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  平成25年(2013年)に向けて
  【重要】小1の暗唱長文の差替分を「山のたより」に
  1月1日(火)~5日(土)14日(月)休み宿題
  新しい項目は授業の渚で/受験コースの人は振替で
  10月~12月の賞状を同封
  漢字音読集で読みを先取りする新しい漢字の勉強法
  作文を直す前に、直せる力をつけること
  国語力をつける、模試の見直し方 1
  国語力をつける、模試の見直し方 2
 
言葉の森新聞 2013年1月1週号 通算第1254号

https://www.mori7.com/mori/

森新聞
平成25年(2013年)に向けて
 これから世の中は大きく変化します。

 ふくらみ続けるマネーのバブルは、やがてどこかで破綻するでしょう。地球環境は、地震や噴火以外にも、季節外れの大雪、大雨、台風などをもたらすでしょう。国内の矛盾を外に向けた戦争の危険が増大するでしょう。そして、新しい感染症の広がりがあるでしょう。

 経済危機に対しては、助け合うことです。自然災害対しては、逃げることです。戦争に対しては、止めるために戦うことです。感染症に対しては、耐えることです。問題の分野によって、対処の仕方が百八十度違います。それを取り違えないことです。

 しかし、これらの問題が過ぎ去ったあと、新しい明るい未来が始まります。日本が世界の先頭を切って創造文化産業を作り出します。自然環境をコントロールできるだけの科学技術が発展します。戦争を無意味にするテクノロジーが生まれます。誰もが免疫力を強化してもっと健康になります。そして、出会いと触れ合いと向上と創造のある新しい社会が生まれるでしょう。

 当面大事なことは、明るい未来を確信し、何があっても挫けずに、過去を悔やまず、未来を恐れず、他人を恨まず、自分を傲らず、明るく淡々とベストを尽くすことです。

 新しい年をよりよい年にしていきましょう。
【重要】小1の暗唱長文の差替分を「山のたより」に
 小1の暗唱長文に、一部重複しているものがありましたので、新しい暗唱長文に差し替えてくださるようお願いいたします。
 1月1週号の「山のたより」の末尾に新しい暗唱長文がついています。
1月1日(火)~5日(土)14日(月)休み宿題
 1月1日(火)から新学期が始まります。1月1日(火)~5日(土)と14日(月)は、休み宿題です。先生からの電話はありませんが、その週の課題を自宅で書いて提出してください。先生からの説明を聞いてから書きたいという場合は、別の日に教室までお電話をして説明をお聞きください。(平日午前9時~午後7時50分。電話0120-22-3987 年始は1月7日から)
 電話の説明を聞かずに自分で作文を書く人は、ホームページの「授業の渚」か課題フォルダの「解説集」を参考にしてください。
 「授業の渚」 http://www.mori7.com/nagisa/
 「ヒントの池」 http://www.mori7.com/mine/ike.php
新しい項目は授業の渚で/受験コースの人は振替で
 1月から新しい項目になる人もいますので、新しい項目の説明は、授業の渚で音声ダウンロードができるようにしておきます。
http://www.mori7.com/nagisa/
 受験コースの人は、1.1週の休み宿題の分は解説を読んで自分でやるか、別の日に振替授業を受けるようにしてください。
 
