創造と発表の新しい学力
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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いたずら 本因坊
「そこに立っていなさい!」
先生の声がろうかに響いた。なぜだろう。これは、友達のまねをしたのが原因だった。
「これ、中に入ると、面白いよ〜。」
友達のN・K君の声が耳に入った。
「何やってるんだよ。」
今度はK・K君の声が聞こえた。
(何何?)
見てみる。なんと、掃除道具入れの中に入っているのだ。その時は先生に見つからずにそれですんだのだが、僕は、二人がどこかへ行った後に、こっそりと中に忍び込んだ。まるで、泥棒のように。カチャン。掃除道具入れの中に入った。上の方から少ない光が入ってくる。だから、意外と明るかった。他の人が来たら脅かすことも忘れて、のんびりすごした。それが、掃除用具を片付けるためだったのも忘れてしまっていた。コツコツコツコツ。足音が聞こえる。
(よし、今が脅かすチャンス!)
そう思った僕は、掃除用具入れを空けて飛び出した。
(えっ。)
目の前にいたのは先生だった。
「なにしてるんだ、本因坊。」
「……。」
「そこに立っていなさい!」
それで、僕は立たされてしまったのだ。それだけではない。立たされていたとき、今度は別の友達が黒板に悪戯書きをしていた。ぼくも真似をしてみた。友達は途中で辞めて帰ってしまった。だが、僕はやり続けた。しばらくやっていて、消そうと思いながら、横を見てみた。すると、どうだろう。なんと、そこには先生が立っていたのだ。
(げっ。またまた先生。)
あわてて黒板を消す。しゅっ、しゅっ。すごい勢いで消す。消し終わったところで、もとのように立った。その時、先生の声が聞こえた。
「もう帰ってもいいと言おうと思ったが、黒板にいたずら書きをしていたので、延ばします。今度はロッカーの前で立っていなさい。」
その先生の名は、T先生という。隣の教室で二人の他の子(しかし、この二人、さっきの掃除道具箱に入った子でもないし、もちろん黒板にいたずら書きをした子でもない。じゃあ、何でこの僕だけが立ってなきゃいけないんだよ〜。)を注意している。暇になったので、木のロッカーをトントンたたく。(たたくといってっも、トントンと、人差し指で普通に触れただけなのだが……。その音が、向こうの教室にでも聞こえたのだろうか。ふと顔を上げると、そこに立っていた。なんで僕がいたずらをすると、先生がくるのだろうか。
「またか。この説教が終わるまで、ずっと立っていなさい!」
(あー。残念無念、再来年。)
本当に残念だ。それで、最終的にはなんと、40分程度立っていた、というわけだ。
さすがに、それだけ立っていると、足が痛くなる? いや、そんなことはない。その後、走って帰ったのだから。
僕は、この他にもいろいろないたずらをやっている。例えば、これは幼稚園の時の話だが、トイレから出たときのハンカチを交換をしたことがある。まあ、これはちょこちょこっと何度もやっていることだ。それとか、おもちゃ入れのおもちゃの上の部分を交換する。すると、どっちがどっちだか分からなくなる。
これは、学校でやったいたずらだ。(多分、幼稚園の悪戯と、そっくりだと思う。)ある日の帰りの仕度中、そうだ! と思った。丁度、自分のランドセルと帽子を取りにロッカーに向かっていった時だった。それは、こういういたずらだ。いろんな子の帽子を出鱈目に入れ替える。サササササ。ようし。そして席に着く。しかし、壁に耳あり障子に目ありだ。T先生と、もう一人のS先生がはっきりとその現場を目撃していたのだった。その日は、ずっと説教を聞いていた。帰るときも、遅いので、職員室で電話を掛けさせられた。(ちなみに、この説教は約1時間半も続いていた。) さて、母のいたずらはどうだったのだろう。母からは聞けなかったが、多分その頃の母の感じからすると、悪戯なんてしなかったっと僕は思う。(ちなみに、その頃の母の様子は、母自身によると、皆に信頼されていて、学級委員をやったりしたらしい。先生からもいろいろいいように思われていたらしい。欠点は、寒さに弱いことだ。真冬には霜焼けをよくする。そして、やせている。)
では、父はどうだったのだろうか。その頃の父は太っていたらしいので、(逆上がりも出来ない)そんな悪戯をしなかったのだろうと僕は考える。
さて、弟はどうなのだろうか。意外とよくいたずらをする。例えば、僕が紙に絵を書いているとする。そして、トイレに行く。帰ってきたときには、もういたずら書きがしてある。僕が文を書いている時だってそうだ。戻ってくると、原稿用紙の最後の方におならがプーだのスーだのブーだの書いてあったこともある。それで、にこにこしながら
「スーとブーでストーブ。」
なんて言うのである。
僕は、今までいろいろないたずらをしてきた。いたずらを通して、いろいろなことを学んだ。しかし、僕は何となくすぐにいたずらをしたくなってしまう。なぜだろう。何か、あるものが頭の奥から出てくるのだ。止めようとしても、またすぐにやりたくなる。なぜなら、面白いから。ただそれ一つだ。何かいたずらをして、その人が驚く。その驚いている顔が、僕には面白く感じるからだ。
分かったことは、何となくすぐにいたずらをしたくなってしまうことだ。僕も分かったのだから、皆もぜひ、何でもいい。一つだけだっていい。何でもいいからいたずらから分かってもらいたい。
講評 nane
書き出しの工夫から最初の説明の部分が読ませる。
「廊下に立っていなさい」ぐらいなら、優しい先生でよかったね。(笑)
幼稚園のときのいたずらも面白い。幼稚園のころのことをよく覚えているというのは、そのころが生き生きとしていたということだろうね。
結びの感想は、よく自分を見つめている。いたずらは、創造性の表れだからね。
しかし、言葉の森でいたずらをするとゲンコツだから要注意。(笑)もう懲りたでしょう。
これからは、いたずらよりも、もっと建設的な方向で創造性を生かそう。
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