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解説集 リンゴ の池 (最新版 /印刷版 /ウェブ版 /最新版
印刷版は印刷物として生徒に配布されているものと同じです。ウェブ版は書き込み用です。 https://www.mori7.com/mine/ike.php
最新版には印刷日(2024-03-14 00:00:00)以降に追加されたもの(グレーで表示)も掲載されています。

7.1週 
●ウサギとカメ、手助けはよいか
◎長文実例……長文集のほかのページから似た例を探して書く練習です。長文を何度もしっかり読んでいないとできません。データ実例、昔話実例などとセットになっていますから、どちらかができればいいです。例えば、「データ実例・長文実例」の場合は、データ実例が入っているか、長文実例が入っているかどちらかでいいです。どこの長文からの引用かわかるようにできるだけ「長文○○によると」のように書いておいてください。
 
 世の中には、ウサギ型の人とカメ型の人がいるようです。自分の生き方として考えてみましょう。
 展開部分は、その生き方を実現するための方法を書いていきましょう。
 結びの段落では反対意見に対する理解も忘れずに。
●ウサギとカメ、手助けはよいか
 今学期は、字数の目標が800字になっています。
 各段落それぞれ200字くらいで書いていかれるようにがんばりましょう。
 ●印の項目は変わっていません。作文の中に入らないキーワードは、ただし書として入れておきましょう。

 今回は長文の感想文ではないので、第一段落は、イソップ童話「ウサギとカメ」についてのコメントと意見(生き方の主題)を書きます。「私は、カメのように、急がず、マイペースで生きていきたい。」

 第二段落は、方法1と実例。「そのための方法としては第一に、目先のことにとらわれず、もっと先の目標をしっかりと見つめていくことである。」目先のことに振り回されて周囲に流されてしまうことのないように、自分の目標をしっかりと見つめ、その目標に向かって一歩一歩着実に進んでいくことが大切ですね。

 第三段落は、方法2と実例。「また、第二の方法としては、学校などでももっと長い目で子供の成長を見つめていくことである。」エジソンの母親は、エジソンの才能を信じ、長い目で子供の成長を見守りました。

 第四段落は、反対理解と名言の引用。「確かに、先取りをしながら進んでいく生き方にも良さがあるだろう。しかし、『毎朝、歯をみがくのに、一週間分まとめて一挙にという人はいない。』という名言があるように、私は、むやみに先を急がず、目標に向かってカメのようにこつこつと進んでいきたい。」
構成図の書き方
 構成図は自由に書いてください。思いついたことを矢印でつなぎながら書いていくと、書きたいことがはっきりしてきます。

頭の中にあるものをそのまま書くとき。
構成図で書くとき。
初めに絵をかくといいでしょう。
思いついた短文を書きます。
矢印でつなげて書いていきます。
関係なさそうなことでもどんどん書きます。
はみだしてもかまいません。
大体うまったらできあがり。


●ウサギとカメ、手助けはよいか
 ウサギのようにスピード感を重視した生き方をしたいという主題で書く人もいると思います。確かにウサギは最終的に油断してしまい、カメに負けてしまいましたが(笑)、ウサギのような行動力・即決力がこれからの時代に求められている、というふうにも考えられそう。方法としては、
●目の前に起きていることに常に一生懸命でいることだ。
●何事にもスピーディーに対応することだ。
●自分の能力に自信を持つことだ。
などが考えられそう。自分の俊足に自信を持ち、カメとの競争にも全力を尽くす(そのため、最後に油断したのはよくなかったですが)ウサギの生き方に学ぶことも多いはず。

7.2週 
●生きることは学ぶことであり(感)
 「創造とは、マッシュルームのようなものだ」という例がわかりやすいですね。キノコは根の発達が妨害されると、胞子という種子を作ります。人間も、困難に直面してなんとかそれを乗り越えようとするときに創造性を発揮するのでしょう。「窮すれば通ず」ということです。
 体験実例とともに、織田信長の桶狭間の戦いのような伝記の実例を探してみましょう。
●生きることは学ぶことであり(感)
 第一段落は、長文の要約と意見(生き方の主題)。「私は、逆境をプラスに変えていくような生き方をしたい。」

