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級:★   山:yube   年:★   月:03   週:3  苗:yube
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題名:妖怪の中に「もののけ」という(感)

感想文の課題です。課題の長文を読んで感想文を書いてください。

課題の長文
 【1】妖怪(ようかい)の中に「もののけ」という種類があって、これは「もの」につく。一般(いっぱん)には、「ものの毛」と書いて、これは「もの」に生える「毛」のことであろうと考えられているようであるが、そうではない。「ものの気」と書いて、これは「もの」が漂わ(ただよ )せているかに見える「気配」のことである。
 【2】つまりこれは、「もの」についてそれが「もの」であることを、次第に歪曲(わいきょく)もしくは変質させてゆくわけであり、それが我々には、どことなく得体の知れない「気配」を漂わ(ただよ )せているように見えるのであるが、ここで言う「もったい」も、そうした「もののけ」の亜(あ)種にほかならない。【3】そしてそれがつくと、我々はその「もの」を、むしょうに捨てたくなる。
 従って逆に、それのついていないものを見ると、むしょうに拾いたくなる。【4】つまり、「もったいない」のである。我々は、定期的にごみ捨て場をうろつき、「もったいない」とつぶやきながらあれこれと拾い集める連中を見て、「あれはきっと、それらのものが拾ってくれ拾ってくれと、連中をそそのかすからに違い(ちが )ない」と考えるが、実はそうではない。【5】「もの」に「もったい」という「もののけ」がついている時、その「もの」が我々に「捨てろ捨てろ」とそそのかすのであり、「もったいない」と言って拾うのは、単にその反動にすぎないのである。(中略)
 【6】ところで、人類史をひもとくまでもなく我々は、かつて「狩猟(しゅりょう)採集時代」というものを経験し、今また「消費遺棄(いき)時代」というものを迎え(むか )つつあることを、よく知っている。つまり、その生活の主たる様態を、「拾う」ことから「捨てる」ことへ、大きく転換(てんかん)させつつあるのだ。【7】妖怪(ようかい)もったいは太古より存在し、それが「もの」についたり離れ(はな )たりすることにより、人々にそれを捨てさせたり拾わせたりする法則性は、何ら変化していないにもかかわらず、こうした転換(てんかん)が行なわれたということは、明らかに奇妙(きみょう)なことと言えよう。
 【8】現在、もったい専門の妖怪(ようかい)学者が問題としているのは、この点にほかならない。言うまでもなく、考えられることはひとつである。つまり「狩猟(しゅりょう)採集時代」から「消費遺棄(いき)時代」に至る期間∵の、どこかの時点で文明が、もったいを人為(じんい)的に操作しはじめたのだ。【9】文明がもったいという妖怪(ようかい)の存在に気づき、それをひそかに養い育て、「もの」に自由につけたり離し(はな )たりすることができれば、人々に「もの」を、これまた自由に捨てさせたり拾わせたりすることができるようになるのは、道理である。
 【0】もちろん文明が、人々に「もの」を捨てさせなければならなくなった理由は、誰(だれ)もが知っている。あらためてここで歴史の復習をする余裕(よゆう)はないが、この間に人類は「産業革命」を経て「大量生産時代」を迎え(むか )たのであり、当然ながらその大量に生産された「もの」は、大量に消費されなければならなくなったのである。しかし、生産力というものはやみくもに向上させることができるが、消費の方はそうはいかない。そこで、どうするべきか。
 当たり前の文明ならここで消費に見合うべく生産力の方を抑える(おさ  )であろう。ところが、我々の文明はそうしなかった。生産力を抑える(おさ  )どころか、それをさらに向上させ、我々の消費の手に余る分を、そのまま捨てさせることにしたのである。このあたりが、我々の文明の、天才的なところと言えよう。そしてそのためにも、妖怪(ようかい)もったいが駆り出さ(か だ )れるハメになったのだ。
 前述したように、「もの」に「もったい」がつくと、我々はそれをまだ消費しつくしてないにもかかわらず、むしょうに捨てたくなる。文明は――というより、現在それをしているのは流通経済の中枢(ちゅうすう)を支える専門家たちであるが――ひそかにこの操作をしている。つまりこれを、専門用語で「もったいをつける」と言う。「もったい」がつくと、何となくその「もの」が、「重く」感じられたり、「わずらわしく」感じられたり、「うっとうしく」感じられたりするのである。
 もちろん、こうした専門家たちだって馬鹿(ばか)ではないから、商店へ並べられた商品に「もったい」をつけるようなことはしない。そんなことをすれば我々は、消費はおろか、「購入(こうにゅう)する」ことをすらしなくなる。商品の流通が円滑(えんかつ)に行なわれるためには、我々がそれを買って帰り、包装紙を開いたとたん、それがつくようにしなければならない。ということから考えれば、シャーロック・ホームズを∵一冊でも読んだことのあるものには、どこにカラクリがあるか、すでに推理できたことであろう。そうなのだ。包装紙である。化粧(けしょう)箱である。そして、それを結ぶリボンである。そこにもったいが仕掛け(しか )られ、それらを解き放ったとたん、それは中の商品につくことになっているのである。包装紙や、化粧(けしょう)箱やリボンを、もったいないと言ってしまっておきたくなるのは、そこにそれまでついていたもったいが、中の商品に移り住んでいるからにほかならない。
 かくて、流通経済は円滑(えんかつ)に機能し、生活は潤い(うるお )、我々は満足している。「もったい」である。妖怪(ようかい)もったいの養育と、専門家たちによるその見事な操作によって我々は「捨てるために手に入れる」という、生物学的には希有(けう)の性向を身につけ、「消費を上回る生産」という、あり得べからざる事態を楽々とこなしているのだ。

