言葉の森新聞 編集用
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  連休中の予定(再掲)
  ネット作文コンクール(熱作)、作品募集中(再掲)
  父母の広場より
  小論文の書き方のコツ(森川林/なね先生)
  リサイクルは最後の手段(まあこ/ゆた先生)
  さあ、読もう(ひとみ/かもの先生)
  作文の第一印象(むつき/やま先生)
 
言葉の森新聞 2005年5月1週号 通算第885号
文責 中根克明(森川林)

連休中の予定(再掲)
 教室の休みは、課題フォルダに書いてあるとおりです。
 4月29日(金)30日(土)は休みです。
 5月2日(月)はあります。
 5月3日(火)4日(水)5日(木)は休み宿題です。
 5月1週の言葉の森新聞と山のたよりは、4月末に発送する予定です。
ネット作文コンクール(熱作)、作品募集中(再掲)
 日本語作文小論文検定協会では、この4月15日〜5月31日、ホームページでネット作文コンクールを開催します。
 テーマは、父の日母の日にちなんで、「父」又は「母」、又は自由なテーマとします。
 ホームページ上で作文を送信していただき、森リンの点数と学年を勘案して、上位者10名に森リン大賞として図書券5000円をプレゼントします。
 1人何編でも応募できます。一度応募したものを再度修正して応募することもできます。
 朝小・毎小などの外部に発表したものでなければ、普段の作文を送っても結構です。
 言葉の森のみなさんは、ぜひ応募してください。
Http://www.mori7.info/conc/
父母の広場より
同じものを読むこと、難しいものを読むこと(小6父母)
 うちの子(小学6年生)は3年生ごろからハリーポッターばかり繰り返しよんでいます。よそのお母さんからは読書習慣がついていていいね、とうらやましがられます。が、親としてはハリーポッターとは別にたまにはもう少し骨のあるしっかりした本も読ませたいと思います。自他共に認める読書家ということにはなっている様ですが、この2年間ハリーポッターしかよんでいないことに気がつきました。いろいろ買ってすすめるのですがあまり興味がないようです。すすめるだけではなく、読み聞かせをするべきかなとも思っていますが、なかなか子供との時間がとりにくくなってきました。 
時間やページ数を決めて毎日読めば(教室より)
 同じものを繰り返し読むのはいいことですが、いくら何でも2年間ハリーポッターだけを繰り返し読むというのはないように思います。(笑)いくら好きな子でも、そんなに読んでいたら飽きます。そして、飽きれば自然にほかの本を手に取るようになります。

 たぶん(単なる推測ですが)、読む時間が実はそれほど多くないのではないかと思います。
 毎日50ページ以上と決めて読んでいけば、ハリーポッターでもかまいません。必ずほかの本へと読書の幅が広がります。
 しかし、好きなときに好きな本を好きなだけ読むという形ですと、読書の時間そのものが少なくなり、一つの本しか読まないという形が続くと思います。
小論文の書き方のコツ(森川林/なね先生)
 高校生の人向けに、小論文のコツを説明します。
1、基礎力としての多読
 基礎力として、すらすらと書く力がなければなりません。これは多読によって身につきます。自分の好きな論説文の文章を繰り返し読みましょう。
2、構成メモ
 書き出す前にメモを書くようにしましょう。メモは簡単な箇条書きです。書くことに詰まったら、そのメモを見て書き続けます。
3、接続語を使おう
 接続語は、文章を論理的にします。「したがって」「なぜなら」などの言葉は、なくても意味が通じます。しかし、小論文では入れた方が読みやすくなります。
4、段落ごとのバランス
 見た目のバランスが取れた文章は読みやすい印象を与えます。どの段落も同じぐらいの長さで書いていきましょう。
5、個性のある題材
 体験実例には、自分らしい話を入れていきましょう。ほかの人のしていないような体験をしていれば、それがセールスポイントです。
6、挑戦のある題材
 困難に敢えて挑戦したというのもいい題材です。一昔前までは、海外にホームステイに行くというのは、一つの挑戦体験でした。しかし、今は学校で行事として行くので、挑戦体験というほどではありません。
7、共感のある題材
 失敗は、共感を生みます。だれでも同じようなことがあるからです。読み手が思わず共感する体験もいい題材です。
8、ユーモアのある題材
 ユーモアは日本においてはあまり評価されていません。特に小論文においてはそうです。しかし、面接では必要です。ユーモアのある話は、好意的に評価されます。
9、暗い話は不可
 個性的であっても、暗い話は不可です。なぜなら、暗い話は文章の力を弱めるからです。
10、批判も不可
 同じように批判的な内容もあまりよくありません。正義の怒りには力がありますが、人間は往々にして自分の個人的な怒りをからませてしまうからです。
11、意外な実例
 予想もしなかった実例が途中に入ると、読み手はその広がり方に快感を感じます。社会的な話題のときは個人的なことを、個人的な話題のときは社会的なことを書いていきましょう。
12、単なる受け売りはダメ
 マックス・ウェーバーはこのように述べた、という書き方はあまり効果がありません。本当に読んだ人は、そういう書き方はしないからです。
13、知性を感じさせよう
 自分の得意分野の知識を披露しましょう。得意分野がないという人は、読書をして教養を深めましょう。
14、テレビやゲームは逆効果
 テレビや漫画から得た知識は、かえって根の浅さを感じさせてしまいます。NHKの大河ドラマを歴史実例として引用するような場合です。
15、データが入ると説得力
 数字や固有名詞がしっかり書いてある文章は説得力を感じさせます。しかし、覚えるのは概数で十分です。
16、たとえは幼稚
 高校生がたとえを使うと、かえって文章が幼稚になることがあります。たとえが効果的なのは小学生までです。
17、ことわざや名言は陳腐
 自分の意見にぴったりのことわざや名言があったときにそれを使うと、かえって文章が陳腐になります。読み手が予想できることを書いても効果はありません。
18、自分で名言を作ろう
 名言は自分で作りましょう。その場で作ると時間がかかるので、ふだんの練習の中で自分なりの名言をたくわえておきましょう。
19、ことわざの加工
 ことわざや流行語は、加工すると光る表現になります。読み手が予想しない場面で予想しない引用の仕方をするのがコツです。
20、試験の直前まで見る
 自分がそれまでに書いた文章のいいところを試験の直前まで繰り返し読みましょう。実力の120%が発揮できます。
リサイクルは最後の手段(まあこ/ゆた先生)
 「今日はあの気になる煙突に行ってみよう」。春休み中、ウォーキングを日課にしていた私と息子。ふと思い立って、以前から気になっていた高い煙突のある施設に行ってみることにしました。
 そこは多分、ゴミ焼却所。歩いて20分ほどの距離ですが、隣の市なので定かではありません。煙が出ているわけでもないし、臭いもしない。最近できたらしくとてもきれいな建物です。看板には「リサイクルプラザ」と書かれていました。何の建物かわからないまま「ここは見学ができるんですか?」と聞くと、なんと案内の方が出てきてくださって、施設のすみからすみまで説明しながら見学させてくださいました。散歩がてら立ち寄っただけの一組の親子のために。

