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競争による意欲、交流による意欲  2011年11月10日  No.1377
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 昨年、小学生対象の全国模試で、「さあ、競争だ!」というキャッチフレーズを打ち出しているところがありました。

 競争という環境は、確かに人間の意欲を引き出します。しかし、その意欲には、二つの異なる面があります。

 ひとつは、競争によって仲間との交流を深めたいいう意味での意欲です。親しい友達と同じ目標を目指しているとき、人間は連帯感を持ちます。その連帯感が意欲の源泉になります。

 PISAの試験で毎回世界のトップを占めているフィンランドの教育は、大学入試まで競争というものがありません。みんなが同じように勉強し、高校を卒業する時点で、高校卒業にふさわしい学力が身についているかどうかの試験をするだけです。

 このような中で、子供たちが何を意欲の源泉として勉強しているのでしょうか。それは、友達と協力し、助け合い、最後の試験まで皆で一緒にがんばろうという連帯感のようなものです。



 このフィンランドの教育と対極にあるのが韓国の教育です。韓国では、小、中、高、大と何度も激しい受験競争があり、その競争で負けると社会に出ても上に上がれない仕組みになっています。社会全体が激しい競争の環境にあるので、勝てば恵まれた生活が、負ければ悲惨な生活が待っているのです。

 その韓国も、フィンランドと同じように、PISAでは毎回最上位のグループに入っています。この場合も、競争が子供たちの意欲を引き出していますが、その意欲は、負けることに対する恐怖から来る意欲です。



 ひるがえって、日本における身近な教育を見てみると、競争が活気をもたらす面は確かにあります。しかし、その競争がもたらす意欲を、大人が、仲間との交流から来る意欲と考えているか、負けることに対する恐怖から来る意欲と考えているかによって、競争の性質は子供たちの人間形成に大きな影響を与えます。

 そして、これからの社会に求められるのは、競争を単なる勝ち負けとして考える人間ではなく、競争を仲間との交流として考える人間です。



 競争と似ているものに、賞罰があります。

 これも、コミュニケーションの手段としての賞罰と、コントロールの手段としての賞罰があります。

 「これができたら、ご褒美だ」とか、「これができなかったら、罰金だ」というとき、大人がどういう意識を持って子供に接しているかが大事なのです。



 これからの世の中は、多くの人の人間性が今よりも更に向上していきます。そういう中で、恐怖や強制はますます意欲のもとにはならなくなり、仲間との交流の喜びが意欲の中心になっていきます。

 競争自体がよいか悪いかというのではなく、その競争にどういう意識で取り組むかということが大事になってくるのです。

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