10月~12月の賞状を同封
 12月1週の進級試験で、字数が規定以上、構成・題材・表現・主題の4項目のうち3項目が◎で1項目が○以上、の人には認定証を同封しています。字数賞・自習賞・作文賞・皆勤賞は、金賞10クラウン、銀賞5クラウン、銅賞1クラウン、賞外0クラウンです。認定証は10クラウンです。
 金賞は点数の上位10%、銀賞は10~20%、銅賞は20~80%。それ以外は賞外です。
 それぞれの賞で点数がなかった人や、12月1週に在籍していなかった人には、賞状は入っていません。
 なお、3ヶ月の学期の途中から入会された方は、日数の関係で賞状の点数が低くなっております。次の学期からは、正しく表示されるようになりますのでご了承ください。
漢字音読集で読みを先取りする新しい漢字の勉強法
 小3の子のお祖父さんという方から相談の電話がありました。漢字が書けないので、担任の先生に注意されたらしい。どうしたらいいか」という内容です。
 漢字が書けないという学習障害もあるかもしれませんが、そういうケースはごくまれで、漢字が書けないのは単に漢字の練習をしていないからです。
 ところが、漢字の勉強というのは簡単そうに見えますが、確実に力をつけるためにはかなり時間がかかります。そのため、たいていの子は、少し漢字の勉強を始めてみたものの、いつの間にか飽きてやめてしまうのです。それは、今の漢字の勉強法が、漢字ドリルを解くような形で進められることが多いからでもあります。
 江戸時代の寺子屋での漢字の勉強は、往来物と呼ばれる手紙形式で書かれた一種の教科書を音読する形で行われていました。この教科書には、生活に必要な難しい漢字がぎっしり盛り込まれていました。まずそれらを読めるようにして、そのあと書く練習をしていたのです。
 この勉強法は現代にも生かせます。学校で習う漢字は、教科書に出てくるつど、その漢字や熟語だけ取り上げて勉強するのではなく、文章の形である時期に集中して読めるようにしてしまえばいいのです。
 漢字の勉強のいちばんの目的は、漢字が書けるようになることではなく、その漢字で書かれた文章が読めることにあります。漢字の書きは、パソコンで変換すれば誰でもできます。漢字の意味は読みがわかればすぐに調べられます。しかし、漢字の読みだけはあらかじめ知っていないと、手も足も出ない感じがしてしまうのです。
 中国には、千字文という千字の漢字を一文字ずつ使った詩があり、これが漢字を学ぶ教科書になっていました。日本でも、いろは47文字(「ん」を入れると48文字)が、日本語のかなを習う教科書のような役割を果たしていました。
 同じように教育漢字を学年ごとにつなげ、ひとまとまりの文章にして音読できるようにするという試みも、既に何人かの人によって取り組まれています。しかし、これらの試みの多くは、意味が通じる文章ということを優先しているため、文章のリズムとしては必ずしも読みやすいものにはなっていないようです。
 そこで、言葉の森では、意味よりも読みのリズムを優先した漢字音読集を作りました。これなら、小学校で習う教育漢字だけでなく、中学校で習う常用漢字もすぐに作れます。
 言葉の森では、毎日の自習として1日10分ほどの暗唱で1ヶ月で約1000字の文章を暗唱する練習をしています。同じ要領でこの漢字集の音読をやれば、小1から小6で習う約1000字の漢字も、わずか1ヶ月で全部読めるようになります。同じように、中学校で習う約1000字の漢字も、約1ヶ月で読めるようになります。
 このように漢字の読みが学年よりも先取りしてできるようになると、今度はふりがなのふっていないちょっと難しい文章も読めるようになります。また、漢字の暗唱ができるようになったら、暗写をすることによって、漢字の書き取りも学年を先取りしてできるようになります。
 今、日本には、両親が外国人である子供も増えていますが、これらの子供たちのいちばんの学習上の障害は難しい文章が読めないことにあります。日常会話では不自由しないのに、文章の読み取りが苦手なために、勉強が難しくなる小5あたりから勉強についていけなくなる子が多いのです。
 文章が読めないというのは、日本語の場合、ふりがなのついていな漢字が読めないというところから来ています。だから、漢字の読みの先取り学習を、この漢字音読集で行えば、学習上の困難は大きく緩和されます。