(別役実『当世もののけ生態学』より)

項目表

項目表を参考にして、作文・感想文を書いてください。 項目の苗 小1から楽しく書ける。作文、読解、国語の通信教育。Online作文教室 言葉の森 
項目表 ベニバナ の苗 中2年 1~3月
目標:二つの異なる意見を比較して考える書き方を身につける
 ★重要・評価あり ◎重要・評価なし ○普通・評価なし 段落は大体の目安です。
第 1 段落項目キーワード説明
構成 ◎ 構成図構成図 <<構成>>構成図をかく
構成 ○ 要約(感想文)要約 <<構成>>要約を二〇〇字ぐらいでまとめる
構成 ○ 四段落構成 大きく四つぐらいの部分に分けて書く
構成 ○ 書き出しの工夫書き出しの工夫 <<構成>>会話・色・音・情景で書き出す
題材 ○ 状況説明 身近な実例による説明
             ↓
第 2 段落項目キーワード説明
構成 【】★ 複数の意見一意見 考え 確かに <<構成>>確かにAという意見もある
題材 ◎ 体験実例体験 私 わたし 僕 ぼく <<題材>>自分らしい体験実例を書く
表現 ◎ たとえまるで みたい よう <<表現>>まるで…のよう
主題 ○ 途中の感想 途中で主題に関連した感想を書く
             ↓
第 3 段落項目キーワード説明
構成 【】★ 複数の意見二意見 考え しかし <<構成>>しかしBという意見もある
題材 【】★ 昔話の実例・長文実例昔話 童話 長文 <<題材>>昔話や童話の実例・長文集の実例
表現 ◎ ユーモア表現笑 爆 ユーモア <<表現>>ユーモアのある表現(笑)
             ↓
第 4 段落項目キーワード説明
主題 ○ 反対意見への理解確かに <<主題>>確かにBもよいが、しかしAが
主題 【】★ 総合化の主題総合化 <<主題>>大事なことはAかBかではなくCである
表現 【】★ 名言の引用名言 言葉 ことば <<表現>>主題に合わせて名言を引用する
構成 ○ 具体的説明の結び例えば 具体的 <<構成>>主題を具体的に再説明して結ぶ

