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　　　コバンザメ　　　おむふ

　コバンザメはコバンザメという名であったとて別段小判のごとき金箔を帯びているわけではない。頭の部分に小判に似た紋様が刻まれている故である。その上、サメとはいうもののじつのところサメではない。コバンザメ科といった部類に属しているのだ。むしろそのくすんだねずみ色に染まりし小判の頭を本物のサメにくっつけて生活しているのだ。いわば大魚の従者である。いや、従者ならまだしも大魚の腹におこがましく居を構えるふとどきものといった按配を呈している。自分で泳ぎに興じることはわずかな時間である。サメに擁護されているため窮地にいたることはまずなかろう。暖かき海にて鎮座する邪なるものといった所であろうか。
　コバンザメならまだいいであろう。人間の世界においてはひどいといわざるをえない。浮世の風にそういった状態で身をゆだねてしまっては虐げられ己をいぶらせるばかりである。世はほのかにゆらぐ不知火のごとしといったやわらかなものではない。己の頭を使い常として己で所業にいたらなくてはならない。これは現代社会だけでなく生きること全般にいえることだ。あまり自分で考えることを怠っていては自分の力ではなにひとつできなくなってしまうものである。当然、他人に執着してしまうため人に意見をきかなくてはものごとを考えられないのだ。自分で幼いときから考える癖をつけるのがまさに王道であろう。

　　　講評　　　koni


【構成】　3段落構成でまとめることができました。

【題材】　1つの意見を主張していくので、もう1つ実例を挙げて（幅の広い実例を意識して）自分が出した意見を説明すると更に説得力が増すよ。
　例えば、歴史の実例では、千利休なんかはどうでしょう。表向きは政治に携わっていない立場だけれど、かなり影響力があったようだね。己の生きる道を貫き通したと言っても過言ではない人と言えるかな。
　また、最近では、世論という言葉で政治をする傾向にあるね。確かに民主主義の国だから世論は大事なんだけれど、世論に左右されすぎて自分の考えが述べられないのも考えものだね。こういう社会実例を挙げてもいいかも。

【表現】　コバンザメにたとえた実例がすばらしい。

【主題】　自分の意見が一致していて、主張できています。