| 一夜漬(朝日新聞に送信しました) | 
| アジサイ | の | 空 | の広場 | 
| 吉見 | / | こと | 大3 | 
| 「一夜漬」という言葉に様々な思い出がある人は少なくない。中学生や高校 | 
| 生の頃、期末試験等で「一夜漬」にお世話になった人は多いだろう(大人でも | 
| する人がいますが)。昔から「一夜漬」には「にわかじこみ」という意味があ | 
| るため否定的なイメージが強かった。しかし最近「一夜漬」のイメージが変わ | 
| りつつある。例えば「勉強しても殆ど役に立たないものは一夜漬で済ませて面 | 
| 白くて役に立つものに時間を使おう」という具合だ。二十一世紀は量より質の | 
| 時代だ。その社会では少ない時間で最大の効用を生むことが命題となる。 | 
| 近年、日本の大学生は殆ど勉強しなくなった、と言われている。新聞でも大 | 
| 学生の学力が年々、低下しつつある、と報道している。私は、この一連の流れ | 
| を「単なる大学生の怠惰」とは思っていない。近年の大学生は本当にやりたい | 
| 事をやろうとしている。そして、それに精一杯集中する。それはバイトかもし | 
| れないしサークルかもしれない。このような表現には語弊があるかもしれない | 
| が大学の勉強はお世辞にも役に立つとは言い難い(中には良い授業もたくさん | 
| ありますが)。ならば大学の勉強は「一夜漬」で済ませよう、というのが大学 | 
| 生の本音なのだ。 | 
| 「一夜漬」で通用するものもあれば通用しないものもある。しかし一番大切 | 
| なのは本当に必要なものを確実に身につけることだ。その本当に必要なものを | 
| 見極め、必要でないものは「一夜漬」で済ませ必要なものに全能力を集中する | 
| 。これが二十一世紀の理想の生き方だ。 |