| ある朝 | 
| イチゴ | の | 谷 | の広場 | 
| GO | / | うみ | 中2 | 
| ある朝、私は気の向くままに歩いていった。不思議な、あるひそかな不安を | 
| 感じながら、私は少年時代に喜びを味わった、なじみの場所を見回した。日の | 
| 当たらない、敷石が苔で緑色になった中庭が私を見つめた。それらは、昔とは | 
| 違った顔をしていた。 | 
| 汽車が輝く鉄路を走って来て、私のそばを通り過ぎた。それを見送った私は | 
| 、一瞬非常にはっきりと、ここではもう私の本当の喜びが花咲くことはないと | 
| 感じた。そしてあの列車に乗って世の中へ出て行きたいと、心の底から感じた | 
| 。 | 
| わたしには、思いでの場所がある。思いでの場所といってもそこで何かあっ | 
| たという訳でもなく、気持ちが不安定な時に自然に、いきたくなる場所だ。そ | 
| れは、とても心が落ち着き、そこにいるだけで幸せな気持ちになれる所だ。今 | 
| でもよくいく所だけれど、今は昔とは違うことしか感じなくなってしまった。 | 
| 小さい頃は、悲しい事や、嫌なことがあったからその場所にいったけれど、今 | 
| は違う。あの景色が見たいと思った時にいくようになってしまった。私は、成 | 
| 長するにつれて昔とは違う「今」を生きているんだなと思う。 | 
| もう一つの思いでの場所は、ギリシャだ。私は小さい頃ギリシャにすんでい | 
| た。今ではよく思い出せないけれど、ときどき写真などを見ると、「あー、こ | 
| んな事もあったなー」と、思い出す。もう、行けないかもしれない思いでの場 | 
| 所だけれど、写真を見てギリシャに住んでた頃の小さな自分に戻ってみる事も | 
| 、昔とは違う「今」を感じられる事だと思う。 |