字数 ★ 1200字以上
表記 ○ 決めてくる、読みかえす書くことを決めてくる、書いたあと読み返す
表記 ★ 90分以内書き始めから書き終わりまで90分で
表記 ○ 構成メモ作文を書く前に構成メモを書く
表記 ○ 漢字を使う、ていねいに書く習った漢字を使いていねいに書く
表記 ○ 段落三文段落の目安は三文ぐらい
表記 ○ 一文一点読点は1文に1〜2点を目安に
表記 ○ 常体で書くした・だった・であるなどで書く練習
表記 ○ 誤字一ヶ所以内一つの作品に誤字は一つまで


課題のヒント

 「こんにちは」「お元気ですか」「おはようございます」「もう食事は済ませましたか」「どちらにお出かけですか」これらはお互い(おたがい)に会うときに人々がいろいろな言語で交わすあいさつである。ところであいさつとは何だろうか。
 あいさつとは、ある人に友好的に振舞う(ふるまう)方法である。礼儀(れいぎ)正しく振舞う(ふるまう)方法でもある。また会話を始める方法ともいえる。多くの言語では質問があいさつに使われる。例えば「どちらにお出かけですか」とか「調子はどうですか」というように。しかしこれらのような質問は本当の質問ではない。それらは完璧(かんぺき)な答えを要求しないし、本当の答えさえも要求しない。例えば英語では最もよくあるあいさつは「お元気ですか」という、人の健康状態についての質問である。しかし私たちは相手が答えるときに健康状態のことを言うとは思っていない。相手が頭痛や腰痛(ようつう)だったとしてもそのことを言うとは思っていない。人々はこれらの質問に「元気です、ありがとう」や「だいじょうぶです、どうも」という決まった表現で答える。同様に「どちらへお出かけですか」とお互い(おたがい)にあいさつする国では「ただ散歩をしているだけです」というような簡単な返事だけで十分である。実際にどこへ行くかを述べる必要はない。
 ほとんどの言語では、あいさつのあとたいてい「簡単なおしゃべり」が続く。簡単なおしゃべりとは会話を始めるときに交わす、あまり重要でない事柄(ことがら)のことである。英語を話す国では人々は「いい天気ですね」や「雨が降りそうですね」といった、天気についての簡単なおしゃべりをよくする。しかし簡単なおしゃべりにはどこか特別なものがある。それは両者が同じ意見をもつ事柄(ことがら)についてでなければならないということである。簡単なおしゃべりの目的は、人々にあることについて同じ意見をもつようにさせることである。こうすれば人に会うことがより簡単で、気楽になれるのである。人はたいてい天気のことでは意見が合うので、天気は簡単なおしゃべりには無難な話題である。しかし、宗教や政治については意見が合わないことがよくあるので、これらは英語で行う簡単なおしゃべりには適さない話題である。簡単なおしゃべりの話題は会話がどこで行われているかによっても決まる。サッカーの試合では「すごい試合ですね」というような、見ている試合のことについて簡単なおしゃべりをする。バス停では「最近バスがとても遅い(おそい)ですね」というような、バスの便について意見を述べるようにだ。
 あいさつや簡単なおしゃべりはどの言語でも会話の重要な部分である。しかし人がお互い(おたがい)にあいさつする方法や話題にする内容は言語によって異なる場合がある。このことからわかるのは、私たちが言語を学ぶ際には単にその言語の語彙(ごい)や文法を知るだけでは不十分だということである。私たちはその言語を話す人々の社会における振舞い(ふるまい)方も学ばなければならない。 ( n )
 内容:妖怪(ようかい)「もののけ」がつくと、そのモノをむしょうに捨てたくなる。人類は、これまでモノを捨てずにむしろ拾うことを常態としてきた。産業革命で大量生産が可能になったときに、消費を上回る生産を守るために妖怪(ようかい)「もののけ」が利用された。妖怪(ようかい)「もののけ」の操作によって流通経済は円滑(えんかつ)に進行している。