 日本には、江戸時代の教育遺産から学ぶものがまだかなりあるのです。
作文を直す前に、直せる力をつけること
 小3の子のお母さんから、体験学習を始めた1回目に、
「先生、もっと句読点の打ち方や、おかしい言い回しを直してください」
と、要望のひとことがありました。
 でも、直してすぐ直るくらいなら、もうとっくに直っていたはずです。
 だから、直してもすぐには直らないでしょう。
 そうすると、直すために、同じ注意を何度もすることになります。すると、先生が熱心になり、子供が真面目になるほど、勉強は苦しいものになっていきます。
 せっかく作文が好きになろうと思って始めた勉強が、苦しい勉強になり、長続きしなくなったら、元も子もないのです。
 子供の書いた作文に直すところがあったら、その原因は、作文にあるのではなく、これまでの日本語の生活の中にあります。
 だから、直すのは作文ではなく、毎日の読書を含めた生活の方なのです。そのために、毎日の自習として音読や暗唱や読書をしていきます。その毎日の自習がスムーズに進むように、作文はいつもいいところを褒めていくのです。
 自習によって読む力ががついてくれば、作文にもし直すことがあっても、それはひとことの注意ですぐに直ります。
 これは、作文に限らず、勉強すべてに共通します。子供たちはみんな、勉強ができるようになりたいと思っています。好きでテストに悪い成績をとりたいと思っている子はいません。
 成績が悪いとしたら、それはその子の努力不足というよりも、これまでの勉強の仕方を含む学習生活の問題があったのです。
 褒めることが大事ということはよく言われますが、その前提は、できるようにさせて褒めるということです。
 直すことも同じです。ただ直すのではなく、直せるようにしてから直すことが大事なのです。
国語力をつける、模試の見直し方 1
 中学生の生徒が最近の模試の成績を持ってきました。数学も英語もいい成績なのに、国語だけがもう一息です。
 賢い生徒なので、国語の勉強の仕方がわかっていないだけです。勉強の仕方がわかっていないので、文章の読み方も、答えの選び方も、あまり気合いが入っていません。
 英語や数学は気合いの有無に関係なしに、自分の実力どおりの得点がとれますが、国語は気合いの有無で点数の差が大きく広がります。それはどういうことかというと、例えば、答えを選ぶ場合、易しいいかにも合っていそうな答え(実は×)と、難しいちょっと見つけにくい答え(これが○)が混在しているのです。
 つまり、テストというのは、生徒の実力を見るというよりも、点数の差をつけるためのものなのですが(これが本当はいちばんの問題ですが)、素直な中学生はそんな裏の意図が隠されているとは思わずに、合っていそうなところを選んで×になってしまうのです。
 この合っていそうな答えという一種の罠をよけるのに、気合いが必要なのです。浅く読めば罠の方を選んでしまいます。深く読む子は罠をさけることができます。国語の問題はそういう仕組みになっているために、国語の得意な子は、問題を解くときに集中力を発揮するのです。英語や数学の問題を解くときには、こういう集中力は必要としません。だから、国語の問題は独特のこつが必要なのです。
 さて、その生徒の持ってきた模試の答案を見てみると、やはり次のようなことがわかりました。
 まず、問題文をきれいに読んでいます。印象に残ったところに傍線を引きながら読んでいれば、再読するときに楽なのですが、きれいに静かに読んでいるのです。これがまず準備不足です。
 次に、選択問題では、選択肢を選んでただ○をつけているという答えの選び方になっています。こういう解き方をしていると、必ず罠にひっかかります。正しい選択の仕方は、まず×のところを選び、次に×でなかったところを○にするという解き方をするものです。
 そのためには、ひとつひとつの選択肢について、どこの部分が×なのかという根拠をはっきりさせる必要があります。そして、それを頭の中でするだけでなく、実際に問題用紙にどこが×だから、どの選択肢が×かということも書いておくのです。そうすれば、試験が返却されたあとに、自分のテストを見直すことができます。こういう見直しのできない生徒は、ただ点数だけを見て、「合ってた」「合ってなかった」とやるだけなので、いくらテストを受けてもあまり身につかないのです。
