創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   一意見に対しての意見   おむふ

 一人旅をしているさすらい人があったとしよう。日本でのなんとも優雅で風流なものである。ししおどし、太古からの文化。こうした繊細さこそなによりである。まさに良き旅情。だがその風情ある旅にも気の向くままに旅をするというのは困難なのだ。旅人はある分かれ道にさしかかった。東への道をたどれば味わい深い豊潤な緑の山々へたどり着く。西へ歩めば深遠なる大海が開ける。どちらにせよ我らを育くみ自然の営みが施された豊麗なものである。山へと旅行けばほのぼのとした山菜ののどかな幸、温泉でのまろやかな風呂酒を楽しむこともできよう。山をあがめる信仰があるほどだ。うららかな春風がそこには吹いている。海への路を行けば華やいだ命の燃えたぎる漁港。一度あぶればなんとも香ばしい海の大魚。命の生まれ出でた海。そこには麒麟のごとき奥深さがある。海にすべきか山にすべきか。そう旅人は思い悩んだ。そこでこそ裁決というものがなされるのだ。もちろん一人でいるのだから裁決というのも妙なものであるがこういったように人々は多くの場で裁決を余儀なくされることがある。裁決について考えることには大いなる意義があるだろう。そこでここでは裁決のあるべき形式について考えていきたい。あるところではこういった裁決の形式があるそうだ。「全員一致の採決は採用しない」。まれにみる形式だろう。これは果たして良きものなのか、あまり良くない方式なのか。それを考慮する。
 この形式に対して異論を唱えるとすればこういったことがでてくるだろう。全員一致といった皆がその意見に対して賛意をいだいているという結果であるのに、例の「全員一致の裁決は採用しない」という決まりにより意見は不採用となってしまう。これほどまでに馬鹿げたものがあってはたまらないだろう。伝統として全員一致につながるまで話を論じ合うという習わしのある国もある。国際連合などでも五カ国の常任理事国のうちで一カ国でもある一意見にNO−と答えては拒否権によりその意見は可決されない。こうした中でのこの方策はあまり好ましいものでもなかろう。その上、この方式では本当に切実な生をも揺るがす裁決のとき対処ができないだろう。ある授業でこういったディベートをしたことがある。「あなたは今あなたのほかに10人の人々と大海原で1艘のボートにのって漂流しています。いまのところ救助されるみこみはありません。そこでこの10人の中の一人が感染したら確実に死にいたるウイルスに感染していることが分かりました。その感染者は感染しながらも生きています。あなたはこの11人の中のリーダーです。あなたはリーダーとしてどういう決断をしますか」という内容である。この答えの一つとして、1その感染者をボートから降ろすかそれともそのままボートに乗せる方法でなんとかするかという二つの意見での裁決をとるという方法があるだろう。仮に全員の心からの了解のもと一意見に対して全員一致となってもそれは可決されなくなってしまう。これほどおかしなことがあっていいのだろうか。
 だが今述べたディベートの問題をこうもとらえることができる。全員一致になるように裁決をしていては時間がかり時を経ていくにつれウイルスが広がり最悪の状況となってしまうだろう。もちろんこの私の考えは「全員一致の裁決は採用しない」という意見の直接的な賛同とはなっていない。これはこの意見と真逆の「全員一致まで論議する」という意見の否定である。 話を例の意見の賛同に切り替える。うわべでは全員一致の裁決であっても仕方なしに形式的に全員一致にせざるをえないという状況であってはなによりたちが悪い。全員一致もいい面ばかりではないのだ。
 こうしたように「全員一致の裁決は採用しない」という意見にはほんのりとした良き面もあれば悪しき面もある。我々が今考えるべきはこの意見の良し悪しやyesかnoかの最終過程ではなくそこに行き着く過程なのではなかろうか。当然最終過程が大事であるがそこに行き着く過程から見直していく必要があるだろう。

   講評   koni


【複数の意見】 課題文の趣旨を意見化し、自分の意見を導き出す書き方ができました。

【昔話の実例・長文実例】 国際連合の実例やある日の授業の話などを書くことができました。読み手も一緒に考えさせるような説明になっていて、とてもよいですね。自分の意見を明確に主張しているところもよいです。

【名言の引用】 第一段落の説明がいつもながらすばらしいです。ここでのキーワードを最後のまとめに使ってみるのもおもしろいかも。

【総合化の主題】 「AではなくB」という形の文は、説明の中で理想的な文と言われています。自分の意見を最後に主張するところで使うことができました。

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