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これからの教育に必要なもの―学力向上の先にあるもの 6  2012年4月19日  No.1525
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 教育は、人間の幸福、向上、創造、貢献と結びついているという話の続きです。

 第二は、向上のための教育です。

 今の教育は、向上のために行われているように見えますが、しかし、その目的が受験に合格することに絞られすぎているところに問題があります。その結果、試験でいい点数を取ることが勉強の目的のようになっています。

 例えば、一夜漬けや山をかけるような勉強でも、点数がよければそれでよいという発想を子供は持ちがちです。試験の前に集中力を育てるのはいいことですが、試験でがんばりすぎると、試験が終わったら何もしないということになりかねません。

 人間が向上心に目覚めるのは、中学3年生ごろからです。だから、高校生になると、勉強はだれに言われなくてもやるようになります。しかし、それまでの小学校時代と中学校時代の大部分は、子供は親や先生の価値観で勉強しています。だから、周囲の大人が、勉強はテストでいい点数を取るためにあるのではなく、自分自身を向上させるためにあるのだと教えていくことが必要なのです。

 例えば、テストでわからない問題が出た場合、あてずっぽうで答えを書き、それがたまたま○になっても何のプラスにもなりません。そういうときは、その答えを空欄にして×にしてもらった方がずっといいのです。大人は、そういうことをわかっていますが、子供にはそのことをはっきりと言葉に出して伝える必要があります。

 また、今の入学試験は点数で差をつけるために難問を一部に入れることがありますす。総合点でいい点数を取るためには、難問はほどほどに切り上げて、易しい問題や普通の問題で得点を上げていくことが必要になります。しかし、そういう試験勉強に慣れてしまうと、仕事や人生でも難問を避けて易しい問題だけに取り組むようになります。これも、向上とは正反対の考え方です。

 向上とは、人間の能力全体の向上です。受験する科目だけに絞った点数の向上ではありません。高校生になると、理系だから国語はやらないとか、文系だから数学はやらないとかいうことが、ごく普通に受け入れられるようになります。しかし、それでは、当面の大学入試には役立っても、世界に通用する学力はつきません。

 確かに、日本の社会は、組織力で持っています。個々の人が自分の得意分野を生かし、苦手分野を支え合うことで、組織全体の力で業績を上げることができます。しかし、これからの高度な知的社会では、理系と文系の分離は個人の能力向上という点でも問題がありますが、組織全体のチームプレイにおいても意思疎通の妨げになってきます。

 勉強の目的は、ガラパゴス化した日本の大学入試に合格することではなく、自分自身を向上させるためにあるのだということを、親も子も含めて社会全体が認識していく必要があるのです。(つづく)

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