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　　　夢見る乙女　　　おひう

他の惑星に生命が存在するかどうかもわからない。けれども、ソフィーがソフィー自身にでくわすということはあるかもしれない。わたしはなぞめいた生き物だと。わたしはだれ？ソフィーは疑問に思う。宇宙ってなんだろう、なんであるのだろう。ある日、２つか３つのトーマスは不思議な光景を目にする。パパが天井近くまでふわっと浮かび上がったのだ。トーマスはもちろんビックリしたけど、パパは、いつもおかしいことをするから、別に大そうおどろかなかった。パパは毎日へんてこな機械でひげを剃るし、しょっちゅう屋根に登ってテレビのアンテナをあちこちひん曲げているからだ。そして時には自動車に首を突っ込んで、カラスみたいに真っ黒になって帰ってくる。だから、パパが宙に浮いても別におどろかない。が、ママは、それを見た瞬間腰を抜かし、ジャムの入ったガラスビンを落とした。トーマスは、人間は宙には浮かない、という常識を知らなかったが、ママはその常識を知っていたからだ。ということは、勉強して知識が増えれば増えるたびに地球というそのものになれっこになってしまい、大切な何かを失ってしまうのだ。
　保育所の頃、父さんが言った。
「こっちの手（右手）グーにしてみ。今父さん側にあるじゃろ。」
私は言われた通りに、右手をグーにした。
「それから、体を反対方向にして。」
そう言われて体を反対方向にすると、
「グーの手が、父さんの反対側にあるじゃろ。」
その時、なぜグーの手が父さんの反対側にあるのかが不思議だった。きっと、その時父は、からかいのつもりで、分かっているものだと思っていったのだと思うが、そのころの私はかなり面白く、不思議な経験だった。今思えば、ただの馬鹿にしかすぎない。でもやっぱりとっても面白くて、ずっと考えていた。なぜそうなるのだろうか。そして結局父さんから種明かしされて、へ〜、と思った。でも、その考えはとっても簡単なのになぜ分からな無かったのだろうか。やっぱり、知識が豊富ではなかったせいかもしれない。そう、そのころは夢見る乙女だったのだ。
　ところで、となりのトトロには、子供にしか見えないものが出てくる。トトロであったり、猫バスであったりする。小さい頃は、それがこの地球上に存在するものだと思っていた。やはり、知識が豊富でないと、いろんなことを想像でき、そしてそれをふくらますことが出来るのだ。
　そして、人間にとって大人になるということは、知識が増えるということだが、それイコール、世の中の不思議が減り、地球そのものになれてしまうということ、になる。子供にしか見えないものが見える大人は、素敵だと思う。それは、言葉の式に当てはめれば、知識が少ないということだが、不思議を一生不思議と思えて、一生夢見る人であることはいいことだ。これからもずっと、子供のような、キラキラと透き通った、心でありたい。そして、勉強はほどほどに。（笑）

　　　講評　　　kira

　まるもちちゃん、こんにちは。毎回、たいへん豊かな実体験が書かれています。
　「勉強して知識が増えれば増えるたびに地球というそのものになれっこになってしまい、大切な何かを失ってしまうのだ。」という長文の指摘には、目覚めさせられるものがありますね。私たちは、ただ受け身でだらだらと勉強していてよいのではありません。
　不思議に思う気持ちこそ大切だね。小さいころお父さんがしてくれたおもしろい実験（？）は、まるもちちゃんに「なぜだろう」と思うことの楽しみを教えてくれましたね。「となりのトトロ」にわくわくする気持ちを大切にしたい。先生は、自分の幼稚園の頃の記憶で、お友達の家の大きな土蔵の壁に牛の口のようなものが埋め込まれていて、動いたというのを今でもあざやかに覚えています。ありえないことが、あの頃にはあったように思います。
　すばらしい博士と呼ばれるような人たちが、よく風変わりだと評されるのは「キラキラと透き通った、心」を持っているからでしょうね。まるもちちゃんが言うような「不思議を一生不思議と思えて、一生夢見る人である」ような生き方をしたいものです。