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| アジサイ | の | 滝 | の広場 |
| AE86 | / | えや | 中3 |
| 考えてみると、私の家では犬もネコも飼った覚えが無い。あとになって、大 |
| 森に引っ越してから、家の縁の下に野良犬が仔を生んで、泣き声に気付いた私 |
| が、ある日、縁の下深くまでもぐって仔犬を捕まえ、飼ってくれと、母親にせ |
| がんだことはあったけど、七、八匹もいた仔犬たちは、母犬がどこかに連れて |
| いってしまうのか、それとも盗まれるのか、次々と姿を消してしまった。姿を |
| 消した仔犬のことで、私がいつまでもあんまり悲しがっているものだから、母 |
| 親が、ある日東京に出かけたついでに、ひとつがいのチャボを買ってきてくれ |
| た。 |
| 翌朝起きて、雨戸をくぐり、庭の方を見ると、白い羽が散乱していた。昨日 |
| まであんなに元気だったのにと思って、手を放したら、首がくっとたれた。こ |
| れ以上大事なものはないと信じて大切にしていたものでさえ、一瞬にして連れ |
| 去り、二度と戻ってくることがない。 |
| 十六世紀の無名のオランダ派の描いた養女の半身像で、彼女は両手に死んだ |
| 小鳥を堅く握り締めたまま、明らかにどこの誰に向けたらいいのか分からない |
| まま、困惑と驚愕と憤怒でかっと見開いた両眼で、こちらを見すえていた。 |
| 私の家には2・3年前に金魚がいた。それは、5・6年生きた後に死んでし |
| まった...世の中に生まれてきた生き物は、必ず死ぬのだ。これが運命であ |
| る。山梨の田舎にいる犬もいつかは死んでしまうのだ... |
| 運命というものは、とても過酷であり不安定なものだと思う。又、それが人 |
| 生のおもしろ味でもあるのだ。人間の生き方というものは主に二つに分かれて |
| いる。例えを出して言うなら「明日の朝6時00分00秒に地球が滅びます。 |
| あなたなら今何をしますか?」という質問が出たとする。この質問に対する答 |
| えとして、最も多くの日本人が言う答えは「銀行強盗」なのだ。この言葉は、 |
| 「運命だからしょうがない」や「今が良ければそれで良い」という刹那的な考 |
| え方と「運命に対してベストを尽くす」という人間味のある考え方に別れるは |
| ずだ。私がこのような質問を出されたとすれば、「今までに出来なかったこと |
| をやる」と答えるであろう。しかし、今という平和な中で生きているから、こ |
| のような冷静な答えを言っていられるが、いざとなったら何をするかは自分で |
| も分からない。 |
| 「光と影」という言葉がある。これは、「光があるから影がある。影がある |
| から光がある」というとてもおもしろい言葉である。 |
| 皆さんも「地球が明日...どうしますか?」という問題に対する答えを考 |
| えてみて下さい。 |