| 進化する道具 |
| アジサイ | の | 村 | の広場 |
| はるる | / | くあ | 小6 |
| モグラは、ミミズ食いしょうばいだ。だから、食事をするには土を掘り、ト |
| ンネルを掘らねばならない。でも、トンネル掘りは重労働で、とてもお腹がす |
| く。このようなモグラの、きわめてモグラ的な生活を支え、まるでモグラのシ |
| ンボルみたいにみえるのが、モグラの前足だ。モグラのからだは、ほかの食虫 |
| 類と同じように、原始的なのだが、前足だけ特別に発達している。 |
| 人間の祖先は、自然を変革することによって、さまざまな動物のすぐれたし |
| くみに勝る、多様な道具を手に握ることができた。ライオンの牙は、どんなに |
| 鋭くても、それはライオンの遺伝子によって伝えられたものであって、人間の |
| 祖先が作った道具は、それがかりにきわめて単純なものであっても、やはり、 |
| 人間が意図的に、人間の意志によって作ったものなのだ。 |
| 人間の「手」というものは、なんてすばらしいのだろう。本来、人間は、飛 |
| べないのに、それにかわる「飛行機」を発明した。人間は、いくら速くても、 |
| 一キロメートルを約五分で行くことはできない。しかし、「自動車」というも |
| のを発明した。 |
| 長所」と「短所」。バカでも、ひとつはとりえがあるというが、私は、本当 |
| だと思う。モグラには、強力な前足シャベルがあるし、ライオンには牙がある |
| 。それと同じに、人間には手がある。このなかからいえば、一番手が有能だと |
| 思う。牙は牙。シャベルはシャベル。しかし手は違う。手から、いろんなもの |
| が生まれるからだ。手は、人間の、永遠の財産といってもいいのではないだろ |
| うか。つまり、もちはもち屋、そのひとにあったなにかが、あるという意味だ |
| 。 |
| 道具とは、その者がすむ環境できまるのだと思う。だから、私達も、手を大 |
| 切にするべきだ。 |