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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   今という現実を受け止める   嵐ちゃん

 外国人が刺し身を食べないという迷信が、日本に残っている。ある意味では、これが日米相互理解の邪魔をしているのではないかと思う。さらに、もう一つ、日本語は外国人に絶対話せない、そして外国人が仮に話せても絶対読めないという迷信が、非常に根強く残っている。アメリカ人も、日本人は皆アメリカのことを知っているはずだ、というような理解の邪魔をするような迷信を持っている。日本人の立場にもアメリカ人の立場にも、悪意がなくても相互理解のためによくないと私は思う。
 私の中学校に、どこの国からかは知らないが、Sさんという16歳の女性が留学生としてやってきた。「オハヨーゴザイマス。」片言な日本語で私達のクラスの教室の教壇に立って、お辞儀をした。Sさんが来てから多分まだ1週間も経っていなかった頃のことだろう。その日Sさんは私達のクラスで一緒に英語の授業を受けることになった。英語の授業でもほとんど日本語が使われているので、正直私達は、Sさんがこの英語の授業についていくことができるのか不安だった。そんな不安を皆が抱く中、先生が英語の一文の訳でSさんをあてた。皆が一斉にSさんを見た。どんな英語の文章で、どんな訳だったか詳しく覚えていないが、1つだけ確かに覚えていることがある。それは、先生にあてられたSさんは動揺することもなく、すらすらとその英文の訳を読みあげたことだ。答えられないだろう、と思っていた私達は驚きのあまり、目を見合わせた。「すごくない?」そんな声が前後左右、全ての場所から聞こえてきた気がした。すると、さらに先生は、その日本語の訳の意味もSさんにたずねた。Sさんは近くにあった小さいノートを手にとって、ペラペラと1枚1枚ページをめくりはじめた。そして、手の動きが止まると同時に、Sさんはその小さいノートに書かれていることを読みはじめた。そのノートは辞書のようなものだった。1ページ目がaではじまる単語と日本語訳、そしてその日本語訳の意味。それがzまで続いていたのだから、そのノートはすごい分厚さだった。それに、そこには私達が知らないような言葉の意味までも、沢山載っていた。そんな言葉の意味までも読みあげたのだから、私達はただ呆然とするばかりだった。私は教卓に立つ先生を見た。先生もさすがに驚いたようで、呆然と立っていた。ただ1人だけ、Sさんだけが、これが普通だというようにノートをペラペラとめくっていた。日本に来て、まだそんなに経っていないはずなのに・・・。そんな思いが私の頭の中をよぎった。皆も同じ事を考えていたのだろう。英語の授業が終わった後、「いつ日本に来たんだっけ?」と何人もの友達に聞かれた。その後、私は何人かの友達とSさんのもとに行った。そして、簡単な自己紹介をした後、さりげなくこう言ってみた。「このノートすごいですね。」と。ゆっくり、そしてはっきりと。
日本人は、外国人は日本のことを何も知らないと思い込んでいる。しかし、外国人は私達日本人より日本のことをより詳しく、そして沢山知っているのかもしれない。だから、日本人は先入観を捨てるべきだという意見もある。
 しかし、前文にあるように私が言った言葉に対して、Sさんは驚いた顔をして、片言な日本語で、「日本に来たからです。」と言った。外国人はアメリカ人の人達と同じように、自分達の国の事、自分達が知っている事は他の国の人達も皆知っていると思い込んでいるのだろう。その反応を見聞きした私達は、「はい・・・。」と言った。というより、そう答えるしかなかった。この場合、外国の人の考えを昔話に例えると、「北風と太陽」の北風がぴったりなのではないだろうか。旅人に服を脱がせるために力いっぱいの風を吹いた北風に。アメリカ人の自分達が知っている事は、他の国の人達も皆知っているという考えは捨てるべきだという意見もある。
 確かに、日本人は先入観を捨てるべきだという意見も、アメリカ人の考えを捨てるべきだという意見もある。しかし、「できあがった規則をなんとか守ろうとすることよりも、実態に合わせて規則を変えていくことが、真に規則を生かす道である。」という名言があるように、一番大切なことは、私達は今を生きているのだから、その今という現実を受け止めるということなのではないか、と私は思う。

   講評   yuta

 新しい学年のスタートです。はりきっていきましょう(^0^)
       

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