創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   共同的な生き方   かせり

 今日の社会は、道徳的共同体をつぶしてきた法的社会がふつうの社会である。「悪」の摘発者である孔子は父親の犯罪を隠さずに、盗んだことの証言をした直躬を批判し、父親の犯罪を隠した直を賞賛した。孔子のころは、道徳性を身につけた指導者がいて、犯罪を裁くときには法を守りかつ政策能力を使った。このように法を強制的に押し付けるのではなく、しぜんと見習わせて人々を感化することができたのだ。私は、共同的な生き方をしたい。
 そのための方法としては第一に、法律を執行する人の人間性が必要だ。一月に、私が所属しているバスケ部は北海道に遠征に行った。学校を四日間休むことになったのは良かったのだが(笑)、帰って来たその日も午後の授業は受けなければならなくなってしまった。空港から学校まで約一時間電車を乗り継いで戻って来た私たちはもうくたくただった。授業中も目はなんとか開けているが白目になりかけそうになったりし、先生の言っていることも右から左へ聞き流していた。最後の授業が始まり、「あと一時間の辛抱だ」と思っていたところ、先生がいきなり「今日は漢字テストです」と言った。北海道に行っていた私を含めた生徒四人は、完全にテストのことを忘れていたため、顔を合わせて凍った。私たちがどうしよう、と動揺していると事情を知った先生が「今日はじゃあ勉強してきた人だけが受ける、ということにしましょう」と言ってくれたのだ。「テストの日にちを変更することはない」というルールがあるのだが、そのルールよりも私たちの人間性を重視してくれたのだ。
 また、法律よりも人間を見ることも大切だ。法律を絶対的なものにするのではなく、人間を見て変えていくことが共同的な生き方をするための二つ目の方法である。有名な昔話「姨捨山」に登場する男は、住んでいる村の「60歳になった年寄りは山に捨てる」という法律に従い、年老いた母を姨捨山に捨てにいく。しかし、最後の最後まで自分のこと気遣ってくれる母親をやはり山に置いていくことはできずに、家で隠しながら世話をしていた。そんな時、隣の村からおふれが届き、そこに書いてある難問が解けなければ、男が住んでいる村が攻撃されることになった。殿様が困り果てていると、男の母親が昔からの知恵を出し、難問を見事解いて村の人々を救うのだ。これを知った殿様は姨捨山に年寄りを捨てる法律を取り下げ、男の母親に褒美を与えた。殿様は男の母親を人間として見ることで、法律よりも大切なものを見つけたのだ。
 確かに、法律に基づかない運営は不明朗なものになることが多い。法律がなければ犯罪が後を絶たないだろうし、安心して暮らすことも不可能だ。しかし、「家の評価ができるのは、建築家ではなくそこに住む人である」という名言のように、共同的な考え方を再評価するべきだ。建築者、または執行者が評価しても住み人である執行される人が納得しなければ意味がない。両者が納得することで、もっと人間味のある社会が築いていけるのではないだろうか。

   講評   tama

 人種や宗教の違い、また価値観が多様化するにつれ、社会をまとめるために法律が生まれたわけですが、最近では法律が重視されるあまり、道徳的共同体社会が崩れてしまいつつあります。法律はだれにでも公平でわかりやすいという点で優れていますが、もう一度人間として、道徳的価値観を重視する社会のよさも見直すべきなのかもしれません。

【複数の方法・実例】 まずは法律を執行する人が、法律に縛られない人間性を身につけていることが必要だと考えることができました。学校でも、ルールを変えないというのは大前提でなければなりませんが、先生の力量で臨機応変に対応してくれるほうが、生徒の側もルールに従おうという気持ちになるでしょう。(ここは「先生の人間性」によって救われたということですね。)
 「姨捨山」の話は、法律よりも人間性を重視したよい例です。このように時と場合に応じ、誰もが納得のいく最良の方法を選ぶことができれば、よりよい社会を築けるでしょう。深くじっくりと考えて書くことができました。

※ 進級テストは合格です。おめでとう。


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