 記述問題も同じです。「文中から選んで書きなさい」となっているような設問では、やはりわかりやすく易しい罠(実は×)と、ちょっとわかりにくい答え(これが○)とがあります。一般に、易しい罠は、設問となっている箇所のすぐ近く、多くは直後にあります。しかし、そんなところにわかりやすく書いてあるような答えだとしたら、みんなが○になってしまうので、テストの意味がありません。こういう裏を考える必要があるのです。
 本当の答えは、遠いところにあります。難問になると果てしなく遠いところに答えとなる部分が書いてあります。また、多くの生徒は設問となっている箇所のあとの方を探すことが多いので、その反対に前の方に答えとなる部分が書いてある場合もあります。
 ここで大事なるのが、その問題がどういう難易度で出されているかということです。易しい試験であれば、直後に本当の答えがあることもあります。難しい試験であれば当然近くには答えはありません。だから、志望校を受験するときは、その学校の過去問をやっておき、その学校の国語の問題がどの程度の難易度で出されているかを知っておく必要があるのです。易しい問題であるのに、裏を読みすぎて×になる場合ももちろんあるからです。
 漢字の問題は単独で出ているように見えますが、実は熟語の問題として出されていますから、単に漢字の書き取りをやっているだけではできません。例えば、ひとつひとつの漢字は知っていても、熟語になると書けないということがよくあります。これは、どう勉強したらいいのでしょうか。読書で自然に身につけるのがいちばんいい勉強法です。ただし、子供の読む本は易しい本であることも多いので、意識して難しい本も並行して読んでいくことです。この「並行して読んでいく」というのが大事です。易しい本ばかり読んでいては、難しい語彙は身につきません。しかし、難しい本ばかり読んでいると、読書がはかどらないので多読ができず、その結果速読力がつきません。国語の得意な子は、難しい本も読んでいますが、易しいくだらない本も読んでいます。
 国語の問題の解き方をこのように実際に即して説明すると、ほぼすべての生徒が次のテストから成績が急に上がります(笑)。しかし、実際にその生徒の行った試験をもとにして説明することが大事で、一般論の説明だけではなかなか理解できません。だから、国語のテストの見直しの勉強は、試験の直後に、本人が心から困っているときに行うのがいいのです。(つづく)
国語力をつける、模試の見直し方 2
 もう一度大事なことを繰り返すと、まず第一は、問題文を傍線を引きながら読み、再読しやすくすることです。これは、普段の教科書や参考書でも同様です。線を引いて自分のものにしておくと、あとから活用できるようになります。
 第二は、選択問題は×となる根拠を明記して、×でないものを○としてを選ぶことです。最初から○を選ぶと、浅い答えになるからです。
 第三は、記述問題は、問題文全体の近くからも遠くからも、後の方からも前の方からもいくつか候補を選んでから記述することです。設問の直後にすぐわかるように書いてあるものは、答えでないことが多いものです。ただし、易しい試験では、直後に答えがある場合ももちろんあります。
 その試験が難しい答えを要求しているか易しい答えを要求しているかは、やってみなければわかりません。だから、志望校の過去問の研究が必要になるのです。
 第四は、問題文の全体を素早く読むために速読力と難読力をつけることです。そのために、毎日の読書は欠かせません。読書は最低でも1日10ページ以上で、できれば毎日50ページ以上を目標にします。
 また、普段の読書以外に、入試問題集の問題文を読書がわりに読む練習もしていきます。
 第五に、模擬試験などがあったら、その直後に、もう一度理詰めに正しい答えを確認しておきます。しかし、国語の問題の中には、答えが間違っているものもあります。お父さんやお母さんに聞いてもなぜその答えになるのか理解できないという問題は、できなくてもいい問題と考えておきます。
 理詰めで説明できる問題だけを確実にできるようにすることが国語の試験の目標です。
 この記事を見て、「あ、これは、自分のことを言っているんだな」と思った君(笑)、早速この記事の要点を国語の教科書の余白にでも書き出しておき、試験の前にいつも見るようにしておこうね。
 
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