 第二段落は、方法1と実例。「そのための方法としては第一に、失敗を恐れずに積極的に物事に挑戦していくことである。」いつも楽な道を選んでばかりいては自分を成長させることはできません。常にワンランク上の自分を目指していくと困難に遭遇することもあるでしょう。でも、その困難に立ち向かっていく強い気持ちを持つことが大事ですね。困難から生まれるものもあるはずです。なかなか引き受ける人のいない役を自ら進んで引き受けたなどという体験実例が書けそうです。

 第三段落は、二つ目の方法と実例。「また第二の方法としては、敗者に対しても考慮されるような社会体制を作ることである。」敗者復活制度のない社会では、一度の失敗が大きな影響力を持つため、失敗を恐れずに挑戦していくということがなかなかできません。失敗をはねかえすことのできるチャンスが残されているような体制を作ることが必要ですね。身近なところでは高校入試の例などが挙げられそうです。

 第四段落は、反対理解と名言の引用。「確かに、逆境より順境にいた方が心に余裕が持てる。しかし、『脱皮できない蛇は滅びる。』という名言もあるように、私は困難なことにも挑戦し、逆境をプラスに変えていくような生き方をしたい。」
★生きることは学ぶことであり(感)
 自分自身の体験実例だけでは、なかなか話題が広がらないかもしれません。「恵まれた環境に満足せず、積極的に逆境を求める生き方」としては、スポーツ選手の例が挙げられそう。野球選手や、サッカー選手の中には、日本での活動に満足せず、世界に活躍の場を広げようとする人が少なくありません。日本では、実力・名声共にナンバー1の選手たちが、あえて言葉も文化も違う世界に出ていこうとするのはなぜでしょうか。逆境の中で彼らが得ようとしているものは一体何でしょう。世界で活躍している日本人選手を調べてみてもおもしろそうですね。

7.3週 
●何といっても、現代技術を(感)
 科学技術の発達によって、モノは豊かになりましたが、今度はその豊かになりすぎたモノによって環境破壊や廃棄物処理の問題が出てきました。所有するよりもレンタルで済ませた方が地球に優しい生き方になりつつあるのかもしれません。
 中学3年生のみなさんにとっては、レンタルビデオやレンタルCDが身近な話題でしょう。昔は貸本屋という商売がありました。豊かになるにつれて、貸本屋はなくなり、本は自分で買うものという風潮になりました。しかし、今また古本の店が増えています。
 意見は、自分の生き方に結びつけて考えましょう。「所有するよりもレンタルで」という意見が決まったら、第二・第三段落の展開は、そのための方法というかたちで考えてみましょう。もちろん逆の意見でもいいですよ。
 欲張りでモノをたくさん持とうとしたためにかえって不便になってしまったという例は昔話にありそうですね。伝記実例としては、一休や良寛の生き方などが考えられるかもしれません。長文実例は、7.2週のマッシュルームを例に挙げて、「新しい生き方が今求められている」とつなげてもいいでしょう。
●何といっても、現代技術を(感)
 第一段落は、長文の要約と意見(生き方の主題)。「私は、物の所有にとらわれずレンタルの考え方で生きていきたい。」
 第二段落は、方法1と実例。「そのための方法としては第一に、物を持つことだけに価値をおかないことだ。」ここは、自分の心構えのように考えて、体験的な実例を考えていきましょう。自分の部屋を占有しそうな物はなにでしょう? 本かなあ。CD? でも、よくよく考えてみると購入しなくても済んだものがあったのでは?「 持っていることに意義がある」みたいなものが、私たちには結構多いね。
 第三段落は、二つ目の方法と実例。「また第二の方法としては、レンタルのしやすい社会の仕組みを整備していくことだ。」私たちの価値観はライフスタイルの変化で変わっていく時代になりました。だからこそ、その時々に必要な機能を買うという方法がぴったりです。物を売るというより、その機能を売買するような仕組みをつくっていくことが望まれます。そのためには情報化が役に立ちそうです。
 第四段落は、反対理解と名言の引用。「確かに、自分をとりまく人々との関係、信頼といったものまでレンタルすることはできない。しかし、『限られた人生で、大事なことは、「何をするか」ではなく「何をしないか」である。』という名言もあるように、私は物の所有のみにこだわらず、自分に必要な物を機能としてレンタルして必要充分という生き方をしていきたい。」

