創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   「人間らしく」   ポッター

 科学技術が進歩して、私達の生活の中にはいつも「機械」という存在がある。それらはまた急速に進化を続け、様々な機能が付き、コンパクトになり、精密になり…私達の手間を少しずつ省くようになっていった。私達はそれらを何食わぬ顔で使用し、この「便利」な生活を送っている。寝ている間にご飯が炊ける、団扇で扇がなくても涼しい、火が無いのに料理が出来る…。ほとんどの家電は改良され、便利で、素早く、安全になった。しかし、私達は手間を省きすぎて、「機械」を使いすぎて、まるで私達が機械のようになってしまったのだ。
 私は人間本来の力を失わないように、自然とともに生きたいと思う。
 一つ目の方法は、少しずつ自然と触れ合い、自然の素晴らしさを感じることだ。私達は去年、学年行事の霧ヶ峰移動教室で、車山ハイキングを行った。七、八人の班で麓から頂上まで登り、八島ヶ原湿原を通ってゴールに辿り着くというルートだった。正直に言うと、かなり面倒だった。何故徒歩で山に登る必要があるのだろうか。小学校の時はリフトを使って山頂付近まで行った。それが今回は徒歩で、脚は痛くなるし疲れるし、何より時間がかかるではないか。ふくらはぎがパンパンになり、足の裏がジンジンと痛み、息も荒くなってきたところで、やっと頂上に着いた。しかし、私達は目の前の光景に、空いた口が塞がらなかった。どう言ったらよいものか、言葉で表せるものではない。写真やビデオに収めても、その感動は得られない、そう思った。山頂からの絶景を眺めると、それまでの疲れや嫌気が瞬時に消え去った。「山ってこんなにも素晴らしい所なんだ」と感じ、その後の下山がとても楽しいものに思えた。都会ではもちろん、車山でしか見られない花も数多くあり、それらを観察しながら歩いた。誰が水をあげているわけでも無いのに、一輪一輪がしっかりと顔を天に向けて咲いている。それを見ると、「自然の力は凄いなぁ」とつくづく感じ、「たまには自然と触れ合うのも良いな」と思った。外に出てゆっくりと深呼吸をすること、木や花を眺めることも必要だと思う。
 二つ目の方法は、機械に頼らないことである。前文で述べたように、現在私達の日常には常に機械があり、それらは必要不可欠なものとなっている。では、朝起きて電化製品が一つも無くなっていたら、私達はどうするのだろう。パニックに陥って、何も出来なくなってしまうのだろうか。おそらく、そんな状態で冷静にいられる人などいないだろう。「今日から生活できない」と思ってしまうかもしれない。それほど、私達は機械に依存しているのだ。
 一昔前は、そんなこともなかっただろう。火をおこして飯や風呂を炊き、何処かへ出掛けるにも歩いて行き、何かを伝えるには手紙を書く。それが今の私達には出来ない。そこで、時には原点に戻ってみる事も必要だと思うのだ。私達は「便利」という言葉に誘惑され、機械に頼り過ぎ、そして人間本来の力を退化させてしまっている。そして、「一生懸命」ということが面倒になってしまっているのだ。私は山を登りきった時、とてつもなく大きな達成感を感じた。それはきっと、自分の力しか頼らなかったからだ。自分の足だけを頼りに、登り続けたからだ。苦労した分だけ、新しい何かが見えてくる。月に一度でも、年に一度でも良い。「家電定休日」を作って、知恵や知識を働かせてみるのも良いのではないだろうか。
 確かに、全てを自分でやり遂げるのは難しいことだ。それに、時間を無駄には出来ない今の社会で、手間を省くことはやはり必要になるのだ。しかし、便利さに惑わされず、翻弄されず、自然体に返ることも大切なのだ。私は機械に依存することなく、「人間らしく」生きたいと思う。

   講評   inoko

 ポッターさん、こんにちは。
「便利な生活と引き替えに、私たちは人間本来の生きる力を失いつつあるかもしれない。」
至れり尽くせりの便利グッズを使うたびに、そんな思いに駆られることがあります。小さいころ、お風呂を沸かす為に薪割りをしていた母を見て(東京での話ですよ。)、あんなに大変なことをするぐらいなら大人にはなりたくないと真剣に思ったものですが、今ではスイッチをぽんと押せばお風呂を沸かすことができます。かつては、お米をとぐことが小学生のお手伝いでしたが、最近は無洗米もあります。省力化は確かにすばらしい。ただ、どんな手間を省略してそうなっているのかが、もしかしたらこれからの世代には伝わらないかもしれません。でも、それは少し問題かもしれません。ポッターさんも書いていますが、もしすべてのライフラインが急にダウンしてしまったら、新しいものだけで生活してきた人間は、二進も三進もいかなくなってしまう可能性は大でしょう。そのためにも、ポッターさんが書いている「家電定休日」は必要かもしれませんね。


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