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あうゆな(あうゆな)クジャクの滝2024年03月清書
イイ匂いとワルイ匂い
あうゆな

 私は、将来歴史から物語性が失われ、時代の“匂い”が消えていくことが問題ではないか、と考える。
 その原因としては、自然科学の台頭が挙げられる。しかし、現代でも国家は存続し、人間社会を構成する諸制度は変わらない。つまり、自然科学という普遍性がどれだけ広範囲に支配圏を広げても、歴史観による嗅覚の重要性は衰えるどころか、ますます高まっていくと考えられる。
 一つの対策として、時代の匂いを消さない政策が挙げられる。例えば、ドイツではヒトラーの「我が闘争」が数年前まで発禁処分だったり、今でもナチス式の敬礼が法律で禁止されていたりするように、規制を国家単位で持つ、という選択肢もあるのだ。
 確かに、歴史は時として神話となり、根拠のない正義を振りかざす根拠にもなる。しかし、「ある町を知るのに手頃な一つの方法は、人々がそこでいかに働き、いかに愛し、いかに死ぬのかを調べることである。(ペスト:カミュ)」という名言のあるように、私は、将来歴史が時系列の並び以上ではなくなり、そこから時代の“匂い”が消えていくことが問題ではないか、と考える。

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