8.1週 
●生きもののように焔をあげ(感)
 かつて生き物のように人間の身近にあった「火」は、今ブラックボックスに囲まれて、生活の隅々に入り込んでいます。ライター、電子レンジ、ガスコンロ、そして原子力発電所などというかたちで供給される火は、次第に人間の手を離れていくようです。
 アメリカで、濡れたネコを乾かすのに電子レンジに入れてしまったという事故がありましたが、これも火がブラックボックス化したために人間の実感から離れてしまった一つの例でしょう。今、ご飯を炊くのに、近くの山からまきを拾ってきて、火打ち石で火をおこしてという人は、まずいません。マッチを使う機会さえ少なくなりました。そのために、火の怖さや熱さを感じる機会も減っています。
 生活が便利になり、人間が自分で手を下す必要がなくなった結果、そのものの持つ危険性を実感できなくなったという例は、ほかにもたくさんありそうです。
 格闘のテレビゲームなどをやっていると、空中に数メートルも跳ね飛ばされるようなパンチを食らっても骨付き肉を食べればまたすぐにパワー全開! おまえはどういう体をしとんじゃいというような場面がよく登場します。こういう人体の実態からかけ離れたゲームをしていると、暴力にも次第に無感覚になっていきそうです。戦争でも、刀や槍を使う戦争であれば、「こんなので切ったら相手も痛いだろうなあ」という想像が働きますが、モニター画面を見ながらスイッチを押して爆弾を投下するようなかたちの戦争ですと、ついコーラを片手に「よっしゃあ、今度はこっちに爆弾投下だ」などとやってしまいそうです。
 自然の力を制御する技術が、その力をブラックボックス化し、そのためにかえってその力(火や水など)が暴走する可能性を増大させているる、という例を探してみましょう。便利な生活に流されないで、自分の手足を実際に使ってみることの大切さということを主題にしてもいいでしょう。
 名言は「寒さにふるえたものほど……」「上天気に日に、嵐のことなど……」「理想に到達するための手段は……」など。
 伝記実例は、アインシュタインなど。長文実例は、7.2週のキノコの話で逆境=不便さと置き換えて考えてみるといいかな。または7.3週のレンタルのすすめで言うと、アメリカは今経営をスリム化するために、次々にアウトソーシングを進めていますが、これが逆に技術の空洞化を生み出している面もあるようです。みなさんも人から借りたノートをコピーするよりも、ちゃんと自分で授業を聞いて手を使って苦労して書いた方が身につくという経験を持っているでしょう。便利なレンタルよりも……と考えてみましょう。
●生きもののように焔をあげ(感)
 第一段落は、長文の要約と意見(生き方の主題)。「私は、便利さに流されることなく、生きるための知識や知恵を自らの身をもって習得していきたい。」

 第二段落は、方法1と実例。「そのための方法としては第一に、便利なものに頼らず、自分の手足を使うことである。」火をつけるのに、毎回火打石を使うわけにはいかないでしょうが(笑)、マッチを擦ったことがないというのでは困ります。また、インスタント食品しか作ったことがない人は、料理を作るときの知恵を身につけることはできないでしょう。

 第三段落は、二つ目の方法と実例。「また第二の方法としては、学校教育においても、机上の勉強だけではなく、実体験にもとづく学習を取り入れていくことである。」最近では、農業や林業などの体験学習を取り入れる学校が増えてきました。

