低学年から学力の基礎を作る
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
小学1・2年生
小学3・4年生
小学5・6年生
中学1・2・3年生
高校1・2・3年生
本質の解法 タクミコ
十九世紀のうちに自然科学は急激に発達し、科学精神は歴史をも動かすことになった。歴史は歴史科学と呼ばれることになり、個人の価値を社会の中に埋没させる傾向を生じた。しかし、そもそも歴史事実の選択にもその歴史家の史観が働くので史料の統一には史観というのがなければならず、たとえ歴史家が個人を埋没する傾向にあったとしても自己を脱却した精神は歴史をとらえようとしていない。歴史にとどまらず、さまざまな面において現代社会は客観主義を重視しすぎだと感じる。科学重視のままでは本質を理解することの出来ない子どもたちが育ってしまう。
そのための対策としては、自分の意見や考えをしっかりと持つことである。わが国においては多くの中・高等学校でこのように自分の意見を重視するような教育体系は確立されていない。それは日本の入試制度に問題があるのではないかと私は考える。例えば、私の通っている学校は中高一貫であるが地方の学校に比べればいわゆる「進学校」であるが、高校三年生に入りカリキュラムに新たに「国語表現」という授業が加わる。しかし本来ならば自分自身の考えを表現するさまざまな方法を探究すべきこの授業が私の高校では漢文に変更されているのである。解答用紙に答えを記入することも大事なステップかもしれないが、せっかくの「表現」の授業がないのをたいへん残念に思う。
また、本質を理解できるようになるためには、分析や考察に力をいれるべきなのではないだろうか。最近社会でも話題となっている「新しい教育論」はこれを重視したものであるが、それは実際生かすことのできる能力がないと意味がないとするものである。日本での早期導入は難しいと思うが、欧米諸国では分析や考察に重点を置くことは当然のこととみなされている。
確かに、何か話題についての裏づけとなる知識は必要である。しかし、知識を暗記することに満足してある程度理解した後にそれを活用しなければ、知識を得た意味さえも無くなってしまう。だから私たちは本質を理解することを重視するべきである。知識を蓄えることは目的ではなく、通過地点にすぎないのである。それを再確認してもう一度わが国の教育体系を見直すべきであると私は感じる。
講評 hota
今回、要約が難しかったですね。述べられている内容が難しいのもありますが、例と引用と意見が入り交じっているのが、要約を難しくしている原因と言えるでしょう。こういうときは、「つまり」などのキーワードに注意することもですが、自分でも内容がよくわかるところを選んでみるのも手です。たとえば、終わりの方は、「対象は研究者がたんに自我を殺して無私的に見れば見えるようなものではなくて、研究者がそこに操作を加えることによってはじめてとらえられるものである」などを入れてみると、よくわかるのではないでしょうか。
あとの感想部分は、大まかな流れはよいと思います。細かいことを言うと「予測問題の主題」は、「……ということが問題だ。」と、問題提起をはっきりと。さらに、対策は、「そのための対策としては第1に、……」「対策の第2としては、……」と、複数の対策を述べていることをはっきり示そう。
あとの実例、「反対意見への理解」「自作名言」、結びはよかったと思います。
高3の課題は、本当に骨があって、手強いです。でも、数をこなすことで、必ず書けます。忙しくて大変だと思いますが、できるだけ、提出回数を増やそう。
毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘
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しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。
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