| 物語のおくに潜むものは? | 
| アジサイ | の | 滝 | の広場 | 
| 馬のしっぽ | / | はり | 中3 | 
| 昔話は、そこに隠された民衆の知恵を感じさせ、思いがけない示唆を与えて | 
| くれる。「うばすて山」では、老人のような考え方の必要性を示している。非 | 
| 能率的だから価値があるという考え方だ。また「貧乏神」では、絶対的な存在 | 
| に対してあえて殴り掛かるものこそが黄金を獲得できる、という考え方を示し | 
| ている。このように昔話を読むことは我々の生き方と直接につながってくるの | 
| である。 | 
| 私も依然小学校低学年の頃、みんなが知っているあの有名な「蜘蛛の糸」を | 
| 教育テレビの番組で見たことがある。人殺しをして地獄に送られた犯人がいた | 
| 。彼を天国から見ていたお釈迦様は、彼が一匹のありを助けたことがあったの | 
| で、彼を天国に迎えてあげようと考え、地獄へ向けて蜘蛛の糸を釣り下げた。 | 
| それを見つけた彼は、一生懸命登ろうとしたが、自分のことしか考えなかった | 
| ため、蜘蛛の糸は切れて再び地獄へ落っこちてしまったという話しである。私 | 
| は自分勝手な人間にはなりたくない。 | 
| では、自己中心的にならないためにはどうしたらよいだろうか。 | 
| まず、第一の方法は、相手の立場に立ってものごとを考えるということであ | 
| る。私はこの春から部活を変えたのだが、新しい部活へ入る時は、多少の緊張 | 
| 感というものがある。これから新しい仲間と楽しくやっていけるだろうか、新 | 
| しい先輩とは合うだろうかなど、悩めば限りがなかった。しかし、新しい部活 | 
| の仲間は、私を快く受け入れてくれたし、先輩も話し掛けてくれた。ちょっと | 
| した事だったが私は嬉しかった。仲間に入りたくても入れない人がいると、率 | 
| 先して自分から声をかけようという思いに、追い討ちをかけるように部活の人 | 
| 達は私を助けてくれた。自分もして欲しいことを相手にもしてあげる、私はこ | 
| れが大切だと思う。 | 
| 第二の方法は、社会全体で考えてみよう。今の日本の社会は弱肉強食の社会 | 
| となってきている。頭の良いものが一流企業へ入り、頭の悪いものは落ちぶれ | 
| る、という暗黙の了解が今の人の脳裏に存在している。しかし、どんな人でも | 
| 同じ人であり、それぞれ同じだけの価値があるということを知っていかなくて | 
| は行けないのだろうか。周りのもの目を向けるということが社会面でもとても | 
| 大切なことである。 | 
| 確かに、それぞれにはデメリットがある。どんなに人のことを考えて行動し | 
| ても、それがかえって裏目に出たり、余計なお世話だったりする。また、社会 | 
| 面でもより良いものを作り生き残っていくためには、そんなことは考えてられ | 
| ないというのもあるだろう。しかし、「人を呪わば穴二つ」とのように、他人 | 
| に害を与えようとすれば自分にも返ってくるのだ。私は、周りのことにも目を | 
| むけ、考えられるような人間になりたい。 |