創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   読書の楽しみは(感)   かいち

 碁を打つには相手がいり、野球をするには多くの仲間の他に、道具や広い場所も必要だ。しかし、読書は体力に関係せず、金があまりかからず、気の向くままにいつでもできる。こんなに便利な楽しみを知らない人は気の毒だ。
 「オーディオ・ヴィジュアル」の情報が活字情報を駆逐する時代が来た、という人がいる。「ヴィジュアル」とは感覚的ということで、たとえば、肖像写真は膨大な量の活字に相当する情報を表現できるが、それは現在の形であり、過去も未来も表現できない。しかし、活字でならそれを表現することができる。つまり、「ヴィジュアル」な情報と言葉による情報とは、互いに他を補うので、一方が他方を駆逐するのではないし、一方が他方に代わるものでもない。活字時代の後に「オーディオ・ヴィジュアル」の時代が来たのではなく、活字情報に「オーディオ・ヴィジュアル」の情報が加わったのだ。どちらも楽しめばよいので、どちらか一方だけを選ぶ必要はない。
 ならば、その活字情報にあたる読書そのものにはどういう種類の楽しみが伴うのだろうか。読書そのものの楽しみは人により、本により違うだろう。共通の楽しみがあるとすれば、それは知的好奇心のほとんど無制限な満足ということになる。世の中には好奇心を刺激する対象が限りなくあるから、対象を移して、好奇心の満足を広げてゆくこともできる。そして、多くの本を読むということは、日本語による表現の多様性の、美しさと魅力を知ることでもある。それも読書の楽しみの一つだ。(要約)
 僕は、はっきり言うと随筆は大の苦手で、カボチャよりも苦手だ。それとは正反対に、物語は大好きだ。今、僕はナルニア国物語を読んでいるが、本当におもしろい。何がそんなにおもしろいのかというと、本を読みながら想像をして、本の中のナルニアとは違う自分だけのナルニアをつくることだ。読書が嫌いな人は、その「想像する」ということが難しいのだと聞いたことがある。たしかに映像を見れば、その監督が想像したナルニアが見られるのだから楽であろう。しかし、「想像する」ことはさほど難しいことではない。「想像する」なんていう難しい言葉ではなく、「ひらめく」、「思いつく」という程度のことだ。文章を読み進めていくうちに、例えば「豪華な衣装を身にまとった巨人が現れました。」という文が出たとする。その瞬間に「金でできた衣装だ」、「巨人は30メートルはある」など、思ったこと、ひらめいたことを頭に置いて、文章の先へ進む。答えなどないのだから、まさに十人十色だ。これほどに簡単で楽しい作業はないと思う。なにしろ自分だけの世界が作れるのだから。僕はこの楽しさにひたってしまい、二駅も読み過ごしたことがある。それほどとにかく楽しいのだ。(体験実例)(たとえ)
 また、僕の大の苦手の随筆だが、これは時に僕たちに命の糧や現代社会の状況、生き方などの知恵を与えてくれるものだ。だから、「何もすることがない時には本を読め」という考え方には断固反対だ。何かを伝えたくて随筆を書いている筆者に対して、それは失礼だと思う。読書を難しく考えている人は、最初はひまつぶしでもよいが、いずれちゃんと読むようにするとよいと思う。物語は気軽に読む人もいれば気合いを入れて読む人もいるであろうから、僕がどうこういう問題ではないが、僕は気合いを入れて読んでいる。それは、物語のおもしろさを最大限にひき出し、味わいたいからだ。物語は人間にとって、無限の楽しみと、豊かな想像力を与えてくれる、素晴らしいものなのだ。(一般化の主題)

   講評   nara

 本に熱中して下車するのを忘れて、あわてて席を立ち上がるかいち君を想像したら、つい笑ってしまったよ。本が好きなかいち君らしいエピソードだね。電車の中という現実世界の中にいても、本という入り口を通して想像の世界に入り込んで、ちょっと出てくるのが遅れたわけだ。かいち君が随筆をあまり好まないのは、随筆の方が現実世界に題材をとったものが多く、想像の幅が狭いからかもね。
 今回の作文のよさは、「想像は難しくない!」と提案しているところだね。「想像できるのが本のいいところ」といくら力説しても、その想像が嫌だ・面倒だ・難しいと避けられてしまっては、説も空回りする。もっと肩の力を抜いて、それぞれの読み方でいいのだよ、と言われると、本嫌いも「だったら……」と思ってくれそうだ。人それぞれでいいという意見は、まとめの段落とも関わっている。「僕はこう読む」という姿勢をはっきり出しているけれど、それが押し付けになっていないのは、前段落の効果だ。
 今回の作文はさすが本好きのかいち君らしく、主題がはっきりとしていて、よくまとまっている。もし、加筆するのであれば、どうして本嫌いが生まれるのか、本は面倒・難しいという意識がどうやって植え付けられるのか、この辺りも考えてみるとおもしろそうだね。

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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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