|
|
||
|
言葉の森新聞
2026年8月3週号 通算第1911号 https://www.mori7.com/mori |
森新聞 |
|
|
|
||
|
|
||||
|
■勉強は成績を良くするが、読書は頭を良くする――AI時代の新しい読書教育 |
|
◆◆勉強は成績を良くするが、読書は頭を良くする 私の基本的な考え方は、「勉強は成績を良くするが、読書は頭を良くする」というものです。 もちろん、勉強は成績を良くするだけにとどまらず、将来仕事するときも勉強したことが役に立ちます。 また一方、読書は頭を良くするとか心を豊かにするとかいう面もありますが、時間つぶしの読書のようなものもあります。 しかし、そういういろいろな但し書きも含めて、すべてまとめて一言で言うと、勉強は成績を良くするが、読書は頭を良くする、ということが言えると思っているのです。 ◆◆読書の効果は学年が上がるほど現れてくる 読書をしていることは、そのときの勉強の成績にすぐ結びつくわけではありません。 成績はもちろん、勉強している子の方が良くなるのが普通です。 しかし、学年が上がるにつれて、勉強をよくしている子よりも、読書をよくしている子の方が成績の上がる度合いが大きくなることがあるのです。 これは、私のこれまでの経験から言っていることでしたが、実際に大規模な調査の結果、読書をしている子は成績の伸び方が大きい傾向があるということがわかってきました。 さらに、読書は、将来の成績に結びつくだけでなく、将来の人生を変える力も持っています。 だから、読書教育を見直すことが大事なのです。 ◆◆作文教室を始めたころから考えていた読書教育 私が昔作文教室を始めたとき、本当は、その教室を読書作文教室にしたいと思っていました。 しかし、当時は作文の指導法も読書の指導法も参考にできるようなものはなかったので、自分なりに作文の指導法を考えました。 そのため、読書の指導法まで考える余裕はありませんでした。 読書について、私が子供たちに言っていたことは、 1.なるべく難しい本を読むこと。 2.同じ本を繰り返して読むような読み方が読書力をつける。 3.小学生時代は楽しい本、面白い本を中心にたっぷり読むことが大事。 ということでした。 ◆◆AIによって可能になった新しい読書指導 しかし、ここに来て、AIを利用することによって読書指導ができる展望を持てることがわかってきました。 それが、今計画している図書検定という仕組みです。 ◆◆小学生から高校生までの推薦図書を選ぶ 図書検定は次のように行います。 まず、言葉の森が、小学生から高校生までの生徒が読むのにふさわしい本のリストを作ります。 このリストは、現在200冊ぐらいになっています。 日本の生徒だけでなく、海外の生徒もその本を入手して読めるように、Kindle化された本を中心にしています。 ◆◆○×問題と記述問題で読書のきっかけを作る 図書検定は、それぞれの本について、○×問題と記述問題があります。 ○×問題は、1冊について8問です。 これは、本を読んでいれば大体わかるというレベルの問題です。 記述問題は、2問あります。 1つは、印象に残ったこととその感想を60字以上、100字以内で書くことです。 60字から100字という字数を指定しているのは、将来、記述の試験を受けるときに、字数内に収めるという感覚をつかんでもらうためです。 もう1つは、「もし……だったら」などと想像したことで、自由に自分の考えを書くことです。 これは60字以上で上限はありません。 人によってはたっぷり書きたいことがある人もいるので、それを自由に書いてもらうという記述問題です。 この○×問題と記述問題の内容に合わせて、AIが生徒の解答について200字の講評を書きます。 ◆◆点数ではなく読書を進めることが目的 ○×問題も記述問題も、点数をつけることが目的ではありません。 問題を解くという目標を持つことを、読書を進めるきっかけにすることが目的です。 ◆◆読書の記録が一生のアルバムになる この図書検定の結果は蓄積されるので、長年続けていると、自分が小学生から高校生までどんな本を読み、どんな感想を書いていたのかという記録が残ります。 これはその生徒の読書生活の一種のアルバムになります。 紙の本は絶版になることがありますが、Kindle化された本はずっと継続するので、その生徒が成長して親になったときに、自分の子供に読んだ本を見せてあげるというようなこともできます。 これが図書検定の仕組みです。 ◆◆今の子供たちの読書が抱える二つの問題 さて、今の子供たちの読書には、2つ問題点があります。 第一は、やさしい本、楽しい本ばかりを読んで、それ以上先に進まないことが多いという問題です。 もちろん、小学生時代はやさしい本、面白い本、楽しい本をたっぷり読むことが大事なので、それはそれでいいのですが、そこから先に進まない子も多いのです。 やさしい本、面白い本を読み続けていると、勉強が忙しくなるにつれて読書をやめてしまうようになります。 第二は、中学生や高校生になると、読書をしない人が増えることです。 中学生・高校生時代は勉強が忙しいというのはわかりますが、勉強が忙しいという理由で本を読まなくなった人が、受験が終わったあと大学生になってから本を読むかというとそうでもないことも多いのです。 ◆◆情報を得るだけでなく考え方の骨組みを作る 知識や情報を得るだけならば、インターネットも、YouTubeも、AIも使えます。 しかし、自分の考え方の骨組みを作るというのは、やはり読書を通して行う必要があります。 ◆◆成長に合わせて「読む楽しさ」から「考える楽しさ」へ 図書検定は、小学生時代は人気のある楽しい本を中心にします。 中学生になると、考える要素のある楽しい本にします。 高校生になると、内容そのものが高度になるので、考える楽しさを得られる本というように発展させていきます。 図書検定のリストには多くの本がありますが、本当に大事な本はもっと絞られたものになります。 かつては、四書五経のような定番となる本がある時代がありました。 これからの子供たちの読書生活も、ある一定の推薦図書を基準に読むという方向に進んでいくと思います。 ◆◆自由な読書だけでは続きにくい さて、この図書検定の進め方ですが、図書リストを元にして自由に本を読んでくださいと言っても、やり続ける人はまずいません。 自由な読書であれば、毎日、本を読んでいる人は多いと思います。 しかし、中学生、高校生の読書へと発展する方向性を持った読書については、ある程度その読書を指導する道を作る必要があります。 それが、これから企画する推薦図書クラスという新しいオンラインクラスです。 ◆◆推薦図書クラスという新しいオンラインクラス 現在の作文クラスや全科学力クラスのように、ある特定の曜日と時間を決めたオンラインクラスを作り、生徒にそこに参加してもらうという形です。 推薦図書クラスでは、最初に推薦図書のリストの本の紹介文を読んだり、その本の問題を見たりして、自分が興味を持てそうな本を決めます。 すでに読んだことのある本でもかまいません。 その本の検定問題を見ていいのは、点数をつけることが目的ではなく、問題を見て本の内容を推測し、その本を読むきっかけを作るためです。 そして、自分の読む本が決まったら、その本をKindleで用意しても、紙の本を購入しても、図書館などで借りてもいいですから、家庭でその本を読んでいきます。 ◆◆みんなで集まって本を読む時間を作る 小学生でしたら本1冊を1日で読み終える人もいるでしょうが、小学校高学年、中学生、高校生の場合は1週間ぐらいかかる本が多いと思います。 そこで、家で読むだけでなく、推薦図書クラスに参加して本を読む時間を確保します。 推薦図書クラスは4人から5人のクラスで、みんなが集まって本を読むので、授業のあとに互いの読書紹介や感想を話す時間も作ります。 ◆◆365日24時間使えるオンライン自習室 推薦図書クラスの教室となるZoomは、自習室のZoomとし、担当の先生は自習室の中のブレイクアウトルームのひとつをそのクラスに決めます。 そして、先生も生徒も指定したブレイクアウトルームに入って、読書をします。 読書だけでなく、勉強をしてもかまいません。 自習室のZoomは、365日、24時間、100ルームのブレイクアウトルームを利用できるようにしているので、自分の参加するクラスの授業がないときでも、自由に自習室のメインルームに入って読書や勉強をすることができます。 メインルームで、他の生徒と一緒に読書をしたり勉強をしたりすることもできるし、自分だけ空いているブレイクアウトルームに入ってひとりで読書や勉強をすることもできます。 自習室の利用は自由ですので、誰にことわることもなくいつでも使えます。 ただし、マイクはオフにしておくこと、すでにほかの人がいるブレイクアウトルームには入らないことが、基本のルールです。 気の合った友達と一緒に同じルームで勉強したり話をしたりするのはかまいません。 ◆◆少し難しい本を読むための「きっかけ」を作る 何かを始めるときには、きっかけが必要です。 作文には、大きなきっかけが必要です。 苦手な勉強をするときも、それなりのきっかけが必要です。 それらに比べると、読書はあまりきっかけを必要としません。 しかし、それでも、少しむずかしい本を読むときは、ある程度のきっかけが必要になることがあります。 そのときに、自習室のZoom会場に入ることを1つのきっかけ作りにしていくといいのです。 ◆◆推薦図書クラスの受講料と参加方法 推薦図書クラスの受講料は、月4回で月額3200円です。 推薦図書クラスにはそれぞれ担当の先生がいるので、そのクラスの曜日時刻に間に合わない場合や欠席する場合は、事前に連絡するようにしてください。 ◆◆日本だけでなく海外にも広げる読書教育 私は、この推薦図書クラスを言葉の森の中だけでなく、子供たちの読書教育に関心のある多くの人に取り組んでいただきたいと思っています。 Kindleの本を中心にしたオンラインクラスなので、日本だけでなく海外にいる生徒も参加できるオンラインクラスです。 勉強する習慣とともに、本を読む習慣を子供たちの生活の中に作ることが、これからの教育には必要です。 日本の子供たちの読書教育を充実させていきたいと思っています。 (注)推薦図書クラスは、読書の授業と図書検定をセットにしたクラスです。 図書検定は、クラスに参加していなくても受けられます。 |
|
|