創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   春   スワニルダ

 里山を歩いていると何人ものハイカーとすれちがう。それぞれの目的を達成するのが里山の景観であり、それを構成する野生動物を中心とした自然だ。開発が進む里山では、野生動物たちが訪れる林が分断された。野生動物の交通事故が増え、色々な道路標識が立った。だが、シカやタヌキには当然それは読めないので、人間側の配慮が必要だ。野生動物にとっていちばんいいのは体を隠してくれる緑のコリドーだ。緑のコリドーを伝わって、里山の野生動物が都市の公園に姿を見せてくれたら、どんなに楽しいだろう。野生動物とのほんとうのつきあい方を私たちがしっかり知ることが大切だ。
 祖母の家の周りは里山とまではいかないが、緑が多い。何年か前の春に「郷土の森」に行ったとき、「ホーホケキョ」とウグイスが鳴いていた。初めて見るというのもあるが、まるで歌を歌っているような透きとおる声に感動した。「郷土の森」の春は、桜が満開に咲き乱れ、とても美しい。そこでお弁当などを食べると、自分だけの夢の世界に入るような不思議な空間に包まれる。走り回って遊ぶのもいいが、ゆっくり景色を眺めるのも悪くはない。何か自分が急に、年老いた気がする……。(笑)絵が得意な祖母は
「せっかくだから絵をかこうか。」
と言い、素敵な景色を背景に私をかいてくれる。それは私にとって「春の記念品」だ。その後はお散歩をしながら、写真を撮ったり遊んだりと夢の時間が進んでいく。気がつくともう夕方。辺りは鮮やかなオレンジ色で、より一層春らしさを感じる。
 近所の公園も、こんな空間だったらいいのにな、とふと思った。そういえば、私の家から少し行った辰巳には、やはり緑豊かな大きな公園がある。こういう場所が点在ではなく、線となってつながっていくことが必要なのだろう。
 人間にとって自然とは、野生動物にとって必要なのと同じように不可欠なものだ。アスファルトを突き破るように顔を出しているたんぽぽは、健気だけれど、やはり一面に咲き乱れる野の花が見たい。

   講評   nara

 東京東部と西部とでは、風景や町の様子が異なるように思うよ。西部の方が緑が多めだろうね。しかし、残念ながらその緑もだんだん分断されつつあるのかもしれない。東京を空から眺めてみたら、緑はどのように存在するのかな。一度見てみたい気がするね。ちなみに、都心では皇居近辺が一番緑が深いと聞いたよ。
 府中の郷土の森の話はすてきだな。おばあちゃんが絵で季節を表現するとしたら、スワニルダちゃんは文章で表現しているというわけだね。今回は春の情景だけれど、季節ごとの美しさがあるのだろうな。しかし、人工建造物が立ち並ぶ都心では、「季節ごとの美しさ」がなかなか味わえない。季節はすなわち自然だから、だね。
 長文の筆者は野生動物のために、人間は何ができるか・何をしなくてはならないのか、と問いかけている。しかし、それは野生動物のため「だけ」のことにとどまらない。むしろ、人間にはね返ってくる、人間のために考えなければならないことなのかもしれないね。情景を思い浮かばせるまとめも、きれいに決まった。野の花に出合えなくなって、一番損しているのは、人間自身だろうな!

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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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