 第四段落は、反対理解と名言の引用。「確かに、一度便利になってしまった生活を変えることはむずかしい。しかし、『私たちの人生は、私たちが費やしただけの価値がある。』という名言もあるように、私たちは、自分の手や足を使って、生きるための知識や知恵を身につけていくことが大切だ。」
Re: ●生きもののように焔をあげ(感)
 本文の最後に出てくる「ダモクレスの剣」とは、「〔ダモクレスは、紀元前四百年ごろのシチリア王のけらい。あるとき、上に剣が馬の毛一本でつり下げてある玉座(ギョクザ)にすわらされ、支配者の権力のあやうさをさとらされた故事から〕幸福や繁栄(ハンエイ)のかげにいつも危険がせまっていることのたとえ。」(三省堂国語辞典 第四版より)だそうです。
 「自分の手でするのではなく、道具を使ってするために経験が身につかない」一番身近な例は、「漢字」では。パソコンやワープロを使い慣れていると、「読めるけれど書けない」漢字がたくさんあって、たまに手書きで書類などを書かねばならない時、「あれ?」ということになります。また、近頃では電子辞書を勧める学校も多いとか。これに慣れると、実際の辞書の引き方などを忘れてしまうかもしれませんね。

★参考:ギリシャ神話によると、神々の長ゼウスがプロメテウス(「先に考える者」という意味)に命じ、粘土で人間を作らせました。しかし、「火」だけは与えてはならぬと言いつけます。しかし、人間を哀れに思ったプロメテウスは、その言いつけに背き、人間に天上から火を盗み与えてしまいます。そしてゼウスの怒りに触れ、恐ろしい罰を受けることになるのです。
 
 プロメテウスは、果たして正しかったのでしょうか。その答えは、私たち人間の行く末に出されるのでしょうね。

8.2週 
●最近、料理を趣味とする人が(感)
 料理を作るとき、初心者は最初に自分のレパートリーがあってそれに合わせて材料を集めようとします。プロは材料を眺めながらその材料を活かす料理を考えます。これまでの近代産業技術は、料理の初心者のように、技術から発想して資源を追い求めてきました。資源の枯渇が目に見えはじめた今、資源からの発想が求められています。
 近代産業技術の話で考えると話が広くなりすぎてしまいます。自分の生き方に合わせて考えてみましょう。技術からの発想というのは、「いい学校に入るためには、英語と数学と国語と理科と社会ができなければならない。僕は理科が苦手だから理科をがんばろう」というような発想です。資源からの発想というのは、「僕の得意なことは、人づきあいのいいことと英語の好きなことだから、この二つの資源をうまく生かして何かできるかなあ」というような発想です。苦手をなくす考え方と得意を伸ばす考え方の対比と考えてもいいかもしれません。
 長文実例は、資源の枯渇というところで、7.3週「何といっても、現代技術を(感想文)」などが引用できそうです。自分の持っている資源を有効に使い、足りないものはレンタルで間に合わせていくという発想です。企業の経営も、これまでは、製造部門から販売部門まで全部を自社で持つというやり方が主流でしたが、今は得意な分野だけを持ち、あとはアウトソーシングでほかの会社にカバーしてもらうというやり方が多くなっています。こういうのも、資源からの発想と言えるのでしょう。
●最近、料理を趣味とする人が(感)
 第一段落は、長文の要約と意見(生き方の主題)。「私は、目的を定めてから、それに必要なものを集めるのではなく、今あるものを生かして新しい物を作り出すような生き方をしていきたい。」
 第二段落は、方法1と実例。「そのための方法としては第一に、今あるものを無駄なく使うように創意工夫することだ。」たとえば、料理するとき、作るものを決めてから材料を買いに行くのではなく、冷蔵庫に残っているもので何が作れるか工夫するということです。
 第三段落は、二つ目の方法と実例。「また第二の方法としては、消費に重きが置かれている社会を見直し、物の再利用を進めていくことだ。」私たちも、日々の生活の中で新しい物を買う前に、他の物をリサイクルしようと心がけることが大切かもしれません。
 第四段落は、反対理解と名言の引用。「確かに、今あるものを生かそうとする方が手間や労力のかかる場合もある。しかし、「時間を作る一番の方法は、急ぐことではなく、どこに時間を使うかを考えることである」という名言があるように、今あるものをどう使うか考えることが私たちの未来を豊かにしていくのだ。」
●最近、料理を趣味とする人が(感)
<第1段落>何かに悩んだり、解決策がみつからなくて困った経験を思い出してみよう。
<第2段落>ものを見るときだけに限らず、我々は常にいろいろな方向、あらゆる角度から考えなければならない。その方が正確で、真の姿をとらえやすい。数学の問題や、八方塞に見える難問が角度を変えてみたら解けた例はないか?
<第3段落>一方でひとつのことを同じ方向に掘り下げていくという行為も重要な時がある。これだ、という信念のもとに。
<第4段落>多角的視野を持ってものを見ることも、ひとつの方向でじっくり深めていくのも重要だ。しかし、もっとも大切なことは、ものの本質を見極め、真実に近づこうとする熱意に他ならない。

