キンモクセイ の山 7 月 3 週 (5)
○けんじはともだちと(感)   池新  
 【1】けんじはともだちと、まちはずれのはらっぱであそんでいました。かれたかやが、たくさんはえていました。【2】ひとりの子が、マッチをもってきました。
「かやは、よくもえるぞ。もそうよ。」
「うん、もそうもそう。」
 【3】火をつけると、かれたかやは、めらめらとよくもえます。あっというまに、ぐんぐんもえひろがりました。
【4】「たいへんだ、けそう。」
 子どもたちは、あわててけそうとしました。けれども、もうまにあいません。ゴオーッという音をたてて、火のいきおいは、はげしくなるばかり。
 【5】カーンカーンカーン。
 まちのはんしょうが、なりだしました。子どもたちは、青くなってにげだしました。【6】けんじは、ひとりだけにげません。いっしょうけんめい火をけしつづけました。
 【7】まちの人たちがかけつけてきて、やっと火はきえました。
「おまえか、こんないたずらをしたのは。」
 しょうぼうの人が、けんじをつかまえてしかりました。【8】けんじは、
「すみません。」
と、あたまをさげました。けんじのまゆは、火ですっかりやけていました。
 【9】わるいことをして、にげてしまうようなことは、けんじには、どうしてもできなかったのです。【0】
 
 (宮脇 紀雄著 「偉人の話」より)