犬の世界にあだ名という概念はありません。なぜなら、名前そのものがあだ名のようなものだからです。
動物病院の診察券には、社長さんの名字をつけて「中根ゆめ」と書かれていますが、名字は取ってつけたようなもので、ほとんど意味はありません。
私の名前は、明るい希望を感じられるような名前がいいという社長さんの要望により、ママが考えてつけてくれました。
でも、中には私のことを「ゆめ」と呼ばない人もいます。
この前亡くなったおじいちゃんは、私のことを「クロ」と呼んでいました。
M先生は、私のことを「こいぬくん」と呼びます。
二人とも、私が女の子だということを完全に忘れています。
それはともかく、この「クロ」とか「こいぬくん」とかという呼び名が犬にとってのあだ名になるのでしょうが、こんなふうにあだ名がついている犬はほかにはあまりいないのではないかと思います。
もしかしたら、二つもあだ名があるのは、私がちょっとしたゆーめー人(犬)だからかもしれないなあなどと考えているうちに、今日もまた夢の世界へと入っていくのでした。おやすみなさい。