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　　　便利な生活、シンプルな生活　　　cherry

　地球上には、まだ浪費文明に侵されず昔ながらの素朴な生活を営んでいるところがいくつもある。わたしは、アジア、アフリカのいわゆる三大世界、アイルランドやメキシコ、ニュージーランドという土地に行き、その生き方になじむことで、自分の生きている日本の大都会の生がいかに半自然な人工的なものかを知った。そして、彼らのその生のほうがいかに人間らしく、自然と調和しているかを味わった。そのほうが、効率的に生産を求め、あわただしい日本の今の生活よりもずっと上等な生だと痛感したのだった。人は、生きるために何を必要とし、何を必要としないのか…。現代に生きる我々は、徹底したシンプル・ライフは送れない。現代物質文明によって甘やかされ、身心ともに脆弱になり、とてもそういうきびしい生に耐えられないのである。しかし、クーラーやテレビがなければ…と全面的に物に頼っている我々の生を、考え直すことはできるのではないだろうか。そういう、根源的な疑問の前に自分を立たせてみるとき、どれだけ文明の提供する便利や快適の誘惑によって余計なものを多くもたされているか、それら物の過剰によって生そのものを見えなくしているかを知らされるのである。
　私は、現代文明による、便利で快適な生活は良いと思う。今考えると、私たちの生活は、リモコン一つでチャンネルが変えられるし、携帯電話だって番号をおすだけで、いつ誰とでも簡単に連絡がとれる。環境に対しても考えている物も多くなってきた。
　しかし反対に、全く文明化されていない、シンプルな生活も良いと思う。私は、一昨年環境に対して色々なことを学びながらも、友達との仲も深めようというキャンプに参加した。和歌山の田舎の方で4泊5日ほどのキャンプだ。そこでは、家ではなくテント、きちんとしたベットではなく寝袋、炊飯機ではなく飯盒、ガスや火は火おこしなど…普通なら簡単なものも、そのキャンプでは一からしなければならないことばかりであった。しかし、普段の生活とは全く違うし大変だというのに、なぜかみんな笑顔で楽しそうだ。やはり、自然をありのままに受け止め、シンプルな生活をすることで、見えないものも見えてくるのではないか。
　確かに、現代文明による便利で快適な生活も、全く文明されていないシンプルな生活も良いと思う。しかしそこで一番大切なことは、「私たちの生活は、私たちが費やしただけの価値がある」という名言があるように、自分なりに満足できる生活、生き方を常に模索しながら生きていくことである。

　　　講評　　　kira

　cherryちゃん、こんにちは。私たちは現代物質文明のなかを生きています。便利さを享受するかわりに、何かしら心が乾くような満たされないものを感じたりします。そんな時思いおこされるのは、自給自足のシンプルな生活を送っていた時代の健全さでしょうか。要約も、いい流れでできましたね。
　現代文明の恩恵をうまく表現できました。今、身の回りにあるものを見渡すだけでそれはわかるんだね。そうして、次々と生産される品物は、人間の不便を埋め尽くす勢いです。
　上手にまとめすぎたかもしれません。「環境に対しても考えている物も多くなってきた。」という部分など、例をあげていくといいね。

　反対に、私たちにはキャンプ生活を楽しむ心があります。中世の隠者もそうだったように、豊かさや地位を手に入れると、自分自身を見つめなおしたいという欲求が生まれるのでしょうか。何もない、シンプルな生活に入っていくようです。今、都会暮らしを終え、第二の人生は自然の中で田舎暮らしをしたいと思う人たちが増えているそうです。
　両方の暮らし方の良さを知った上で、自分らしく生きるかたちを見つけることがのぞまれますね。