昨日191 今日89 合計29126

解説集 黄テイカカズラ の池 (最新版 /印刷版 /ウェブ版 /最新版
印刷版は印刷物として生徒に配布されているものと同じです。ウェブ版は書き込み用です。 https://www.mori7.com/mine/ike.php
最新版には印刷日(2024-03-14 00:00:00)以降に追加されたもの(グレーで表示)も掲載されています。

1.1週 
●自由な題名
 自由な題名です。ふだんの生活の中で問題だと思うことを自由に書いてみましょう。意見の中心は「……という人もいるが、私は……と思う」というように、論点が明確になるように考えていきましょう。

1.2週 
●この世の中には食べるものも(感)
まず論点を決めましょう。成功とは何か、幸せとは何かというテーマが思いつきやすいですね。そこから「考え方によって、自分の身におきたことをどうとらえるかで、人生は幸せにも不幸せにもなる」という生き方の主題につなげていくとよいでしょう。
マイナスの体験も幸運な体験も、どちらも誰にでもあるでしょう。大きな病気や犯罪被害などの大きな出来事でなくても、昨日の嫌なことや受験の失敗、模擬試験の点数なども十分に材料になります。
そういう「不運」に出会ったときの自分の心のあり方を分析してみましょう。そうして課題文の主張を照らし合わせてみましょう。数度の失敗で自信をなくし世間を逆恨みしている男が多くの子どもたちを殺傷するという大事件を起こしましたね。もし彼が失敗や不運を「自分への試練」「自分を見つめる良い機会」と前向きにとらえ、一歩でも前に進むことができれば彼の人生は変わっていたでしょう。彼ばかりではありません。失われた貴重な命も。
あなたはどうですか? ただただ不運を嘆き天を呪うだけか、何か重大な意味があるとしてプラスにもっていくか。どちらでもいいのです。自分の心を分析して、「こう考えれば前向きになれる」というもっていきかたでもかまいません。
課題文の主張は多くの宗教において同じように述べられています。なぜ課題文のような主張が大事なのか、理由は自らの体験と時事問題などの分析からひっぱってきましょう。
長文実例は時事問題や事件。または障がいを持ちながらも前向きにがんばっている人のエピドードでもいいですね。星野富弘さんの話などは好適でしょう。
 反対意見は「乗り越えられないほどの出来事もある」「不運をそのまま受け入れることも大切では」ということが想定されますね。確かに戦争や事件にまきこまれた人がそれに意味を付して前向きに考えることが難しいのは当然です。けれども憎悪と悲嘆を乗り越え、事件と加害者を冷静に分析し社会に問題提起する犯罪被害者たちもいることは事実です。戦争で傷つき肉親を失った人々が戦争反対運動を草の根で何十年も続けていることも事実です。それには想像を絶するほどの痛みと苦しみと葛藤の過程、そして強靭な精神が必要です。しかし傷を乗り越えた彼らの言動が社会を変えていく。そういうことから、一人の生き方が社会全体の変革にもつながるという重要な主題を論じることもできますね。

1.3週 
●ヨガの哲学の中に(感)
<テーマの例>
「身に病ありとしもいえど、心まで病ませるな。運命に非なるものありとしもいえど、心まで悩ますな」
→この言葉から、どんな状況でも自分の考えをしっかり持つことの重要さ、困難さを考えてみよう。

「この世の中のすべての進化も向上も、ひとりでに進化し、向上したんじゃないじゃないか。人間の頭で考えた事柄がいろいろの設備や組織になって、この世の中が進歩してきている。そうすると、俺も人間の一人だ。」
→この言葉から、自分が生きている世界は自分たちが作ったもので、自分たちも自分がいる社会も創られたものではないということが読み取れる。「なんのために生きているのか」という問題を自分一人ではなく、社会の中の自分という立場で考えてみよう。

<複数の方法>
・自分と他者との関わりに目を向けて、自分を客観的に見つめる。
・社会や世界を俯瞰する。
・異なるコミュニティーや価値観の存在を理解したり受け入れる努力をする。
・自分が抱えている問題を時代の流れや社会のあり方にリンクさせる。
・他者が提示する考えや「常識」「真理」「知識」を鵜呑みにするのではなく、それらに問題意識を持ち、自分の力で考える努力をする。

<伝記実例・長文実例>
民族解放運動や市民運動などの歴史を見ると、自らの信念のためにどんな苦境にも耐えぬき、また信念のために死さえも厭わなかった人が多くいる。日本によるアジア支配下ではベトナムの僧侶が焼身自殺をしたり、民族独立闘争を闘い抜いた革命家、政治犯としてとらわれた反戦主義者……。

また病や障害にとらわれずに生きようとする人びとの姿はパラリンピックなどで多く目にすることができる。

精神科医神谷美恵子氏はハンセン病患者の心のケアを通して生きがいの重要性を説いた。

<反対意見への理解>
確かに病や不運を運命だと観念する潔さも必要だという者もいるだろう。病や不運に見舞われて心を平穏に保つことは不可能に近い。しかし病や不運がなぜおきたのか、どのように受け止めればいいのかと考えることは、自分自身や私たち社会へとプラス還元できるだろう。