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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   まっしろい風   くま王子

新聞は縁日の様な物である。縁日において日常とは違う様々な偶然の介入があるように、新聞のあちこちに散らばった情報の中にそうした偶然が潜んでいる。しかるべき欄では無く、コラムなどから得られる情報の方が生々とした関心を呼ぶ事が多い。そこに目を向ける事で、新聞にある情報の活性化のきっかけになるかもしれない。私は行間や余白といったものにもっと目を向けるべきだ、と考えている。
なぜなら、行間や余白がある事で活きてくる表現があるからだ。たとえば、子供に読み聞かせる本の朗読会において、本を読む声をぴたりと止めるとそれまで朗読を聞かずに騒いでいた子供が静かになるというテクニックがある。また本や漫画、アニメにおいてもそうであるが、大事なシーンの前には必ず間がある。また、ある本筋に違う要素を取り入れることでより本筋が引き立つ事がある。例えば、悲劇の中に笑えるシーンを盛り込む事で、より悲しさが倍増したり、甘いものに塩味を効かせる事で美味しさが増したりといったものである。この様に、表現においての行間や余白は無くてはならないものであり、縁の下の力持ちなのである。もちろん、行間や余白が新しい表現を生み出していることも忘れてはいけない。
 もうひとつの理由は、行間や余白が無いと疲労が溜まってしまうからだ。前述までの様な例を挙げるならば、重い話の中に少しでも漫才を入れるだけで読者はとても楽になり、救われた様なほっとした気持ちになる。仕事においても、収入増と労働時間短縮のどちらかを選ぶかについて、男性女性ともに労働時間短縮を支持する人が多かった。日々の生活の中でも、「何もしない日」というものは欠かせない。「休日に遊びに行く」という行動は仕事と同じもしくはそれ以上に疲れてしまうことがある。それは休憩では無い。日々の暮らしを見ていてもわかる通り、学生以上に毎日が忙しい大人はきちんと休日にはゴロゴロしている。社会の中で戦う人間はやはり皆疲れた顔をしている。上手く休息をとれている人は生き生きとした顔を取り戻している。行間や余白の大切さがわかるというものだ。
 しかし、行間や余白に目を向けすぎて、本題が目に入らなくなってしまったら元も子もない。悲しいながら、しばしばそういった事はある。余白はあくまで「余った白い所」である。大事な事から目を背けてはいけないのだ。
 それでも、「真によいことは、新聞に大きな騒ぎを起こすことなく、小さく始まる」という言葉があるように、もしかしたら本質的な事は、私たちが気に留めていない小さな行間や余白にあるのかもしれない。だから、私たちがちらっと余白に目を向けるその行為自体が大事なことなのである。余白は何も書いていない様で、実は重大な役目を持っている。それは私たちの心が明朝体で凝り固まってしまった時に発揮される。余白はずばり、私たちの心に吹く一瞬の風である。その風によって私たちに蓄積されたものが吹き飛ばされ、私たちの心も空っぽになり、また真っ白な所から日々を始めることが出来る。大半の日常はその繰り返しが全てだ、と私は思っている。雑多な文字でこれでもかと埋め尽くされた人生も、真っ白で空っぽな人生も、どこも面白い所がない。そんな新聞は誰も読む気がしないだろう。私は、自分はよく余白に逃げてしまう意思の弱い人間だと断言できる。何も無い所は楽だ。だがそれだけでは、結局は面白くない人間になってしまう事を実感しつつある。真っ白な人生なんて私はまっぴら御免である。だから私は、これから余白に逃げそうになった時、余白の重要さについて少し考えてみようと思う。これは本当に必要な余白だろうか。空っぽにしてしまっても良い事なのか。大事な事から目を背けていないか。風の前で一歩踏みとどまって、ちらっと今まで怖くて見られなかった新しい何かに目を向けてみる。そうする事で面白い人生を、例えば新聞くらいは生々として読める人生を送りたい。

   講評   inoko

 くま王子さん、こんにちは。次回は進級試験です。いつものように●課題の準備をしておきましょう。

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