| 勉学の目的 | 
| ウグイス | の | 滝 | の広場 | 
| ペー吉 | / | うき | 中3 | 
| 一夜漬けというものがある。テストの前など、覚えなければならないものを | 
| 当日までに覚えられそうにない時に、一晩費やして次の日まで暗記する勉強方 | 
| 法のことだ。一夜漬けというのは、社会科や理科といった科目には有利だが、 | 
| 国語や数学などの実際に考える問題には向かない。つまり、「これはなにか」 | 
| と問われた時に「それはAである」と答えることのできる、決まった問題に決 | 
| まった答えのある科目にのみ有効に働くのだ。 | 
| 私は、今回のテスト(一学期の期末テスト)にこの方法を使った。暗記したの | 
| は公民と科学。参考書の内容を前日に何回も見るという形式だ。結果、それな | 
| りにいい結果を得ることができた。私は、去年の定期テストにもこの方法を使 | 
| って、そこそこの点数をだしていた。だが、去年に学んだ内容をもう一度テス | 
| トしてみてももうできない。おそらく、夏休みが終わったころに今回のテスト | 
| の問題を読んでも、解ける問題は少ないだろう。これは、一夜漬けが「一夜で | 
| 覚える」ことの他に「一夜しか効果がない」ということも示している。 | 
| ただ、私のしたような、参考書を何回も見るという方法で一夜漬けをする人 | 
| 間は少ないようだ。ほとんどの人間の一夜漬けは、テスト前の夜に、参考書を | 
| 読み、問題をとき、心身を削って一日だけ覚えるというものらしい。確かにこ | 
| の手段の方が勉強した気にはなるし、後々も記憶は多少もちやすいだろう。し | 
| かし、注目してほしいのは、ここでとっている手段は「普段の勉強を夜にやる | 
| 」というものであることだ。それならば、わざわざ眠気で効率の落ちる夜にや | 
| らなくとも、前日や前々日の昼間にやればいいではないか。このような方法の | 
| 一夜漬けでなく、私のとったような方法でも同じことが言える。前日や前々日 | 
| の昼間にやればいいのだ。そのほうが効率もいいし、数日にまたがってやる分 | 
| 記憶に残りやすい。つまり、一夜漬けとは一見「奥の手」であるかのように見 | 
| えるが、その実「せっぱつまった確認」くらいの役割しかもたないということ | 
| だ。しようもない奥の手である。 | 
| 確かに、数日の時間を他の勉強に割り当て、直前に一夜漬けをしたほうが時 | 
| 間を効果的に使えるという意見もあるだろう。しかし、勉強はテストのために | 
| やるものではない。テストでいい点をとるために勉強をするのだとしたら、そ | 
| れは根本的に勉強の意味を取り違えてはいないか。勉強というのは、自己を学 | 
| ぶことによって向上させるために行うのだ。直前に覚えて後は忘れるというの | 
| は、カンニングと同じくらい意味のない「テスト勉強」ではないか。テストは | 
| 自分がどの程度理解しているかというチェックのはずだ。学校側も家庭側も、 | 
| テストを置くべき位置を間違えている。それが、一夜漬けという勉強方法の誕 | 
| 生を招いたのではないか。テスト第一という今の学校の姿勢や、それに対応す | 
| るための裏技的な「奥の手」を生み出してしまった。初心忘れるべからず。我 | 
| 々は、教育・学習というものそもそもにかえり、日ごろの勉強の重要性を、再 | 
| 認識するべきではないだろうか。 |