8.3週 
●文章を読んでいて(感)
 内容:読書のもたらす知的な刺激は脱線の可能性だ。本を読むときは、脱線しながら自分の考えを確かめつつ読むのがいい。すぐれた本やすぐれた指導者に近づきすぎるとかえって自分が育たなくなる。
 解説:高校入試にも大学入試にもよく出てくる外山滋比古さんの文章です。「読書の楽しみは脱線にある」というのが題材で、主題は「優れたものからは一歩離れよう」です。読書に限定せず、広く人生全体に関連させて考えてみましょう。
 吉田松陰のように、立派な指導者が立派な人材を育てたという例ももちろんありますが、立派すぎる人のもとでは人はかえって育たないようです。世の中に新しい事業を起こす人も、多くは主流から離れたところから出てきます。明治維新のときも、幕府の中枢に近い人はかえって世の中の大きな流れから取り残されてしまいました。JR民営化のときも、国鉄の事情にくわしい関係者ほど、民営化という荒療治をせずに細かい小手先の改革で赤字が解消できると考えていたようです。
 「盲、ヘビにおじず」ということわざがあります。謙虚さは必要ですが、謙虚なだけでは世の中は進歩しません。世の中が安定すればするほど、謙虚さよりも師をのりこえる勇気が必要になるのでしょう。
★文章を読んでいて(感)
 主題は広く「脱線の大切さ」で。第一の方法は、「色々なことに興味を持ち、脱線を恐れないことだ」。学生の本分はもちろん勉強ですが(笑)、例えば、部活や課外授業などにも得るものはたくさんあります。「こう」と決めたらぶれない、という一直線型の生き方もありますが、脱線すればするほど、経験値が増え、人間としての幅が広がるのではないでしょうか。また、第二の方法は「異論や異端を認める余裕のある社会を作ること」などとするとよいでしょう。人間にも人生にも色々なタイプがあり、だからこそ面白みが生まれます。「こうでなくてはならない」「こうあるべきだ」などという固定観念を持たず、自由な発想を出し合えるような社会作りを進めていくといいですね。

