比喩は大切だと思う。
その理由は自分の気持ちや考えを、相手によりリアルに伝えることができるからだ。私がテストで思うように点数が取れなかったとき、母に「悔しい」とだけ言っても、その気持ちの大きさはうまく伝わらなかった。母は「次は頑張ればいいよ」と軽く返しただけで、私が本当はどれほど落ち込んでいるのか、全く分かっていないようだった。そこで私は、比喩を使って「まるで一生懸命登っていた階段が、急に崩れ落ちたような気分だった」と言ってみた。すると母の表情がさっと変わり、「それは辛かったね」と、すぐに私の気持ちを理解してくれた。それまでとは違い、母は私の隣に座って、しばらく黙って話を聞いてくれた。ただ「悔しい」と言うだけでは伝わらなかった感情の重さが、比喩を使うことで初めて相手に届いたのだ。同じ出来事を伝えているのに、言葉の選び方ひとつで、相手の理解の深さがこんなにも変わるのだと、私はこのとき初めて実感した。
二つ目の理由は、 比喩は相手との心の距離を縮め、安心して本音を話せる関係を作る力もあると思う。ある日、私はAちゃん(仲の良い友達)との関係がうまくいかず、もやもやした気持ちを抱えていた。そこで、別の友達のBちゃんに「Aちゃんとなんかうまくいってない」とだけ話しても、「そうなんだ、大変だね」と返されるだけで、私の本当の気持ちまでは伝わっていない気がした。そこで私は、「今までずっと同じペースで並んで歩いていたのに、急にAちゃんだけ違う方向に歩き出して、自分だけ取り残されたような感じ」と言ってみた。すると、Bちゃんは「それは寂しいし、不安だよね 私もそういう時ある」と言って、いつもより真剣な顔で私の話を聞いてくれた。それまでは「心配かけたくない」と思って軽く話していたのに、比喩を使ったことで、自然と本音がこぼれ、Bちゃんとの距離もぐっと近づいた気がした。比喩は気持ちを正確に伝えるだけでなく、相手との間に共感を生み出し、本音を話しやすい雰囲気を作る力も持っている。比喩は、人と人との心をつなぐ「橋」のような役割を果たしているのだと思った。
たしかに、比喩を知らない・分からない人には伝わらないことがある。文化や経験、年齢が違う相手に比喩を使うと、その例えが何を意味しているのか分からず、かえって話が伝わりにくくなってしまう場合もあるからだ。けれど、比喩は目に見えない気持ちや、言葉だけでは説明しにくい感覚を、相手の頭の中にイメージとして描かせる力を持っている。だからこそ、人とのコミュニケーションにおいて比喩はとても大切な役割を果たしている。しかも、比喩は気持ちを正確に伝えるだけでなく、相手との間に共感を生み出し、本音を話しやすい雰囲気を作る力も持っている。比喩は、人と人との心をつなぐ「橋」のような役割を果たしているのだと思った。