創造と発表の新しい学力
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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共生社会のために サニー
人類は産業革命を経て大量生産時代を迎え、生産力を闇雲に向上させたが、消費量はそうではない。我々の文明は、生産力を抑えるどころか更に向上させ、余った分をそのまま消費させることにした。商品の流通が円滑に行われるためには、我々がものを買って帰り、包装紙を開いた途端、包装紙が不必要にならなければならない。捨てるために手に入れるという、生物学的には稀有の性向によって、金回りが良くなる<要約>。
経済発展のためには、モノの新陳代謝が欠かせない。塾の先生から、昔は景気が良かったから車はすぐに買い換えたと聞いた。車検が面倒くさいのとお金がたくさんあったこともあり、人々は車を次々に消費したらしい。それにつられて生産も向上し、日本は潤った。実際、僕の父母も大学時代に、自分や友人達の多くが学生の身分にあるにも係わらず車を持っていたそうだ。今の僕たちの時代では考えられないことだ。今は不景気で多くの人が財布の紐を固く縛り、モノを買わなくなったので景気が上がらない。
しかし、モノを大切にすることも大事だ。人間がモノを必要以上に生産し続けたことによる弊害は看過できないものになっている。大気汚染、水質汚染、酸性雨、自然破壊による砂漠化や洪水、異常な天候・・・。これらは地球に存在するモノを大切にしないことによって地球が傷ついたとも表現できる。一方、古いものを継続的に使用することで昔のものをそのままその未来へ引き継ぐこともできる。昔のものだから捨てる、という発想は良くない。「わらしべ長者」は「それが必要だからとりかえておくれ」というリクエストに答えているうち、どんどん手持ちのものが豊かなものに変化していくが、これは現代のリサイクルと同じだ。昔のモノでも驚くほどよくできたモノもある。限りある地球資源の為にも、モノを大切にするべきだ。
確かに、いらなくなったものを捨てることも、モノを大切にすることも大切だ。しかし一番大事なことは、「足るを知る」という名言があるように、いらないものを買わないということだ。現代人は、本来必要のないモノを買い集め、その価値が消費しつくされないまま捨てている。縄文人は必要な物を拾い集め、使いきってから捨てた。明らかに対照的なことだ。このような人類の劇的な消費生活の逆転が起きたにも係わらず、地球が叫びをあげないはずがない。いらなくなったものを捨てることは景気にとって良く、地球にとって悪い。物を大切にすることは地球にとって良く、景気にとって悪い。つまり、この双方を両立することは難しい。だから、どちらかを選択するとなれば、モノを大切にする方に重きを置く方が道理というものだろう。景気のことを考えるのは所詮人間のエゴイズムに過ぎない。モノを大切にすることは地球規模で貢献するのだ。「共生社会」とうたうならば、それなりに人間に損があるのは当然だろう。
講評 komiko
サニーくん、こんにちは! しっかりと大事なポイントを意識していい表現のある意見文を書いてくれましたね。
「要約」では、大事ないい文を工夫して選ぶことができています。「意見一」では「経済発展のためには、モノの新陳代謝が欠かせない。」として「体験実例」として塾の先生に聞いた昔の消費奨励についてていねいに書けましたね。「意見二」を「しかし、モノを大切にすることも大事だ。」と挙げて「社会実例」では、環境破壊は人間が地球上のものを大切にしないために生じたことをしっかりと書いてくれました。『わらしべ長者」は「それが必要だからとりかえておくれ」というリクエストに答えているうち、どんどん手持ちのものが豊かなものに変化していくが、これは現代のリサイクルと同じだ。昔のモノでも驚くほどよくできたモノもある。限りある地球資源の為にも、モノを大切にするべきだ』と、「昔話の引用」をしながらしっかりと思いを表せましたね。第四段落の「総合化の主題」を「しかし一番大事なことは、「足るを知る」という名言があるように、いらないものを買わないということだ。」と、名言を使いながら説得力のある思いを表せたのがいいですよ!
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