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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   散らかった部屋を片付けるような時代   くま王子

 人間は文明の利器などなくても、もっとわずかな物だけで生きていける。恐ろしいほどの無一物の生を送った良寛は、極限の単純さに生きたにもかかわらず、彼の詩や歌を見ればどんなに彼の心が豊かだったかがわかる。現代に生きる我々はそういう厳しい生には耐えられないだろうが、心を良寛として置くことはできる。現代文明に埋没している我々が自分の生を見つめなおすとき、いかに物の過剰によって生そのものを見なくしているかを知らされるのである。 便利で快適な生活は良い。これは、実に純粋な感覚である。スイッチひとつで涼しくなったり暖かくなったり、いつでもどこでも遠くにいる友人と話すことができたりする。そう、これはれっきとした、昔の私たちが望んだ未来ではなかっただろうか。事故でも何でもない、私たちが思い描いて、実行した結果ではなかっただろうか。誰で幼稚園から小学校低学年くらいまでの間に、「あったらいいなと思うもの」の作文もしくは絵を描かされたはずである。携帯電話に地図があればと思ったからナビ機能がついたし、映画をもっと楽にたくさん見たいと思ったから映画専門チャンネルが生まれた。「何かをしたい」「ほしい」という気持ちは発明の原動力である。「便利で快適な生活」も、人々が理想郷として、純粋に一生懸命努力したその成果である。それを堂々と否定できる人間など、本当はこの現代の日本にいないのだろうと思う。 しかし、無駄のないシンプルな生活もよいといえる。必要最低限のものだけ傍に置いて、自然をそのまま受け入れる生活が現代社会の理想となってきている。その思想の先駆者は、何もなかった時代を知っているが故にそれを欲している人々であるが、そこを除いても、今この日本は情報過多の時代である。そしてまるでバランスをとるかのように人の心は失われていった。子供に何がほしいかと尋ねても、「何もほしくない」と言い、強いて言うなら「お金がほしい」というそうだ。物をもらっても対して喜ばないのだ。何もなかった昔と比べて、結果として喜びが減ってしまった。それは物が溢れすぎているからだ。物に頼らず、自分が生きていることを見つめなおすため、あえて単純な生活をしよう、と大人が思うのも無理からぬ話である。 便利で快適な生活と素朴でシンプルな生活はともに素晴らしい。「私たちの人生は、私たちが費やしただけの価値がある」という名言があるように、この世にあるものは人々が何の悪意もなくがんばって創り出したものだ。それだけの価値がある。だが、その価値がぽいと捨てられてしまうのは間違っている。そしてなぜ捨てられるのかというと、もうすでに「間に合っている」からだ。「ありがたみ」の無くなった世の中ほどつまらないものはない。そして今はそういう世の中になりつつある。もしかしたらこれからの私たちに求められていることは、何かを生み出すことよりもすでにあるものを省いて片づけていくことかもしれない、と思うと少し哀しくなるが、仕方がない。手遅れになる前に私たちが何とかするしかないのだ。私たちが、未来のために過去のことを清算するしかないのである。

   講評   inoko

 くま王子さん、こんにちは。次回は進級試験です。●課題の準備をしておきましょう。



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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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