 やはりそこはゴミの焼却所でした。さらに、分別して集められた“ペットボトル・ビン・缶・プラスチック、紙など”のリサイクルもしている施設であることがわかりました。建物の中はとても清潔で静かでした。ところが、「関係者以外立入禁止」と書かれた看板の先には、驚くべき景色が広がっていたのです。
 ガラス張りの向こうのとてつもないゴミの山。一つかみ8トンというクレーンがゴミをつかんで運んでいましたが、砂場の砂をカレーのスプーンですくっているような感じです。
 ものを買えば必ずゴミが出ます。毎日何気なくゴミを捨てています。ゴミの収集日ごとにパンパンにふくれたゴミ袋を出しますが、置いてしまえばそれでおしまい。ゴミのことなんてすっかり忘れてしまいます。さらにあろうことか、隣の市の施設だと思っていたのに、2年前からは私の住んでいる市のゴミもここで処理されていると、そのとき初めて知りました。「あの中に私が出したゴミもあるんだ」。山を前にして、あまりにもゴミに無頓着だった自分が恥ずかしくなってしまいました。
 ゴミの山は色とりどりです。使い古したものではなく、新品が捨てられているのです。もし、一人一人が少しずつ気をつけたら、ゴミの量は簡単に減るに違いありません。案内の方が3R(スリーアール)の説明をしてくださいました。
1.Reduce(リデュース):無駄なものは買わない、もらわない。
2.Reuse(リュース):洗ったり直したりしてくり返し使う。
3.Recycle(リサイクル):どうしてもゴミになってしまうものは、きちんと分別して出す。

 ノーベル賞を受賞したケニアのワンガリ・マータイさんが、日本の3Rの取り組みを「日本ではこれらを『もったいない』の一言で表します」と演説したことで話題になりました。マータイさんはさらに、『Repair(リペア):修繕』も加えて4Rとし、「もったいない」を環境保護の合い言葉として活動されているそうです。
 ケニヤは、材木や紙を作るために森林を伐採しすぎて、砂漠になってしまいました。マータイさんがノーベル賞を受賞したのは、緑を取りもどすために木を植える運動を続けたことが評価されたからです。「もったいない」を母国語に持つ私たちが無駄に木や紙を使い捨てにしてはいけませんよね。

 見学の最後にこう教えられました。「みなさん『リサイクル、リサイクル』と言いますが、いちばんやらなくてはいけないのは“リデュース”で、リサイクルはどうしてもしかたのない場合の最後の手段なんですよ。」 無駄なものは買わない、もらわない。まずは、そこからはじめましょう。
 最近は焼却技術が向上して、有害物質が出ないため、街の中にも焼却所が建てられるようになったそうです。みなさんの身近にもこういう施設があるかもしれません。一度訪ねてみてはどうでしょうか。
          
