国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   未来を創る世界観を産む   Mura‐Mi

 昔も今も、音楽や文学や美術などの芸術には、作者の世界観や、時には主張が織り交ぜられるものである.ご存知の通りベートーベンの第9は、人生は暗く悲しいものであるという命題を否定し、人生とは喜びであるという彼の人生観を音楽にしたものである.同じように自らの世界観を描いた作品は現代にもあるし、注目されるべき世界観も数多いと思う.しかし、それを真正面から受け止め、その世界観を自分のそれと照らし合わせ人生の糧にして行くという姿勢は、見られづらくなっているように思われる.
 芸術がイデオロギーの塊に見られない理由の一つは、確かに、芸術がアクセサリーとして扱われるようになったからであろう.音楽が元気付けのために聴かれ、絵画がインテリアに使われることは、まさしくそれである.もっと、芸術の中にあふれる主張を読み取られるようになるべきだと思う.
 人生の迷いや悩みの解決を芸術に求めることは、作品に描かれている価値観が理解される機会を増やすいい方法だろう.人生を進む力を失った時にある作品に勇気を与えられるということは、その作品の主張や世界観を肌で感じたということと言えるだろう.私の記憶に深く残るある「舞台」は、人が死んでも、記憶という形でその魂は生き続けるというメッセージを発していて、それは「必死に何かを求める姿は意味がある」ということを私に教えてくれたような気がする.
 そのために、一つひとつの作品が均等に注目され紹介される世の中を求める必要があるだろう.例えば音楽なら、楽曲が紹介される機会といえば最初に上がるのがヒットチャートである.世界観という価値は数直線上には表せないから、「音楽CDの売上は楽曲の主張や世界観に比例する」なんてことは有り得ないだろう.人間の人格が曲を選び紹介される場、例えばラジオや音楽ライターのコラムなどは注目されるべきである.数値で表せない世界観を無理矢理に数直線上に表したヒットチャートの性格を理解した上で、数多くの作品が様々な観点で鑑賞されるべきなのである.これは音楽に限った話でなく、相対的でなく絶対である価値観が、客観的である数直線上の話で収められるのは今の社会の悪い点だと思う.個々の考え方一つひとつに注目をするべきだと思う.
 確かに、芸術を形成する手法や理論はそれ自体が学問になり、追求される.しかし、私たちの心を初めて豊かにしてくれるのは、その技術ではなく、その上に表現された、作者が描く新しい世界なのである.一つの世界と世界が重なり合って新しい世界が生まれ、その連鎖反応こそが、よりよい未来を作ろうとする大きなベクトルを生むと、私は信じている.

   講評   nane

 第一段落の状況実例が具体的でわかりやすい。「人生の糧にして行くという姿勢は、見られづらくなっているように思われる」を第一段落の結びにすると、途中で何を書きたかったのかわからなく可能性が出てくるけど、そのあと更に意見を絞っていったところがよかったね。
 「ある舞台は」の話は、もう少し具体的に。この体験実例を具体的に書くというのが、実は意外と難しいところ。個性・挑戦・感動の体験をここで見つけておくと、いろいろな場面で使えるようになる。
 数直線の話は、いい着眼点。この部分を更にわかりやすく書けるようにしておくといいよ。芸術作品が、鑑賞する人の人生との結びつきよりも、売上や人気という顔のない量的な尺度で評価されるようになっているということだね。よく考えて書いている。
 「確かに……」の反対理解は、ちょっと意味がわかりにくい。結びの段落もよく考えているけど、さっと読んでぱっとわかるという文ではないので、書き出しのキーワードとの対応などを考えながら、もう一工夫か。注文が多いけど。(笑)


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