのわかない味気ないものになっているのではないか」など。
第四段落は、反対理解。「確かに、科学的な裏づけを持たずに、物語的説明だけに頼る ( たよる ) ことは危うい。しかし……」。自作名言。「世界は、頭で理解するものではなく、まず心から味わうべきものである」など。
( n )
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