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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   里山を歩いていると(感)   かいち

 野生生物を中心とした自然のつくりあげる里山は、その美しい景観などからハイカーを楽しませてくれる。この里山は、その周囲の人びとの善意によって美しい姿を保っている。その人びとから見てハイカーのマナーの悪さは目にあまるのだろう。だから、「山野草の花をつむな」とか「ゴミを捨てるな」といった看板が目立つ。これのせいで、せっかくの景観が台無しになってしまう。その景観を守るためにも下草刈りのボランティアなどを通して、里山の人びとと相応の負担を、里山の人々の善意にあまえている人びともするべきだ。また、この美しい里山に生きる野生生物も、人間の側の注意と配慮によって守らなければならない。そこでいちばんいいのが緑のコリドーだ。つまり、野生動物が安心して体をかくせる緑の廊下だ。これを里山から都市までつなげ、動物たちが都市の公園まで来てくれたらどんなに楽しいだろうかと筆者は考える。
 もっともこのためには、生ゴミを町に散乱させない、野生動物の脅威となる野犬や野良猫を作り出さない、など、都市の環境を整備し、私たちが野生動物とのほんとうのつきあい方をしっかり知るべきだ。これが筆者の主張だ。(要約)
 僕は、「里山の人びとの善意にあまえている人も、下草刈りのボランティアなどを通して里山の人びとと相応の負担をしなければならない。」という点には賛成する。自分たちの踏み荒らした土地は自分たちの手で直さなければならないと思う。しかし、問題にしたいのは緑のコリドーだ。果たして実行できるのだろうか。まず作る費用だが、国は今ぼうだいな借金をかかえ、その返済に追われているため、緑のコリドーを造る資金がない。それを乗り越え、実際に野生生物が公園に来るとしても、地面はコンクリートであるから、糞をされる、土の中のえさがない、動物の足が傷むなどの問題が考えられる。
 僕はこの前白神へ行った。登山グループに入り、大崩山に登る予定だった。しかし、登山道でクマに食べられたと見られるシカの死骸が発見されたため、別の山に登ることになった。もし襲われたのが人であったらその人にとっても不幸であるし、その後で徹底的に捕獲されるクマにとっても不幸だ。もしこのようなことが都市の公園でもおきたら、悲惨だ。(体験実例)
 同じくらい不幸なのが、動物園の動物たちだ。この前ニュースで、「上野動物園でクマを冬眠させるのに成功した」と聞いた。つまり今まで、動物園の動物たちは冬眠したことがないのである。冬眠をせずに一定の食べ物を食べ続け、運動もしないでいれば当然太る。それでは動物にとって不幸だ。また、このようなことが都市の公園でおこらないとは限らない。冬眠する場所がないなど問題点はたくさんある。(聞いた話)
 このように、科学が発達した現代社会の中で、人と野生動物が共存することはもはやできないのではないか。共存しても人も野生動物も不快に思うだけだ。今するべきなのは、野生動物が安心して生きることができる、里山本来の姿に戻し、その姿のままで守り抜くことなのではないだろうか。このためには、ゴミを捨てない、山野草の花をつむなといった最終警告をだし、それでも守られないようならば人の立ち入りを禁止する、といいのではないかと僕は思う。(一般化の主題)

   講評   nara

 長文筆者の意見に対し、真っ向から反論を挑んだのだね。ただし、反論といっても、根本にある「緑を守らなければならない」という点では共通しているから、対立しているわけではない。こういう議論は建設的でいいと思うよ。以前はごく普通に存在していたグリーンベルトを断ち切ったのは人間なのだから、緑のコリドーとして復活させるのも人間がやるべきことだというのが、筆者の立場だ。ただ、緑のコリドーは、確かに実現するために、かなりの問題点をクリアしなければならない。複数の意見を戦わせることで、より現実的で効果の望める案が生まれてくるわけだ。
 白神や動物園の話は、具体的でわかりやすい。複数の具体例があることで、問題点もより明らかになる。自然に対する人為的な行動がどこまで許されるのか、ということだろうな。たとえそれが「自然のためになるから」という主張のもとに行われたとしても、その結果がどう出るのかは、人間が予想できる範囲に収まらない。かいち君の「そのままの姿で」という意見には、自然に対する謙虚さが足りないのではないかという思いも含まれているのだろうね。
 この自然に対する謙虚さをどう取り戻していくか。ここも考えていけるとおもしろい。日々の生活の中での自然とのふれあい、白神登山のような大きな自然との対峙、いずれもが私たちには足りなくなっているのかもしれないな。

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