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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   無くなってしまったモノたち   紫式部

科学文明が発達することによって私たちの生活は便利になってきた。それは、「もっと便利に」「もっと快適に」という人間の飽くなき探究心からである。しかし、究極を求めて進化してきたモノと引き換えに人間に大切な「必要な手間」を捨ててきたことに気が付いていないのである。この過程で省かれてしまった「手間」こそ人間が成長を実感するために大切なものである。「手間」はそれにかけただけの特別な感情が生まれる。次々と進化していく便利なものに頼っている私ではあるが、なるべく「手間」を惜しまず自分でやるということも忘れてはならないと思っている。
 小さかった私が何より嫌いだったのは、同じ歳くらいの子が母親に助けられて何かをしている様子を見ることだった。子供がすることに対してすぐ助け舟を出す人と、自分の力で最後まであきらめずにやらせるのといろいろあるが、私の母は後者のほうだった。そして、あまり構ってくれない母を意地悪だと思っていた。小学校に入学してからも荷物の準備や靴の名前を書いたり。日常生活の簡単なあれこれを自分でやらなくてはならなかった。助けられてる同世代の子を見るとあの子は手伝ってもらってズルイなぁ〜と無性に腹が立ったのを覚えている。今思えばりっぱな嫉妬。つまり羨ましかっただけのことなのである。手助けというのはやりすぎると人の自立性を奪ってしまうことがある。母が私にしてくれた事は一見厳しいようでこれから生きていく中で大事なことを前もって身に付けさせてくれたと思う。
 職人の世界は手間暇を惜しまない。染色にしても、焼き物にしてもどの職人も持てるすべての技術と時間を注ぎ込む。私にとって職人は憧れの存在である。私は昔から京都などの日本の古い文化が好きで、特に着物の模様や染色の美しさにしばしば心を奪われることがある。生地に使う糸や織り方、色の配色、柄まで、いくつもの物複雑な工程への「手間」が半端ではない。そうして生まれたものは使う人の心を豊かにする。
 このように「手間」を経験したほうが良いということを言ってきたが、実際、私たちは便利で快適なものに囲まれて生活し、頼って生きている。PC、TV、冷蔵庫、洗濯機、様々だ。この前PCのデーターが突然消去してしまったときの私の落胆ぶりといったらなかった。ショックで怒る気も起きずただ唖然としていた。それだけ、ものに頼っていると実感したのであった。また、私は作文をPCで打って出しているが昔はPCなんかないから全部手書きである。PCのデーターがまた無くなっても作文を手書きするなどまっぴらゴメンだ。結局昔にはもどれないのである。しかし、「経験は最良の教師である」という名言のように私は自分の手足を使って経験を積むこと尊重したい。まだ、14年しか生きていないがお母さんにしてもらったことのありがたみを感じているからである。

   講評   kira

 紫式部さん、こんにちは。いい作品です。テーマを自分でのみ込んで、咀嚼して、わかりやすい形で生み出していますね。
 科学が進歩して、私たちの日常生活は便利に満ちています。飽和状態です。どんな夢もかなえられてあたりまえのような、甘さがあります。すると、自分の本当の力が見えなくなるんだね。
 紫式部さんのお母さんは聡明な人ですね。何が子どものためなのかを、はっきり知る人でした。親ならばついつい繰り出したくなる助けの手を引っ込める、愛情のある人なんだね。有り難いことです。
 そうして「手間」が与えてくれる財産の証として、職人の技を考えました。このさじ加減は、どんな精巧なロボットにも真似の出来ないものです。
 私たちがいちばん切実に感じる便利さと、不便さは確かにPCのことかもしれません。助手のように、秘書のように働いてくれるPCは、もはや勝手に休暇を取ってもらっては困る部下なのでしょう。
そんな不安から解放されるような、自分の力を身に付けたいものですね。


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