国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   いつもの場所   きへあ

   
 科学は記述から始まる。ある現象と言葉が厳密に一対一に対応しているならば、誰が現象を記述しても、同じものになるはずだ。しかし、そう上手くはいかないのだ。我々は連続して変化する社会を、適当に切り取ってコトバで言い当てようとする。コトバによる世界の切り取り方には根拠がない。そうは言っても、同じ言語を使う人々の間では、この切り取り方がほとんど同じであるように見えるのはなぜだろう。それは、コトバが同じなのでコミュニケーションができるのではなく、コミュニケーションができるからコトバが同じであるかのように錯覚されるに違いない。しかし科学においては、これでは困る。科学は、できることならコトバを同一にし、厳密に定義できるものにしたいのだ。
私達はコトバをもっと厳密に使うべきなのだ。
 その理由は、「コトバを曖昧に使うと、誤解が生じるから」である。あなたにも、伝えたいことを曖昧に表現してしまったせいで、上手く伝わらなかったという経験はないだろうか。私にはこのような体験談がある。小学生の頃、そろばんを習っていた私は、帰りはいつも母か父に車で迎えに来てもらっていた。だいたいいつも、そろばん教室の向かいの建物の前か、教室から少し離れた駐車場で待ち合わせをしていた。しかし朝早くの学校に行く直前に待ち合わせ場所を親に聞いた時、
「『いつものところ』にいて。」
と言われたことがある。朝は急いでいたので『いつもの場所』について何も疑問を持ったりすることはなかった。しかしその日、そろばんが終わって『いつもの場所』に行こうとした時、私はふと考えた。
「『いつもの場所』ってどこだろう。」
と。悩んだあげく、私は二つの選択肢のうちの「少し離れた場所にある駐車場」を選んで、その『いつもの場所』で母が来るのを待っていた。一向に来なかった。母の言っていた『いつもの場所』とは、教室の向かいの建物のことだったのである。
このように、「いつもの」とか「あれ」とか「あそこ」というような曖昧なコトバを使うと、誤解を招くことがあるのだ。
 もう一つ理由がある。それは「現代の社会に生きる私達は、今まで以上にますます厳密なコトバを要求されているから」である。私の言う現代の社会とは、紛れもない「インターネット社会」である。人々が出す年賀状がどのようなものであるか、という調査でも、六八%の人がパソコンを利用したり、年賀状は送らずに電子メールで済ませてしまう人が多いのだ。このような完全なインターネット社会では、自分の意思を伝えるには厳密なコトバが必要なのである。少しコトバを間違えてしまうだけで、そのコトバは何にでも変化してしまうのである。インターネット社会とは、便利ではあるがその分細かいところにまで気を配らなければならないのである。
 確かに「コトバ」というのは、あくまで道具にすぎない。対人関係がぎくしゃくしない為にも曖昧に使う必要があることもあるだろう。しかし、「すべてに効くという薬は、何にもたいして効かない」という名言があるように、曖昧に曖昧にコトバを使うよりも、厳密にコトバを使う方が、意思疎通がしやすいのではないか。

   講評   kira

 きへあさん、こんにちは。科学の発達によって正確さを期すものがかなり増えました。スイッチひとつで計算しつくすのが科学の世界だから、その中間といった曖昧さはありません。けれども私たちが使っている言葉の世界にはまだまだ曖昧さがあるようです。

 お迎えがこなかったのは、心細い体験でしたね。「いつもの場所」というのが、ご両親ときへあさんの安心の言葉だったのに、ちょっとした行き違いで、不安の種になってしまいました。きへあさんが出て来ないと待っていたお母さんも、不安だったでしょうね。先生も娘のお迎えで、学校の正門と裏門で延々待っていたことがあります。(あとでケンカです。笑)
 厳密な言葉が求められるようになってきたことでは、じつにいい説明がなされています。インターネット社会では、個人が発する情報と言えども、不特定多数にひろがります。その影響も考えなくてはなりませんね。

 曖昧ないい方で人間関係をまるくおさめるのは、日本人の得意分野ですね。あまり合理的ではないですが、必要なことでもあります。ただ、厳密な物言いができる力は持つべきですね。
★一番最後は「・・・ないか。」ではなく「・・・・である。」と言い切ったほうがいいよ。


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