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　　　自作の料理　　　ショウ

「いただきます……うまっ」
思わず僕は叫んでしまった。三週間前の家庭科の時間、調理実習でクレープを作った。中の具は何でも良かったので、僕は、チョコバナナにした。クレープを焼くときに、左手だけでクレープを裏返すのに成功して、気分が良かったのもあるし、自分で作ったものだから余計に美味しく感じられたのだろう。それにしても忘れられない味だった。他の友達もチョコバナナの人が多く、美味しいとみんな言っていた。それとは反対にまずかったこともある。一年前に家庭科で「ミルクレープ」というのを作った。これはフランスかスペインのデザートで、まずクレープの上にジャムをぬって、その上にクレープをのせてジャムをぬる……の繰り返しをする。「ミル」と言うのは千のことなのでクレープをたくさん重ねるのだ。一時間半ではそんなにたくさんは無理なので、僕たちは、二十枚くらいにした。最初は美味しいと思ったけれど、どんどん食べてお腹がいっぱいになってくるにつれて、まずいもののように感じられた。甘すぎたからだ。一応全部食べることはできたが、相当むりやりだった。友達の中には最終的に、クレープを口に押し込んで味がしないように鼻をつまんで、まるでゴジラのような姿になりながら食べる人もいた。みんな同じなんだな、と思った。
　ついこの前、祖父母から荷物が届いた。中身は僕が頼んだ習字の筆と、食べ物などだった。その食べ物の中に、長芋があった。何年か前までは、納豆と同様に、長芋のネバネバ感がいやだった。今回は母に夕ご飯のときに
「長芋食べてみる？」
と聞かれた。一瞬「えっ」と思ったが、今納豆を食べることができるように、長芋の味も四年前とは違うかもしれないと思いチャレンジしてみることにした。食べた瞬間は「やっぱり同じだ」と思ったが、いくつも食べているうちに「長芋ってこんなに美味しかったっけ」と思うようになってきた。もうひとつ食べようと思ったときには、あんなにたくさんあった長芋はもうなくなっていた。何も考えずにどんどん食べていたのだろう。時計の針も進んでいた。食べ物で時間を忘れたことはあまりなかったので、驚いた。
父に話を聞いてみた。父が今までで一番美味しいと思ったのは家族で何回かやったバーベキューだそうだ。肉は多少焦げてしまったが、フライパンで焼いたのとは味が全然違ったからだ。父は自分で料理を作ることがほとんどないので、自分で火おこしをして焼きかげんを工夫するのが楽しいそうだ。ポーランドの冬は寒くてバーベキューどころではないけれどまた来年やりたいといっている。
人間にとって自分が作った料理は他の人が作ったもの以上に美味しく感じられるということがわかった。僕は毎日料理の手伝いをしているわけではないので、たまに作ったときはいつも美味しいと感じる。これからはもっと母の料理の手伝いをして美味しく味わえるようにしたい。
「あ〜おいしかった、ご馳走様でした」
そう言って僕は席を立った。

　　　講評　　　siro

　ショウくん、こんにちは。進級試験の作文、がんばりましたね。項目、字数共にクリアできました。進級試験は合格ですよ。おめでとう。
　今回はおいしかったもの、まずかったものをたくさん書くことができました。家庭科のチョコバナナクレープはかなりおいしかったようですね。先生も大好きな食べ物の一つですよ。自分で焼くと更においしさアップなのですね。ショウくんの体験談としては家庭科の調理実習のことを、お父さんから聞いた話としてはバーベキューのことが書かれています。どちらも自分が作ったものというのもあるけれど、大勢でわいわい言いながら料理するものですよね。楽しい雰囲気の中で食べるものだから余計においしく感じるのでしょうね。
　書き出しの結びが上手にできています。今回の課題にぴったりの書き出しと結びになりましたね。
　大変よくできました。