創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   全員納得   サニー

 採決を必要とするような案件ならば、異論を挟む者がいるのが自然だし、ウラで芳しくない根回しが行われているケースもあるだろう。また、賛成にも完全なものと辛くも賛成に傾いているものがある。にもかかわらず、討論のような場では、賛成と答えた途端、完全な賛成のような印象を振りまくことになってしまう。こう考えると、全員一致を排除するパラドックスも大いに意味を持つように思えてならない。<要約>
 確かに、多数決で物事を決めることは大切だ。僕の学校には、生徒会員の代表によって構成される生徒議会がある。ここでは、多数決によって案が採決される。提出された案に対して質問や意見のある者は、挙手して発案者にその旨を伝え、発案者は必要に応じて修正案を提出する仕組みだ。僕も、発案するときは賛成者だけでなく反対者の数を確認し、何に対して反対なのか聞くようにしている。そうすることで、反対意見にも一理あると認識し、修正の必要があると判じた場合、再提案することもある。受け入れ難い意見に対しては、こちら側の見解・状況などを詳しく説明し、納得してもらうように努める。例えば、体育大会で、執行部が企画する生徒会種目がある。去年は僕も副会長としてそれに携わり、騎馬戦の開催に成功した。小学校では行われていたが、僕の中学では危険を理由に今まで行われなかった。確かに兄の高校の騎馬戦は恐ろしいほどの迫力で、おととしは担架が2回でた。身体が大きくなってくるとその迫力は見ていてとても面白いが、生徒達も普段隠している闘志やストレスを一気に発散するかのように荒れ狂い、危険と隣りあわせだ。先生の反対と安全性に配慮する為の手間の多さなどあらゆる状況を考え、それら難題を乗りきるべく熟慮を重ねていった。最初生徒議会にこれを提出したとき、会長は案に異議を唱える生徒会委員たちを相手に戦火を交えた。
「・・・その状況で帽子を押さえてしまったらどうなりますか?」
「係り生徒が発見したらすぐ注意し、言うことを聞かなければ、減点とさせて頂きます。」
「敵側の不正によって崩された騎馬はそのまま涙を飲んで退散するしかないのですか?」
「明らかに悪意のある行為と認められた場合、もう一度騎馬を作り直すことが許されます。・・・」
議論の末、この案はほぼ全員納得して、快く可決された。賛成過半数でなく、全員納得を目標に、案を熟慮する必要があると思う。その熟慮があってこそ、真に良い案が出来上がるのだと思う。結果は、生徒達の闘志丸出しのうねりのような声と保護者達の大歓声のもと、騎馬戦は体育大会の中でも一番の盛り上がりを見せた。僕は、体育大会に騎馬戦は欠かせないと思うと同時に、今後も生徒会種目の目玉として続けていってほしいと思った。
 しかし、全員一致になるまで話し合うことも大切だ。学校の先輩から聞いた話だが、自分のクラスの学級委員が、ノリと雰囲気で決まってしまったという。他の立候補者の中にもっと真面目な良い人材がいるのにもかかわらず、周りの人が、一部の人に付和雷同したというのだ。また、僕が小学五年生の頃、クラスのある人が、
「○○と△△に学級委員やらせたらマジで面白そうじゃね?」
と周りの人々を誘い、過半数を超えてその二人が選ばれてしまったことがある。その時は先生がお説教し、再選挙の末それ相応の人が選ばれた。しかし僕は、本当に周りの人々が恐ろしく思えてしまった。学級委員選挙のようなデリケートな問題では、
「○○はよくないと思います。」
などと意見を言うことなどできないのでほとんど全員一致はできないだろうが、全員が納得ような人材はいるだろう。おふざけやいじめに近いような形の付和雷同による全員一致など言語道断だ。このとき僕は、個人単位で意見をはっきりと持つことが大切だと思った。
 確かに、多数決で物事を決めることも全員一致で物事を決めることも大切だ。しかし、一番大事なことは、全員一致でなく全員納得の姿勢だ。人間は、一人一人考え方が違う。全員一致で物事が決まるようなことはほとんどない。だから、少しでも多くの人が納得できる結果を出すように努めるべきだ。政府は今、普天間問題で狼狽している。どこに基地をおいても住民の反対は避けられないだろう。少しでも人々から不安を遠ざけ、そして国を守る基地としての役割を忘れないように、よく考えて決断して欲しい。僕も会長として学校の議会に携わることはあと少しだが、3年生を送る会の仕事が残っている。感動的な会になるように皆と協力しながら、少しでも多くの生徒が納得できるアイディアを出していきたいと思う。

   講評   komiko

 サニーくん、こんにちは! 全員一致の裁決について、「全員納得」という言葉を引き出して上手に「総合化の主題」をまとめることができました。いい「体験実例」が引き出せた素敵な意見文になりましたね!

 「要約」を工夫してまとめてくれました。「意見一」では「確かに、多数決で物事を決めることは大切だ。」として運動会の種目を生徒議会で決定する様子をとてもていねいに表現できていました。迫力のある「その人らしい会話」がとてもよかったです。「賛成過半数でなく、全員納得を目標に、案を熟慮する必要があると思う。」と、説得力のある「途中の感想」が書けているので文頭には「このことから僕は、」と主語を加えられるともっとよくなりますよ。「意見二」では「しかし、全員一致になるまで話し合うことも大切だ。」として、学級委員選出の「体験実例」を挙げておふざけで付和雷同した選挙の様子を書いてくれました。そお話した「昔話の引用」は、桃太郎のオに退治は全員一致したから協力できた、と引き出せると書きやすいと思います。来月の進級試験での大事なポイントになっています。サニーくん、ぜひ挑戦して下さいね。「総合化の主題」で「しかし、一番大事なことは、全員一致でなく全員納得の姿勢だ。」と、いい表現でしっかりとまとめられています。上手になりましたね! この調子で頑張ってサニーくんらしい素敵な意見文を書いていきましょうね。

 次は、二月八日(月)に電話をします。「文化もパーソナリティも(感)」を読んでの意見文です。しっかりと音読をしておきましょう。


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