9.1週 
●映画「地球交響曲」の(感)
 内容:「地球交響曲」のシナリオハンティングのためにラップランドの森を歩いた。森には多様な木々や虫や動物たちが一つの大きな生命体として生きている。この森の一員になるためには、蚊やブヨの大群も、森のシンフォニーの一つなのだと考えなければならない。
 解説:人間は自然の一員です。人間にとって都合の悪いように見えることであっても、大きな自然の流れから見れば必要なことなのでしょう。いつでも5月のような気候で、空は青く晴れわたり、庭にはきれいな花だけが咲いて、今日も明日も日曜日で、というような生活を求めるのではなく、雨も雨なりにまた楽しというような心境になることが大切なのでしょう。自然の一員として生きるということをテーマにして書いてみましょう。長文実例は、8.2週の「料理を趣味とする人が」の資源からの発想などが使えそうです。
●映画「地球交響曲」の(感)
 第一段落は要約と意見を書きます。要約に続けて生き方の主題を挙げます。「私は自然のなかの一員であるという自覚を持って生きて行きたい。」
 第二段落は、そのための一つ目の方法と体験実例を挙げます。「そのための方法は第一に、すべてのものが助け合って生きていることに気づくことだ。」 私達は不快に思うものは排除します。たとえば害虫を殺してしまいます。そのせいで、それを天敵としていた生き物が増えてまたちがう害を生んだりします。一見して役になっていないような一匹の虫も、自然界でひとつの役割を果たしているのですね。
 第三段落は、二つ目の方法と実例を挙げます。「また第二の方法としては、地球もひとつの命として大切に守ろうとすることだ。」地球はひとつ。資源には限りがあります。あるものを有効に使っていかなければなりません。人間が身勝手をすると破壊していくことになります。長文実例として8.2週の例を挙げ「今日、人類が直面している危機を乗り越え、新しい文明への道を拓くためには、発想を一八〇度転換して、技術からではなく、資源からの発想に切り換え得るかどうかが鍵となる」という意見を引いてみましょう。
 第四段落は、反対意見に理解をしめしながら、名言の引用をしてまとめます。「確かに、快適な暮らしのために開発することも必要だ。しかし『存在するものには、良いとか悪いとかを言う前に、すべてそれなりの理由がある。』という名言もあるように、地球はひとつの命として生態系のバランスを保って生きている。人間はその一員として大きく調和して生きていかなければならない。」
★映画「地球交響曲」の(感)
第一段落~要約と意見。生き方の主題は「自然の一員として生きたい。」
第二段落~そのための一つ目の方法と体験実例。「そのための方法は第一に、山や川、海などの自然に親しみ、自然のもたらす脅威にも対応できる力を持つことだ。」体験実例としては、川辺でのキャンプなど。夏などキャンプシーズンに、川の中洲にテントを張り、突然の豪雨で川が増水し、テントが流されてしまって死者が出るなどの事故がいくつかありました。命を守るためには、安全な場所を見極める知識が必要ですが、そのためにはまず、知識だけではなく、身体で自然に親しむことが大切ですね。
第三段落~二つ目の方法と実例。「また第二の方法としては、地球の一員として限られた資源を大切にすることだ。」化石燃料や原子力に頼らないエネルギーの研究・開発が進められています。何が環境にとって優しいのかについて、アンテナを張り巡らして新しい情報をキャッチし、エネルギーの使用や商品の購買に際し意識的な選択ができるといいですね。
第四段落~反対意見への理解、名言の引用、生き方の主題。名言は、これからに向けて、ということで、「過去と他人は変えられないが自分と未来は変えられる。」「未来には、ひとりでにできる未来と、自分で作る未来との二つがある。」「未来を予測する最も確実な方法は、未来を創造することである。」などが使えそうです。

9.2週 
●トンボ王国は(感)
 内容:トンボ王国はトンボと親しむための場だ。そのためには見るだけでなく、実際にトンボ採りを体験させることも必要だ。美しいものを自分のものにしたいと思うのは自然の欲求で、それをむげに禁止することはない。今の子供たちの虫採りは数を競う傾向にあるが、これは子供の遊び文化が退廃しているからにほかならない。子供たちがトンボ採りに興じられるような環境を作りたい。
 解説:現代の社会は、自然との直接の関わりを持つ機会が少なくなっています。みなさんも、海で泳ぐよりもプールの方がきれいでいいとか、暑いときに外でセミやトンボをつかまえるより、涼しい家の中でテレビゲームをやっている方がいいとか、雪の降る日に外で雪だるまなんか作るよりも家の中でミカンを食べながらテレビを見ていた方がいいとかいう気持ちがあるでしょう。しかし、そういう中でも、たまには「ああ、やっぱり自然っていいなあ」と思ったことがあると思います。そんな経験を思い出して書いてみましょう。
 現代社会は、子供たちが自然に接する機会を環境の面で奪っているばかりでなく、心理的にも抑制しているようです。みなさんもよく、「生き物なんだから、つかまえないで逃がしてやりなさい」というお母さんの言葉を聞いたことがあるでしょう。子供の気持ちとしては、生き物だからこそ、つかまえておきたいのにね。また、「生き物は汚いから、家の中に持ってきちゃだめ」などと言われたことのある人もいると思います(自分だって生き物なのに)。ペットは汚れたり臭かったりするから飼わないという家庭も多いようです。気持ちはわかりますが、子供の心の成長ということから考えると、あまり人工的で清潔な環境はかえってよくないようです。
 自然と接して生きるということをテーマにして、それを実現するための方法を書いていきましょう。
 名言は、「寒さにふるえた者ほど……」などが使えそうです。
Re: ●トンボ王国は(感)
 第1段落、要約のあと、「何事も自分の身をもって体験することで成長していきたい。」と「生き方の主題」を書きます。