 解説:Aの意見は、単純に「モノを大切に」。Bの意見は「経済を発展させるためには、古いモノを捨て新しいモノに置き換える(おきかえる)新陳代謝(しんちんたいしゃ)も必要だが」となるでしょう。
 名言は、「飽きる(あきる)ということも……(モノを捨てるということも確かに大切だが)」「限られた人生で大事なことは……(いろいろなモノを買うよりも買わずに済ます工夫を)」「自分の心のうちに……(モノよりも心のほうが大切)」「大切なのは健康らしい外見ではなく……(外見の豊かな生活よりも内面的に豊かな生活を)」などが使えそうです。 ( n )
 第一段落は要約。
 第二段落は、意見Aと体験実例。「もっとモノを大切にするべきだ。」
 第三段落は、意見Bと昔話実例。「経済を発展させるためには、古いモノを捨て新しいモノに置き換える(おきかえる)新陳代謝(しんちんたいしゃ)も必要だ。昔話の桃太郎(ももたろう)でも桃太郎(ももたろう)は、おじいさんおばあさんと一緒(いっしょ)に暮らす村社会という古いモノを大切にする一方で、鬼(おに)が島に鬼(おに)退治に行くという誰(だれ)も成し遂げ(なしとげ)たことのない新たな試みに挑戦(ちょうせん)した。」
 第四段落は、反対理解と総合化の主題と名言の引用。「確かにモノを大切にすることも、経済発展のためにモノの新陳代謝(しんちんたいしゃ)を進めることもどちらも大事だ。しかし、いちばん大切なことは、「自分の心のうちに持っていないものは何一つ自分の財産ではない。」という名言があるように、心豊かに自分の満足する生活を送ることである。」 ( n )
第3段落、「経済の発展のためには新しいものを売っていくことも必要だ」の「昔話実例」。
 「わらしべ長者」。わらしべを拾って持っていた主人公が、「それが必要だからこれと取り換え(とりかえ)ておくれ」というリクエストに応えているうちに、しまいに立派なお屋敷(やしき)を手に入れるという話。
 最初のわらしべにこだわらず、次々に新しいものに取り換え(とりかえ)ていったから、生活が豊かになったのですね。
 (ただしこれは最初、「まず手に入れたものを大切にせよ」という観音様の教えに従って、という話もあるので、「物を大切にする」という「昔話実例」にも使えそうです。(笑)) ( h )
【ミニヒント】昔話実例
「ハメルーンの笛吹き(ふき)」というドイツの民話があります。昔、ハメルーンの町はねずみに悩まさ(なやまさ)れていた。ある日、背の高い男の人が市長を訪ねて来て、ねずみを退治する代わりに千ギルダーをくれるように言った。その男が笛を吹く(ふく)と、数えきれないほどのねずみたちが出てきて、川に飛び込み(とびこみ)、溺れ死(おぼれじに)んでしまい町の人たちは大喜びしたというお話。
 第三段落の、「経済を発展させるためには、古いモノを捨て新しいモノに置き換える(おきかえる)新陳代謝(しんちんたいしゃ)も必要」という意見の昔話実例に、役立ちそうですね。
 (笛吹き(ふき)男は約束の千ギルダーをくれるように市長に頼む(たのむ)が、市長はお金を払う(はらう)のが惜しく(おしく)なり、ねずみたちは勝手に出て行ったのだと言う。笛吹き(ふき)男は、笛を吹き(ふき)、子供たちを岩山の穴の中へと連れていってしまった。子供たちは二度と戻っ(もどっ)て来なかった。)という続きの話は、むしょうに「千ギルダーを男にあげるのが、もったいない」という気持ちに駆ら(から)れたケチな心を抱い(だい)た市長への戒め(いましめ)かもしれませんね。要求どおりの報酬(ほうしゅう)を気持ちよく払っ(はらっ)てあげれば、こんな結末にはならなかったはずなのに・・・・・・。 ( m )