| ドンマイ |
| アジサイ | の | 村 | の広場 |
| はるる | / | くあ | 小6 |
| 私は小さい頃、家の近くを流れる渡良瀬川から大切なことを教わっているよ |
| おうに思う。私がやっと泳げるようになった時だから、まだ小学生の頃だった |
| ろう。とごろがその時、どうしたはずみか中央に行きすぎ、気づいた時には速 |
| い流れに流されていたのである。 |
| 「、、、、、、そうだ、何もあそこに戻らなくてもいいんじゃないか。」 |
| すると、あんなに速かった流れも、私をのみこむほど高かった波も静まり、 |
| 毎日眺めている渡良瀬川に戻ってしまったのである。 |
| 「何もあそこに戻らなくてもいいんじゃないか、、、、、、流されている私 |
| に、今できるいちばんよいことをすればいいんだ。」 |
| その頃から私を支配していた闘病という意識が少しずつうすれていったよう |
| に思っている。 |
| そして、なにげなく読みすごしていた聖書の一節が心にひびきわたった。 |
| 「あなたがたの会った試練はみな人の知らないようなものではありません。 |
| 神は真実なかたですから、あなたがたを耐えることのできるように、試練とと |
| もに、脱出の道も備えてくださいます。」 |
| 私は幼い頃、よくデパートで迷子になった。その時私がとった手段はこうだ |
| った。とにかく泣き叫ぶ。そしてみちゆく人に「放送室」に連れていってもら |
| う。母の名前をながし、むかえにきてもらう。完璧なシナリオだった。覆水盆 |
| に返らず。迷子になってしまったのだから、自分なりに母をさがそうとしたの |
| だ。 |
| 人間には、たぶん失敗をしたことのない人はいないと思う。だから、ドンマ |
| イ、ドンマイといいながら、生きていくのだ。 |