さあ、読もう(ひとみ/かもの先生)
 新学期が始まりましたね。わたくしも、大学新1年生40人の2クラスで、文章を書くということの話を、このあいだ、やってきました(身のほども知らずに、です)。
 例によって、<小学生、中学生、高校生だけでなく大学生までが国語力が落ちてしまった。世界41か国中の14位だ。それで日本中が大騒ぎになった>という話をします。
 彼らは、そういうニュースが報じられたとき、受験勉強の真っ最中でしたから、当然、そんなことは知りません。へえ、という顔をしています。そこで、先月も紹介しました読売の「読み解く力」という連載のなかでの、猪口邦子さんの話を教えてあげるのです。
 猪口さんは、上智大の教授で国際政治学者ですね。ジュネーブの軍縮国際会議の大使を2年間務めて帰国間もない人です。猪口さんは、こう言っているのですね。
 「中学生のとき、ブラジルで通っていたアメリカンスクールの教科書は、国語でも社会でも暑さが5センチくらいありました。日本の教科書は国語でも薄っぺらです。薄い教科書では読書になりません」
 「ブラジルでも、研究者として滞在した米国でも、教室ではレポートをどう書けばいいかという練習が繰り返されて、若者たちは懸命に言葉に向き合っていました……」(これと似た話は、以前、ニューヨークの公立小学校に、娘2人を通わせていた日本人の主婦が、言葉を選ぶということの大変さに、どれだけ子どもたちが泣いたか、という事例で紹介しましたね)。
 「……そこで身に付けた力を背景に、言いたいことはどこにあるのか、と考えながら読む。日本の教育にかけた部分です」
 など、言いましてから、皆さん方の国語力は、はっきり申し上げて、かなり低い。だから、毎回、1000字の文章を書く宿題を出します。それを出さない人には、単位を差し上げません。そのあたりで、学生諸君の目の色が違ってきます。
 実は、これ、「言葉の森」がやろうとしていることと、同じなのですね。
 「言葉の森」には、感想文の課題でない週でも、課題の文章(長文)を読む宿題がありますね。これ、しっかり読んでください。そうすると、薄っぺらな国語の教科書の欠陥を補って余りある、とわたくしは思います。
 さあ、きょうも、長文をしっかり読もう。
 
作文の第一印象(むつき/やま先生)
 長かった冬も終わり、春らしい気候になってきましたね。先生も先日、家族で満開の桜を見に行って来ました。といっても先生の子どもたちは、まだまだ「花よりだんご」ですので出店にばかり気をとられてあまりゆっくり鑑賞させてはくれませんでしたが……。街中に桜が咲き誇る季節になると、日本人でよかったなという気分になります。昔は「花」といえば「桜」を意味しました。それだけ私たち日本人にとっては、古来より親しんできた花なんですね。

 新学期も始まり、みなさんも新たな出会いがたくさんあったことでしょうね。初めての学校、新しい担任の先生、友だち。「どんなところだろうなあ」「この子と仲良くなれるかな」「優しい先生だったらいいな」と、いろんな気持ちがうずまいていることと思います。ドキドキしながらも一言話してみると、もうそれで打ち解けることができたりもしますね。

 そんな人と人との出会いでは、第一印象がとても大事だったりします。ぶすーっとした顔をしている子よりも、にこにこ笑っている子の方が「友達になりたいな」と思いますね。しかめっつらしているのもただ緊張しているだけかもしれないけれど、最初はそんなことまで考えていられません。「あの子はこわそう」と決めつけてしまいがちです。もちろん後で誤解がとけることも多々あるでしょうが、第一印象は良い方がいいですね。
 作文にも同じことが言えます。作文の第一印象を決めるのは、「題名」と「書き出し」です。新しく項目に入った人もいますよね。低学年のみなさんには少しむずかしいお話になりますが、高学年になるとこんなことを習うんだなと思いながら聞いてください。
 まずは「題名」です。人は題名を見て、こんな内容の作文なんだなと想像します。それだけに「内容が分かること」そして「読みたいなと思わせること」が重要です。ただ「入学式に行ったこと」とするよりも「まちにまった入学式」や「入学式でのしっぱい」などとする方が、この作文読んでみたいなと思いませんか?「〇〇な〇〇」「〇〇の〇〇」というかたちになるように工夫をしてみましょう。
 そして「書き出しの工夫」です。作文はふつう「いつ、どこで、何をした」という文章で書き出します。もちろんこれは、正確な事実にもとづいて文章を書くという点でとても大事なことです。しかしちょっと工夫をして、会話や音や情景で作文を書き出してみましょう。読み手は「おっ」と思うはずです。「なんだかかっこいい文章だな」「続きはどんな文章だろう」と思わせることができたら成功です。比較的思いつきやすいのは会話ですね。「いいかげんにおきなさい!という母の怒鳴り声が響きわたった。」などです。会話での書き出しになれてきたら、情景や音でも練習してみましょう。「カチャカチャカチャ。キーボードをたたく音がかすかに聞こえてくる。隣の部屋で父がパソコンをつかっているのだろう。」「ぬれた葉っぱが太陽にてらされてきらきらと光っている。ついさっきまで雨がふっていたのだ。」などなど。

 この二つの項目が得意になると、作文全体の印象がずいぶんちがってみえるはずです。みなさんなりの工夫で、先生をワクワクさせてくださいね!
 
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