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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   忘れていた楽しさ   

 目の前のペラペラした平面の世界に、たくさんの文字が整列する。私はそれを一心不乱に追い続ける。私の目標、それはできるだけたくさんの本を読むことだ。何故私がここまで夢中になって本を読んでいるのか。その最初のきっかけは、先日入部した文芸部での出来事だった。
 総部員数6人の文芸部は部員仲がとても良い。先輩達は入部したばかりの私にも気軽に、たくさん話掛けてくれた。ある日、先輩達との会話の中に、「今まで読んできた本」という話題が出てきた。みんな文芸部員だけあって、たくさんの本を読んでいる。SF、冒険物、推理小説、随筆、評論......etc。まるで、頭の中に本棚があるかのようだった。
 話が止まらない先輩達とは対象的に、私は声を出すことも出来なかった。入部したばかりだし緊張しているのだろう、と先輩達は気に掛けて優しく声をかけてくれる。が、そうじゃない。今まで読んできた本の内容が思い出せないのだ。
 今まで本が大好きでたくさんの本を読んできた。なのに思い出そうとしても全く何も出てこない。むしろ本当に本を読んだのか?という思いまで出てきた。自分で読んだ気になってただけじゃないのか、と。私は頭を殴られるようなショックを受けた。「本好きを名乗っていて、それはどうなんだ!?」と、焦りが芽生えた。「たくさん本を読まないと!」とにかくそう思った。
 そんなわけで本を読むことしたが、最初は「読まないと」という焦りが先走りをして中身が全然頭に入らなかった。ただページを捲っていくだけ。ページを捲る音に、苛立ちさえ感じた。
 しかし、何冊か読んでいる内にそれが変わった。中身が少しずつ頭に入っくる内に、「読まないと」という焦りが、「読みたい」という願望に変わっていったのだ。ペラペラしただけの平面の世界。なのに楽しくてしかたがなくなった。引き込まれていくようだった。どんどん本の世界に吸い込まれていく。......すると、以前読んだ本の内容を思い出してきたのだ。
 何故いきなり思い出したのか、訳がわからず考え込む。そういえば、最近本を読んでおもしろいとも思うことがなかった。というより、本を読んでいなかったのだが。私は、本の内容を忘れたのではなく、本を読むことの楽しさを忘れていたのかもしれない。だから、楽しさを思い出したらそれと同時に本の内容も蘇ってきたのだ。
 本を読むということは、人間にとって何かを得ることだ。感動を得たい。新たな知識を得たい。筆者を知りたい。・・・得たいから、読むのだ。私の目標は、できるだけたくさんの本を読むことだ。このペラペラした平面の世界から、たくさんのことを知りたい。たくさんの物語に感動したい。たくさんの考えを聞いてみたい。たくさん『楽しみ』たい。だから、たくさんの本を「読みたい」のだ。

   講評   nane

 この清書は、ぜひみんなに読ませたいね。
 内容もいいし、構成もいいけど、更に文章の背後に流れている感動がいい。
 読書というと、ためになる苦い薬を飲むように考える人もいるけど、もともとの出発点は、楽しいからつい読んでしまうということだからね。
 しかし、ここで、先生が思うのは、易しい本をたくさん読むよりも、難しい本を少しでもいいから読むということ。
 これから、高校の倫理や歴史の時間に、有名な人の名前が出てくるだろうけど、そういう人の本(つまり古典)を読むのが、読書でいちばん大事なことだと思う。高校生のころは、多読でもいいけど、大学生になったら、ぜひそういう一流の古い本を読んでいこう。
 それから、小説を読みすぎると国語の成績が下がる(笑)。小説というのは、文章が簡単すぎるから。説明文の本も取り入れながら読んでいこう。


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