| 花の絵を描き始めるとき |
| エンジュ | の | 泉 | の広場 |
| 星野惇 | / | のと | 小5 |
| 花の絵を描き始めるとき、心は画用紙のように、真っ白でありたいと思って |
| いる。同じ名前の花でもよく見ると一つ一つ人間の顔が違うように、それぞれ |
| の表情を持っているからである。また同じ花でも、朝と昼では、ほんのわずか |
| 色が変わっている事が多い。 |
| いくら見慣れた花でも、 |
| 「この花はこういう形をしているんだ」などと先入観を持って描き始めると花 |
| にそっぽを向かれてしまう事がある。花屋では雌蕊や雄蕊が開き過ぎたものは |
| 売り物にならないようだけれど時には、ハッとするくらい美しい表情を見せて |
| くれる事もある。風で折れてぶら下がっているのもある。 |
| 病気かなんかでゆがんでいるのもある、そういうのをみていると人間の社会 |
| と同じだなと思う。病気の人も健康な人も、美しい人もいればそうでない人も |
| いる。「あいつはああいうやつなんだと少しの事で決め付けてしまう事が、多 |
| い。 |
| 僕も、 |
| 「あいつは、変な事をしてくるから嫌いだ」と言って、ちょっとの事で決め |
| 付けてしまう。間違っていると思った。一番大事な事は人の少しの事で、嫌い |
| だと決め付けたりするのがだめだと分かった。 |