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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   相互理解のために   ハーマイオニー

 日本人の多くは、日本文化は外国人にはわからないという迷信を持っている。一番根強いのが、日本語は外国人に絶対話せない、そして外国人が仮に話せても絶対読めないという迷信だ。アメリカは日本とは対照的だ。日本人は、外国人はどうしても日本のことを理解出来ないと思い込み嘆くが、アメリカ人は、アメリカ文化は全ての国の人に通じるはずだという迷信を持っている。英語をゆっくり喋ったらどんな日本人でも分かるはず、分からないようならばそれは分からないふりをしてるからだ、みんな分かってるはずだと思う。そして、アメリカの食べ物なら日本人は食べているに違いないと思っているのです。それぞれの立場に悪意はないが、相互理解の妨げになる。
 自分の考えが唯一のものと考えない視野の広さを持つことは大切だ。ある人間の考えは、その人間の育った文化、置かれた環境などに強く左右される。日本人である私はやはり、ガイジンに漢字が読めるわけがない、「わび・さび」がわかるわけがない、着物が着こなせるわけがない、ガイジンのくせに寿司を食うな(嘘です。言いすぎ。笑)と思っている。しかし、それは紛れもなく偏見である。この長文の著者ドナルド・キーン氏や「こうしてケーキミックスは」の著者ジョージ・フィールズ氏、それに母が大好きなピーター・バラカン氏などは、確実に私より日本語がうまく、日本文化に精通している。そうした事実に目を向けてみれば、文化の理解とは生まれた国によるのではなく、いかなる意識と志向を持って、それを学ぶか、学ぼうと努めるかにかかっているのである。私も、小説や映画をきっかけに外国文化に興味を持っている。その国に住む人と同じように、あるいはそれ以上に、深く理解したいと思っている。そのために努力していけば、それはきっと可能だと思いたい。
 しかし、他人や周囲の流行や思惑などにわずらわされず、自分の世界を深く掘り下げていくのも大切だ。昔話に『たのきゅう』という話がある。役者のたのきゅうが、暗い山道を歩いていると一人のおじいさんが現われる。そのおじいさんは大蛇が化けていて、たのきゅうを食べようとする。たのきゅうが自分の名前を言い、見逃してもらおうとしたところ、おじいさんはたのきゅうの名前をたぬきと聞き間違える。そこで、うまく何かに化けたら見逃してやると言う。役者のたのきゅうはお姫様や殿様に化けておじいさんを喜ばせる。つまり、たのきゅうは役者という自分の仕事を深く掘り下げ、実力をつけていたので、助かったのである。「芸は身を助く」ということである。
 確かに、視野の広さを持つことも自分の内側の世界を深めていくこともどちらも大事だ。しかし、「自国に対する賞賛が他国に対する軽蔑によって支えられているのであってはならない。」という名言があるように、他者に対する誤解や偏見に基づく判断によって自己満足に陥ってはならない。最も大切なことは、広く外に目を向けて学びつつ、他者との関わりを持つとき、互いに尊重し合えるように、自分自身の世界を磨き高めていくことである。(総合化の主題)

   講評   nara

 おお、長いこと言葉の森に住むハーマイオニーさんならではの書きぶりだね。ここで「ケーキミックス」の長文を思い出すとはうまいなぁ。できれば、デーブ・スペクターさんも加えてあげたいところ(笑)。昨年末に『英語でしゃべらナイト特別編』で、明石康さんが語ったことがおもしろかった。英語を学ぶことは違いを知るということ、だけれども、違いのある人間同士が分かり合おうとするところがいい、というような内容だったよ。(かなり大雑把なまとめだけれど。)
【構成・題材】第一意見:この段で書かれた自作名言がいい。「文化の理解とは……ではなく〜」という説明は、前述の具体例を受けてうまくまとめられた。「スシ喰うな(笑)」と思うハーマイオニーさんは、アメリカンサイズのピザとステーキとハンバーガーを食べようとしているのだな(爆)。食べようという強い気持ちがあるか否か、なのだね。第二意見:なるほど、結局は中途半端な批判や迎合にこそ、問題があるように思えてきたよ。突き詰めるということは難しいけれど、その努力をせずに、異文化を理解するでもなく、自らを深めるでもなく、どっちつかずというのは始末に負えないね。
【表現・主題】この名言は、自作改定バージョンが作れそう。「自国に対する過ぎた謙遜が、必要以上の他国崇拝に支えられているのであってはならない。」とかね。今回のテーマは今まで以上に「AかBかではなく」という答えを導きやすかったようだ。『twilight』を原書で読むと、文化の違いを実感できるだろうし、違いがあっても共感できるということにも気付くと思うよ。春休み、どのくらい読み進められるか楽しみだね。

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