いつから世の中が矛盾を
一つ目の理由は、「強くなりたいけど、泣いてしまう」とか「やさしくしたいのに、ひどいことを言ってしまう」みたいな矛盾って、誰でも一度は経験したことがあると思う。友だちとケンカしたとき、本当は「ごめんね」って言いたいのに、プライドが邪魔して謝れなかった経験がある。頭の中では「自分が悪かった」ってわかってるのに、口から出てくるのは言い訳ばかり、こういう時は自分にイライラする。けど私は矛盾はその人その人の人らしさになっていると思っている。完璧に一貫してて、いつも正しいことしか言わない人って、なんかロボットみたいで近づきにくい。でも矛盾してる人のほうが「あ、この人も自分と同じだ」って感じられて、親近感がわく。だから矛盾って、人間の面白さや深さをつくってるものだと思う。
二つ目の理由は「空を飛びたいけど、人間には翼がない」という矛盾があったから、飛行機が発明されたんだと思う。「遠くにいる人と話したいけど、会いに行けない」という矛盾が電話を生んだ。こんなふうに、「〇〇したい」という気持ちと「でもできない」という現実がぶつかるとき、人はなんとかしようと必死に考える。矛盾がなかったら、「まあいいか」で終わってしまって、何も生まれなかったかもしれない。矛盾ってじつは、新しいものを作り出すパワーの源みたいなものだと思う。
矛盾は信頼を損なう。言動が一致しなければ相手は混乱し、どれほど優れた内容でも説得力を失う。けれど矛盾はよくないものに見えるけど、実はそこから深く考えることができる。想像力が良くなる。それにちゃんと向き合えるかどうかで、その人の思考の深さが変わってくると思う。