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男の子だって女の子だって | 
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ナズナ | 
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あもせ | 
小5 | 
   あたしが、もたいさんのことを好きになれなかった理由は第一に、もたいさんは言葉づかいが悪かったからです。女の子なのにまるで男の子みたいな言葉 | 
| づかいをするので、女の子達に嫌われていました。嫌われている子と仲良くすると、自分まで嫌われてしまうから、嫌でも慣れなかったのです。 | 
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   第二に、塾中に名前が広まったくらいの悪名高い男の子達とグルになって暴力団のようなチームを結成したからです。そしてとうとう、もたいさんは男の | 
| 子としか遊ばなくなったのです。また、女の子なのに、もたいさんは悪名高い男の子と、いっしょに気の弱い女の子のスカートをめくったのです。 | 
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   そのような乱暴な子だけれども実はかわいそうだということに気付きました。 | 
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   私が漢字テストをだそうと思い、廊下を走ると、めずらしくもたいさんが女の子に声をかけていました。しかし、声をかけられた方はしらんぷりして逃げ | 
| てしまいました。私が足を止めてもたいさんに「どうしたの」と聞くともたいさんはこうこたえました。 | 
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   「あたいいつのまにか女の子に嫌われておる。そやきっとあたいが男の子と遊んでおるからだと思う。だけど男の子と仲良くて何がわるいねん。意味わか | 
| らへん。ちゃうか?それに、あたいだけじゃあない。あたいと遊んだ子もみんないじめられてる。」 | 
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   確かにそうです。例えば、女の子だからって洗濯物をさせたり料理を作らせたりするのはおかしいと思いませんか。また、男の子だからって力仕事を手伝 | 
| わせたりするのは本当におかしいです。それと同じようにいかにも女の子は女の子だけと遊び、男の子は男の子だけで遊ぶイメージがあります。しかしそれ | 
| はあくまでもイメージにすぎないのです。ですから別にもたいさんが男の子と遊んでも構わないと思います。 | 
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   今日も、もたいさんは女の子たちに嫌われています。いえ、いつもよりひどく嫌われています。いじめられているといったほうがよいようなかたちで…… | 
| 。その時、悪名高い男の子たちがやってきたのです。 | 
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   「おめえら、もたいをまたいじめてんのか!」 | 
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   女の子の一人が言いました。 | 
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   「そうよ、いじめて何が悪いの?………こういうのが『悪名高い』っていうのよあんたたちはあ!」 | 
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   「てめえ、よく言ってくれたなあ!!」 | 
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   男の子は女の子を殴りました。 | 
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   「やってくれたわねええぇぇぇぇぇぇ!!!」 | 
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   ぱちーんと音がしました。きっとこの音は女の子が悪名高い男の子のほおをたたいた音にちがいありません。私はゆっくり顔を上げ、見ると……!もたい | 
| さんです。女の子が男の子のほおをたたくまえに、もたいさんが女の子のほおをたたいたのです。もたいさんは自慢げに手をパチンと二回たたくと「ほな、 | 
| いきまっせ。」といって男の子といっしょに教室へはいっていきました。 | 
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   周りの女の子たちは「大丈夫?」と女の子に聞きました。しかし女の子は気絶していて何も答えません。 | 
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   「もたいよしえのせいだわ。」 | 
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   女の子の一人がぼそりとそう答えました。他の子達も「そうよ!あのこのせいでこんなことになったのよ。」と言いました。 | 
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   「それはちがうよ。」 | 
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   私は言いました。 | 
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   「なんでよ、若菜ちゃんもたいよしえをかばう気?」 | 
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   「そうよ。もたいさんが男の子と遊んで何が悪いの?だからっていじめるなんてことなんてしないで。それにもたいさん、もたいさんって人のことはどう | 
| でもいいでしょ。もたいさんに頭冷やせって言う前に自分が頭冷やしたらどう?だいいち、女の子だけで遊んでて何が楽しいわけ?」 | 
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   「ふん、いきましょう。」 | 
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   女の子達はいじをはって逃げていってしまいました。このままではあしたもその次の日も、もたいさんはいじめられてしまいます。 | 
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   次の日。 | 
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   今日ももたいさんはいじめられています。 | 
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   「きのうはよくもあすかちゃんを気絶させてくれたわねえ。」 | 
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   女の子はいいました。 | 
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   男の子が来ました。 | 
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   「もたい、大丈夫か?…………てめえらぁ!なにしやがったあ!」 | 
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   「もうやめんかあ!こんなけんかこりごりなんじゃ。」 | 
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