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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   現代の『隠れ蓑』   はる

 その昔、サングラスをかけることは、ちょっとした冒険であった。世間に対して少しばかりうしろめたいところのある人にとっては、冒険に伴い、ややロマンチックな趣もあるものの、当然ながら周囲からそれらしい目で見られる。そのため、常にその種の視線の中で平然といられる心構え—忍耐のようなものが鍛えられたことだろう。しかし、現代ではそのような忍耐は必要なく、ロマンチックな趣も消えてしまったが、いつでも気軽に自分自身の姿を消すことができるという、いわば「隠れ蓑」としての役割はまだ残っているようだ。昔と違う点は、よりさり気なく隠れることが出来るという点だけなのだが、人はなぜ隠れたがるのだろうか。(第一段落 要約・意見)
 まず、一つの要因として、アイコンタクトの欠如であろう。大人が子を叱る時に、「お母さんの目を見なさい!」と声を張り上げているのをよく耳にする。私自身、今でも言われているのだが・・・。そもそも“相手の目を見る”というのは、口だけのコミュニケーションに加えて、“私はあなたの話を聴いていますよ”という合図を送る—いあわゆる“一方通行”の会話にならないための手段なのであろう。目の会話も同時に取り入れることによって、初めてお互いの意志が流通し、会話となるのだ。学校の授業でも、黒板に書かれていることを必死に書き写しているだけでは全く身につかない。私の場合、説明をしている先生の目を見て、更にうなづきながら聴くと、その日の内容がよく頭に入る。睡魔に襲われて、コックリコックリしているのとでは意味が違う。(第二段落 原因1・体験実例・ユーモア表現)
 次に、コミュニケーション能力の問題が取り上げられそうだ。“コミュニケーション能力”と一くくりにしてしまうと、全体的にかたいイメージが頭をよぎるが、要は言葉の軽さを嘆いているのだ。会話は『言葉のキャッチボール』とよくたとえられるように、相手とのリズムが重要だ。相手の言葉重さのが十であるとすれば、答える側も十に近いものでなければならない。また、自分から投げかける言葉の重さも大切だ。最近、学校での会話で、『疲れた』、『眠い』など、単刀直入に自分の状態を口にする声をよく聞く。何で疲れたか、どうして眠いのか、それぞれに理由があるだろう。こちらも、いきなり自分の様態を口にされては返答に困る。また、遠回しに自分の意見を主張する“先生”も、いる。先生という立場は、生徒の大切な時期に一番長く接する大人の一人だ。その中で、生徒に疑問を持たせては、お互いのためにならない。陰で生徒に、“あの先生ってコミュニケーション能力ないよね・・・”などと言われては、身も蓋もないだろう。(第三段落 原因2・社会実例)
 確かに、オブラートに包んで物事を口にする時が必要とされる場合も、時にはある。しかし、自分の意見は積極的に口にし、相手に響かせることで、自分に跳ね返ってくる責任や主張する力が求められるこの時代には、そうたやすくオブラートに包んではいられないだろう。現代は若者に限らず、また、私も含めて消極的だ。就職すれば、コンピューター相手に黙々と仕事をするイメージが強いが、求められるのはチームワークだ。そのチームワークを育むためには、やはりコミュニケーション能力が物を言う。対話とは、話術が備わっていれば成立するものではなく、五感全てを働かせて、初めて成立するものなのだ。(第四段落 反対理解・自作名言)

   講評   tama

 「人はなぜ隠れたがるのだろうか」という問いかけに、思わず引き込まれてしまいました。現代人(社会)の問題を探る視点が、非常におもしろいですね。しっかりとした意見文でありながら、硬すぎず、誰にでもわかりやすい実例を述べながら書き進めることができました。ユーモアを交えながら書いたところにも親しみが持てます(笑)。対人関係が希薄になり、コミュニケーションの取り方が下手になったと言われる現代人に、何が必要かを考えさせるきっかけとなりそうな文章です。

 コンピューター社会に生きる我々は、人と会って話をする機会が減りました。アイコンタクトの欠如やコミュニケーション能力の低下は、このあたりにも問題がありそうですね。しっかりと相手の目を見て話を聞く、自分の気持ちを「何となく」でごまかさずしっかりと伝えていくことは、今後さらに重要になってくるはずです。日頃からコミュニケーションがじゅうぶんに取れていれば「目を見ればわかる」関係になれるはずですね。今後数年間の学生生活を終え社会人となったときに、今ここで考えたことが必ず生きてくると思います。はるさん自信の未来に通じる、希望の持てる文章だと感じました。


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