国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   価値観   おむふ

絵師とはなんともいえぬものである。白き眼前の紙になにを描いても良い。梅の花がひとつあったとしよう。その梅を絵師はどうえがくであろうか。淡くほのかな桃色の梅を香りまで思わせるほどにやわらかに描くだろうか。それとも愛らしきこの梅を火にくべ、灯とともに消え行くところを描くだろうか。どの絵師にせよ他のだれとも同じではない梅を描くだろう。どういった歴史、世の様があろうともそれとは交わることない絵師自身の梅が描かれるはずである。だが不思議なことに「絵」とは時代時代の歴史を持っているのだ。文化や風土ならびに他者の様が,絵師の心だけが描くはずである絵を彩ってしまっているのだ。多くの絵とは絵師ではなく時代の流れにより描かれているのだ。筆、技法、紙、多くが時代に薫り行く流行の風によるものである。中世ヨーロッパの絵はやはり日本の地の和紙による絵とはトキとフラミンゴほどの差がある。いかなるものいかなる絵も時代の香、色合い、流儀が息づいている。絵師だけではなかろう。この世にある人全てが時代にうながされている。山篭りする者にも時代の色香の味わいは行き届き、大海にひっそりとある小島に住まうものにも世のみずみずしい息吹は通う。人とはまさに時代という絵師に描かれているのだ。桔梗の花の澄んだいでたちが世の流行ともなれば蛇か竜かのごとく万里に伝わり流れ行く。その風流は世の珠玉の流儀となる。アワビの風味が世となれば戦の戦慄が世ともなる。なにかを感ずる人の心。この感ずるという金剛の想いが時代によりおりなされてよいのであろうか。まばゆい感というものが世のいたずらなうつろいがつかさどることとなって良いのであろうか。それを考えていきたい。
 ひとつの意見として自分自身の価値観を持つべきだという意見があげられる。食のまろやかな旨みを感じ、山水の清冽さを感ずる真紅のこの価値観。それを時代の風潮により定められてなるものか。自分の独自の価値観を持つべきであろう。流行といえどもそれこそあてもなく吹きすさんでいる。そういったおぼつかないものに揺られていては前途は夜叉の住まう業火の地か、はたまた幽玄が領する黒き地か。そうとも流行とはすこぶるいいかげんなものである。つい今しがた、テレビでこういった宣伝をしていた。「今大いなるセンセーションを巻き起こしている怒涛の商品OOO・・。冬には足元になみなみならない温もりを得られるこの靴下。今旬の大流行品。お早くOO・・店へ」とのこと。当然これらの情報に嘘はなくまさに正しき豊潤の情報ともいえよう。そして若者の多くがこれが価値あるものとしている。だがこの誠意ある情報にしても流していないことがある。ある知人によるとこの靴下は絹を思わせるしなやかなさわり心地であるもののかゆみがひどく白銀であったはずのこの靴下の色はものの一週間ほどで色褪せてしまうとのこと。これだけではなかろう。漫画、本、食品これらの時代ごとに高貴とまで評価されるものの多くがちょっとした一風の勢いであって本来の中身が伴っていない。大きく見れば流行のような節もある。一時の時代の価値観が奏でる妙な太鼓の音頭にのせられてはなるまい。
 だが時代ごとの価値観はそれほどいいかげんなものでもなかろう。確かな理由とそれなりのものをもってしているのだ。社会的に見ても流行は思いのほかよきものである。まず時代の価値観とは日々年月を経ていくにつれより良きものとなっているように思われる。いにしえのいけにえなどというものがあった暁から、男女平等の資本社会へ。当然、今の価値観にも問題点はあるが日に日に向上しているはずである。その上、時代の価値観は人々の思いを統合する。
 独自の価値観をもつべきか。もしくは時代の価値観の色に染まるべきか。いずれもいずれも密色のきらびやかさを内に秘めている。こうして考えてみると我々がいますべきことは未来先々の価値観をつちかい彫り築き上げるべきではなかろうか。

   講評   koni


【複数の意見・構成図】 相反する意見を二つ挙げることができました。起承転結の構成でしっかりしています。

【昔話の実例・長文実例】 実例もとてもよく書けています。万人にわかりやすい実例や社会実例や歴史実例など幅の広い実例を挙げることができました。人間には、他人と違うことを恐れる気持ちと他人と違うことを臨む気持ちが両方あるんだね。人間の心理っておもしろいよね。

【名言の引用】 特に「トキとフラミンゴほどの差」という表現がおもしろいなぁと思いました。

【総合化の主題】 よくまとめています。心の中に絶対的なものさしを持ったとき、私達は個性的に生きていけるのでしょうね。
その個性的な人達が集まって集団を形成し、時代の価値観を作っていくのでしょうから、私達には少し先の時代の価値観を作るという自覚が必要なんでしょうね。

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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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