 第2段落は方法の1。「そのためには、生の自然や人間に接する機会を多く持つことである。」「体験実例」を入れます。キャンプに行って、飯盒炊飯に苦労したことや、虫の多さに音を上げたこと。なんでもメールまたは電話ですませてしまって、面と向かってはあまり話さなくなっていること。あるいは部活やクラスで、みんなの話し合いで何かを成し遂げた経験など。

 第3段落は方法の2。「子供達にやたら注意・禁止するのではなく、自由の中での責任や配慮を教えることである。」「社会実例」は、公園によくある禁止の立て札。いつも立ち入り禁止の芝生は、見るためだけのもの? 厳しすぎる校則など。

 第4段落は、「反対意見への理解」「確かに、現代は子供達の周辺も犯罪などの危険が多く、昔ほどは自由に行動できない。」「名言の引用」を入れて「生き方の主題」でまとめます。

9.3週 
●このところ日本では園芸が(感)
 内容:植物の種類の豊富な日本では、草花の名前に味のあるものが多い。植物の種類の少ない英国では固有の植物名が乏しく、新たに名前をつけるときはギリシア語やラテン語にたよらざるをえない。新しいものを採りいれる日本人の積極性は評価するが、草花の名称を意味不明の外来語にむやみに置き換えるのはやめてほしい。
 解説:胡蝶蘭とファレノリプシスとを比べたら、だれでも胡蝶蘭の方がイメージ豊かに思い浮かべられるでしょう(えっ読めないって?)。こういう行き過ぎた外来語の例は、身近にたくさんありそうです。
 しかも、問題なのは、この外来語を使った言葉を日本語的に短縮してしまうことが多いことです。長文に出てくるセンペルフロレンスなども、業界では「おっ、そこのセンプロひとつ、こっちに植えといてや」などと言っているのではないかと、私(森川林)は推測しています。
 最近は、コンピュータやインターネットの普及で、カタカナのままの外来語がますます増えてきました。よくわからない代表的な言葉が、プロパティやパフォーマンスです。これは、もともと味のある日本語がないので仕方ないという面もありますが、新しい味のある和訳を考えてみたいところです。よく間違える代表的な例が、受信トレイや送信トレイ。ついトイレと読んでしまうでしょ。
 長文の著者、鈴木孝夫氏の「閉ざされた言語・日本語の世界」「武器としての言葉」(いずれも新潮社)はおすすめの本です。
●このところ日本では園芸が(感)
 第一段落は要約と意見を書きます。要約に続けて生き方の主題を挙げます。「私は日本的なよいものを見つめなおす生き方をしたい。」
 第二段落は、そのための一つ目の方法と体験実例を挙げます。「そのための方法は第一に、身近な自然を楽しむ気持ちを持つことだ。」 先日、お月見がありました。火星と接近した今年の中秋の名月は多くの人に観察されたでしょう。こうした行事も、月のさまざまな変化を楽しむ日本人の感性によるものです。満月も、また雲の切れ間にのぞく月も、同じように愛する、やさしい濃やかな感性です。
 第三段落は、二つ目の方法と実例を挙げます。「また第二の方法としては、自国の文化を理解することを教育の基礎におくことだ。」日本は西欧の文明に追いつくことで自国を発展させてきました。文化も貪欲にとりいれました。そのせいか、新しいものや外国の物の知識はあっても、自分の国の歴史や文化に疎い傾向があるようです。長文実例として9.2週の例を挙げ「特に将来のある子供たちに、トンボの住める環境がほんとうにすばらしいものだと感じさせることができたなら、その子供たちが大人になった時、日本中に多くの子供たちがトンボ採りに興じられる水辺が再生されるに違いありません。
」という意見があるように、実際に体験して自らの文化のすばらしさを充分に味わってそれを守ることが出来てはじめて、他のものを取り入れることが許されるのではないでしょうか。
 第四段落は、反対意見に理解をしめしながら、名言の引用をしてまとめます。「確かに、良いものを吸収して変化していくことも大切だ。しかし『大切なのは、健康らしい外見ではなく、健康自身である。』という名言もあるように、私たちの元となる日本的なもののよさを充分に理解し守っていきながら、新しい発展を考えていきたい。」